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今回紹介いたしますのはこちら。

「マイホームヒーロー」第1巻 原作・山川直樹先生 漫画・朝基まさし先生 

講談社さんのヤンマがKCより刊行です。


山川先生は09年にマガジンの新人賞を受賞したのをはじめとして、様々な雑誌の新人賞で何度か入賞。
アシスタント業をする傍ら投稿を続け、16年に「100万の命の上に俺は立っている」で漫画原作者としてデビューされました。

朝基先生は89年に小学館の漫画賞を受賞したのと、91年にマガジンスペシャルで初連載をしてベテランの漫画家さんです。
原作付き作品をメインに手掛けられておりますが、代表作は「サイコメトラーEIJI」「クニミツの政」「でぶせん」と、ヒット作がずらりと並んでおります!

そんなお二人がタッグを組んで生み出される本作は、とある家族に起きたとんでもない出来事と、そこから始まるとんでもない事件を描いたもの。
その息詰まる内容はと言いますと……?



鳥栖哲雄、47歳。
さえないサラリーマンと言った感じの彼の元から、一人娘の零花が出ていって、2か月がたっていました。
趣味の推理小説執筆&ネット投稿だけではその寂しさは埋まりません。
反抗期を迎えているとはいっても、なんだかんだと誕生日に超力作のプレゼント(照れ隠しもかねて有料)をくれる愛娘を溺愛している哲雄は、その日もたまたま近くに来たから、と娘を呼び出して食事に誘いました。
が、どうしたことでしょう、サングラスやマスクで顔を隠した娘のそのいでたちの下には、痛々しい傷跡がいくつも刻まれているではありませんか!
問い詰めても零花は答えず、やがて怒って帰ってしまったのですが……
その時の反応から、哲雄は確信しました。
最近零花と一緒に暮らすようになったという、男。
そいつの仕業なのでしょう。

零花の分の食事も無理やり食べて、いろいろ気分のすぐれないまま家に帰る哲雄。
すると、なんだかガラの男たちの会話が耳に飛び込んできました。
レイカのやつ、親父が来るかもしれないから出ていけなんていうからよ、誰に指図してんだ!……って。
……レイカ、と言う名前。
そしてここは、零花の住んでいるアパートの近く……
いかにも悪党と言った感じのその男、どうしても哲雄は見逃すことができず……結局哲雄は、男の後をつけることにしたのでした。

男が消えていったのは、超高級な風俗店。
さっきの男は20そこそこだったのに、こんなところに行くお金があるのだろうか?
そんなことを考えながら風俗店を眺めていますと、店の関係者らしい眼鏡の男に文句をつけられ、痛めつけられた上に裸の写真を撮られ、もう二度とうちのものをつけまわすな、警察にも言うな、と脅迫されてしまいました。
こんなボロボロの状態で家に帰れば、家族の者に心配させてしまう、と考えた哲雄は、そのまま漫画喫茶に泊まることに。
何で自分がこんな目に、とひとしきり泣いて、眠った後……
哲雄の心にわいてきたのは、怒りと、
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娘が危ないかもしれないという恐怖でした!
哲雄は会社に休みの電話を入れ、あの男が零花の彼氏であるのかを確認することにします。
零花が大学に行っている間に、お母さんから借りた合鍵で零花の部屋へ。
いろいろ探ってみると、やはり男が一緒に住んでいる痕跡がありまして、哲雄は絶望してしまうのですが……そんな時、誰かが部屋に入ってきたのです!!
慌ててクローゼットに隠れる哲雄。
入ってきたのは、やはりあの男だったのです!!
男は零花がいないことを確認すると、きな臭い話を始めました。
あの女の祖父、やっぱり金があります。
取ったら別れますわ、上納金のためなら女ぐらい売りますわ、マジうざいんで。
大丈夫っす、もうあんな間違いは起こさないんで。
あんとき酔っぱらって殴り過ぎちゃって、でもあれで死ぬ女も悪くないっすか?
カズコの時はキレてやっちゃいましたけど、ユミの時は手加減しようとしてたんすよ!?
……それを聞いて、哲雄は総毛立ちます。
確かに零花の祖父……哲雄の義父は、和服店の社長をしていて裕福。
男は、零花から金をとるうえ、あの風俗店に売り飛ばそうとしている。
そして、過去少なくとも二人の女性を殴り殺している……!!
しかも悪いことに、あの風俗店で哲雄を殴った眼鏡の男が電話の相手だったようで、哲雄が男を尾行していたことをばらされて、男の頭に血が上り始めてしまいました!
慌てて家に帰らないように零花に連絡しようと電話をかけるものの、悪いことは重なるもの。
零花は携帯を家に置いてしまっていて、部屋の中で電話の呼び出し音が鳴り始めてしまったのです!!
しかもその着信音が、哲雄の誕生日プレゼントとして零花が作曲して演奏してくれた曲だとは……何と言う運命のいたずらなのでしょう!
最悪の状況とは言えますが、このことが哲雄に決意を固めさせることになりました。
電話にでた男は、お前が親父か、おれは麻取延人だ、殺してやんよ、と叫びます。
哲雄は……守らないと、と言う決意とともに、
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やれるもんならやってみたらどうかね、とつぶやいたのです!

延人の仲間たちは、零花の部屋を監視していました。
延人は有力者の孫らしく、延人の仲間からしてもその扱いづらさに困っていまして……ターゲットの孫まで殺されては困る、と何かが起きないように見張っていたようです。
そんな監視体制を知らず、零花の部屋に入っていく者が。
……お母さんです。
お母さんが零花の様子を見にやって来たようで、娘に差し入れをもってやって来たようですが……そこで彼女が目にしたのは、愛娘の姿でも、延人によってボロボロにされた哲雄の姿でもありませんでした。
そこにいたのは、
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哲雄と……頭をカチ割られて物言わぬ躯となった、延人の姿だったのです!



と言うわけで、大変な事態に巻き込まれ、大変な事態を巻き起こしてしまった本作。
娘を守るためとは言え、人に手をかけてしまった哲雄。
本来ならばこれで警察に駆けこまなければならない所ですが……
そこで捕まってしまえば、物語は終わってしまいます。
それに、仲間を殺された裏世界の者が、ましてやそのころされたのが有力者の息子であれば、警察に犯人が捕まったからと言ってそれで手打ちにするとは考えづらいでしょう!!
そもそも哲雄が求めているのは、零花が家を出る前のような、楽しく平穏な暮らし。
自主などしてしまえば、どうしてもその暮らしを続けることはできないわけで。
哲雄が、そしてその妻が選んだ道は何と……!!

裏社会の人間と、哲雄たちの心理戦が描かれていくことになる本作ですが、その物語は緊迫の連続!
薄氷を踏むような思いであれこれと動き回る哲雄に、かぎまわる裏の者達……!
どうなるのか咲の展開が全く読めない本作、これからの展開も予測不能!
ハッピーエンドが待っているのか、バッドエンドとなるのか、それとも……?
とにかくこればかりは今後の展開を見守るほかないでしょう!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!