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今回紹介いたしますのはこちら。

「ちおちゃんの通学路」第7巻 川崎直孝先生 

KADOKAWAさんのMFコミックスフラッパーシリーズより刊行です。


さて、ちおちゃんの通学中に巻き起こるアレな出来事を赤裸々に描いていく本作。
今回もちおちゃんと真奈菜をメインに、どうしようもない日常が待っております!



目を閉じて、両手を掲げて何かを待っているちおちゃん。
彼女が待っているのは、真奈菜の……手刀のようです。
じゃあいくよ、と真奈菜が遠慮がちな声を上げますと、ちおちゃんはなにかぴくぴくと反応を見せ始め……
真奈菜の手刀が振り下ろされますと、そのまま頭に直撃、あいた!と顔をゆがめるのでした。

見てのとおり、ちおちゃんは目を閉じて白刃取りをしようとしているようです。
なんでそんなことをし始めたかと言いますと、彼女の最大の趣味であるゲームでちょっとした事件があったから。
それは、とあるプレイヤーに背後から無音で近づいてナイフで始末しようとしたときにおこりました。
いきなりそのプレイヤーが振り向いたばかりか、中距離用の武器に切り替えて撃ってきたのです!
そのとんでもないプレイが気になったちおちゃん、プレイ後にメッセージを送って何故後ろにいたのに気がついたのかと問いかけました。
するとそのプレイヤーは、「殺気」を感じた、と答えたとのこと!
知人や友人にどついてくれと頼んで、それを受け止める訓練をすれば余裕です、と語るそのプレイヤー。
……どう考えてもたまたまのカンか何かで、そのメッセージもあしらわれているだけにしか感じられません。
が、本気にしたちおちゃんはさっそく真奈菜に頼んで訓練をしようと決心したわけです!

一部始終を聞いた真奈菜は、朝からくだらないことに巻き込みやがって、と苛立ちを感じます。
そう言う感覚ってないよりはあるって思っておかなきゃ見に憑かないだろうし、となにやら自分の世界でつぶやき続けるちおちゃん。
真奈菜は後ろからその憂さを晴らすかのように、軽く頭をぺちっと叩いてやりました。
すると、ちおちゃんは予想外の反応を示します。
いま、なんかもやっと感じた、真奈菜の叩こうっていう意思みたいなものを!
きっと相手が本気じゃないとダメなんだ、「殺す気」と書いて殺気と読むくらいだもん!
予想外にテンションを上げたちおちゃんは、今度は本気でビンタをかますように要求します!!
一つ上のゲーマーに私はなる!と叫び、ちおちゃんは目を閉じました!!
どうせ薄眼で見てるっていう落ち何だろう、と真奈菜はちおちゃんの目の前で中指を立ててみるのですが……どうも本気で目を閉じている様子。
万全の状態で待っているちおちゃんですが、流石の真奈菜も親友に全力のビンタなんてできるはずがないじゃないか、と今までの二人の友情の軌跡を振り返ってしまいました。
が、思い起こされるのはちおちゃんのあれやこれやのどうしようもない様子ばかり……
それに気が付きますと、真奈菜は全然いけるわコレ、よく見たらこいつすげームカつく顔してるわ、とあっさり思いなおしました。
むしろ叩きてぇ、と全身から、それこそ殺気を漂わせ……思いっきり右手でビンタを放ったのです!!
が、
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ちおちゃん、まさかのキャッチ!!
驚く真奈菜ですが、その叩きたさはいまだ衰えていません!!
右手で一発だけとは言われていない!と今度は左手でビンタを放つのですが、それまでキャッチされてしまうのです!!!
ちおちゃんは開眼した、と喜び勇み、真奈菜に抱き着いてお礼を言います。
が、真奈菜の心の中に沸き上がったどす黒い感情はこれで増幅してしまいました。
そこで真奈菜は、せっかくすごい技を身に着けたんだから、いろんな人に自慢しよう、と悪魔のささやきを刊行したのです……!

そこで白羽の矢が立ったのは、雪ちゃんでした。
ビンタしてほしいというお願いは、優しい雪ちゃんが受けてくれるとは思えませんでしたが……そこは真奈菜の狡い作戦によってうまく丸め込むことに成功。
雪ちゃんも本気で来てくれることになったのですが……問題は、雪ちゃんのスペックです。
あの常人離れした肉体で放つビンタが直撃したらどうなってしまうのでしょうか。
雪ちゃんはさっそくビンタを放つのですが、距離感を誤ったのか空振りに終わります。
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その空振りに全く気が付かなかったちおちゃん、あれはまぐれだったのかもしれない、と思い当たり……
そして、雪ちゃんの空振りがものすごい突風を巻き起こす威力を秘めていることに戦慄します……!!
が、やっぱりやめようとは言えません。
雪ちゃんは完全に本気モードに入っておりまして、この雪ちゃんに中断なんか求めようものならばよりひどい事態が待っていかねません。
薄目を開けるという裏技に出ようにも、雪ちゃんのスポーツマンシップはその不正を鋭く察知して咎めてきて……!!
ちおちゃんは、自分の生存するための感覚を最大限研ぎ澄まします。
潜在能力を引き出さなければ、顔面の崩壊は必至!!
己の全てを研ぎ澄まし、暗闇の中で集中するちおちゃん。
……しかし、やはり何も感じられない……と思った、その瞬間のことです!
何かを感じたのは!!
それは正面にいるはずの雪ちゃんのほうからではありません。
自分のすぐ横から……真奈菜から感じられます。
……そこで、ちおちゃんは全てを理解しました。
あのダブルビンタキャッチはやはりまぐれではないことを。
ちおちゃんが察知していたのは、
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真奈菜の存在……ヘドロのように下劣な絶対悪の感情だったのです!!
思い起こされるのは真奈菜のあれやこれやのどうしようもない様子ばかり……
この感覚は、真奈菜専用の防衛本能だったのです!!
と言うことは当然雪ちゃんに通用するはずはありません。
が、この感覚を利用することはできるでしょう……!
この悪のオーラが、今から起こる人の不幸に対して期待に大きく揺らぐ瞬間……!!
その時は……やってきました!!



と言うわけで、ちおちゃんが心眼(超限定的)を体得する今巻。
ゲームを発端にしたどうでもいいお話から、どうでもいい騒動が巻き起こるこのエピソード。
ちおちゃんと真奈菜の、お互いがどす黒い感情を抱え、嫌いあいながらもなんだかんだちゃんと親友を続けるという心温まるお話……にはなっておりませんが、本作らしい楽しさのつまったお話になっております!
そんなこのお話の他にも、様々なお楽しみが用意されております!!
紹介したお話の直前に収録されている二人が財布を拾うお話では、この紹介したお話のある部分がとても増幅される必読の内容に。
安藤さんとちおちゃんの謎の追いかけっこが繰り広げられ、なんだかちょっと関係性が変わってしまう予感のする大事なお話も。
調理実習を忘れていて、とあるものの入手に奔走するお話では貴重な真奈菜や雪ちゃん意外とのちおちゃんの絡みが見られたり。
そしてしまいには、あの純真な桃センパイにFPSを教え込もうとする、ちおちゃんの邪悪さが浮き彫りになるお話まで……!!
そんな様々なお話が収録され、今巻もテンションマックス!
通学路だけでは終わらない、ちおちゃんと真奈菜のどうしようもなさ、そしてそこに巻き込まれる様々な人物の活躍が楽しめるのです!

アニメ化も決定し、ますます勢いづく本作、
巻末には描き終え呂氏のおまけ漫画が9Pも収録され、今巻も大充実の内容になっております!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!