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今回紹介いたしますのはこちら。

「美しい犬」下巻 原作・ハジメ先生 漫画・オオイシヒロト先生 

秋田書店さんの少年チャンピオンコミックスエクストラより刊行です。


さて、家では有能な兄の存在とその彼女カオリの奇行に、学校ではパッとしない日常にモヤモヤを抱えていたフミオ。
ですがひょんなことからクラスメイトの宮下ヒナコと付き合うこととなり、そのモヤモヤは晴れつつある、かと思われたのです。
ところがそこに姿を現した、怪しい魅力を持つ美しい犬。
フミオはなぜかその犬に惹かれてしまい……!?



フミオとヒナコは、日ごとにその距離を縮めていました。
ですが同時に、フミオの歪んだ欲望も徐々に増していっていたのです。
綺麗でスタイルもいいヒナコと付き合っているのは、そのカラダ目的じゃない、彼女の内面が好きだからだ。
そう自分に言い聞かせるため、ヒナコを自身の行為に使うことを禁止しました。
それはいいのですが……なぜかその代わりに、あの美しい犬の動画を使うようになってしまったのです。
なぜかはわかりませんが、美しい犬の動画に異様に興奮するフミオは、ヒナコといい感じになっていくにつれ、使用する回数も増えていったのです。

そんなある日の事、ヒナコが依然誰かと付き合っていたことを知ったフミオ。
それはそうだ、これだけの美人なら元カレだっていてもおかしくない、でもその元カレも自分のように紳士なら、彼女の体に手を伸ばしていないかもしれない……
そんなことを考えていると、ヒナコはフミオと付き合った理由の一つを明かしてきました。
可愛い彼女は、クラスの女子の一部に男子に媚びを打っていると陰口を叩かれていたそうなのですが、友達のアドバイスを聞いてその陰口が激減した。
そのアドバイスは……男子と付き合ってしまえばいい、と言うものだったのです。
陰口を減らすために男子と付き合った。
つまり自分じゃなくて、誰でもよかったんじゃないだろうか。
そんな不安もフミオの中に持ち上がったかもしれません。
ヒナコはそれをフォローするかのように、フミオと付き合ってるのはフミオが好きだからだ、とも言ってはくれたのですが……フミオは、俺も宮下のこと好きだから、と気の利かない返事を返すことしかできず……
その時、ヒナコは立ち止まってフミオを振り返り、こう言いだしました。
キスしよっか。
……初めての、キス。
胸は痛いほど高鳴り、頬は赤く染まります。
フミオはゆっくりとヒナコの肩に手を伸ばし……そして、鼻がぶつからないように、と考えながら顔を近づけるのです。
が。
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ヒナコの背後に、あの、美しい犬が現れるではないですか!!
吸い込まれるような瞳で、じっとこちらを見てくる美しい犬……!!
フミオはヒナコのことをひと時忘れ、驚愕の表情を浮かべて硬直してしまい……
ヒナコはそんなフミオの表情に気が付くと……ふっと距離を取り、そのまま走り去ってしまうのです。
慌てて追いかけようとしたものの、足を取られて転んでしまうフミオ。
美しい犬はそんなフミオの手をぺろぺろとなめだし……
まるで自分をもてあそぶかのような行動をとる美しい犬。
フミオは、携帯にヒナコからの着信を告げる着信音が鳴り響く中……
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美しい犬を押し倒し……!!

翌日。
フミオは昨日の失敗を何とかリカバリーし、改めて自分のほうからキスを迫る、とヒナコと約束しました。
この幸せを何があっても死守するぞ!
そう誓って、自宅に帰るのです。
が、自宅の様子が何かへんです。
真っ暗にもかかわらず鍵がかかっておらず……玄関に入ると、お勝手の方から淡い光が漏れています。
恐る恐るお勝手の中を見てみると……そこでは、カオリが冷蔵庫の中の何かをむさぼるように食べているではないですか!!
以前から、フミオに蠱惑的な姿を見せつけてきたカオリ。
フミオに気が付くと、今度はさらに積極的な誘惑の言葉を囁きかけてきました。
そして、その流れでカオリの隠されたとんでもない秘密を聞かされてしまいます!
カオリはさらにとんでもないことをフミオに仕掛け、戸惑うフミオを見て笑い……
フミオはそんなカオリに、完全に切れてしまいました。
湧いてきたのは怒り、と言うよりも、嫌悪に近い感情です。
伸ばされたカオリの手を振り払い、フミオは二度と俺に触るな、と言い放ちます。
カオリを見下ろす視線は、あまりに冷たく、汚いものを見るかのような蔑みが見て取れて……
その目を見たカオリはそれ以上食い下がることもできず、苦々し気に唇をかむことしかできませんでした。
……が、その時……フミオがその騒動の時に落としていった、携帯電話に気がついて……!!

カオリの行動に抑えられない嫌悪感を感じたフミオでしたが、ヒナコのことを考えてその嫌悪感を上書きし、眠ることができました。
朝起きると、台所はきれいに掃除され、人気もなくなっています。
帰ったか、兄貴も戻ってないようだし。
そうつぶやきながら部屋を見回すフミオですが……深紅の横においてあった自分の携帯電話に気が付きました。
手に取ると……チャットの出来るSNSアプリに、異常な数のメッセージ数を示す数字が記されています。
そのメッセージは、クラスのグループのもので……フミオは終わってる、キモい、やばい、そんなものばかり。
その原因は、とたどってみると、メッセージが表示され始める前に……あの動画が、美しい犬を撮影し、フミオの興奮する声も拾っている、あの動画がアップロードされていたのです……!!
間違いなく、カオリの仕業でしょう。
フミオはクラスメイトから、一気に罵倒の声を浴びせられる対象になってしまいました。
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さらに、ヒナコからも、変な動画が回ってきたけど、と言うメッセージが……!!
守り抜くと決心した幸せが、音を立てて崩れ落ちていく。
幸せどころか、以前のような生活にすらもはや戻ることはできなくなったフミオ。
一体これから、どうすればいいのでしょうか……



というわけで、美しい犬に翻弄されるフミオを描く本作、下巻で完結を迎えます。
フミオを翻弄するのは、誘惑してくる牝犬です。
それはあの美しい犬はもちろん、カオリも同様。
フミオに幸せを与えてくれるヒナコでしたが、その日なことの幸せを壊したカオリと美しい犬。
その二匹によって、フミオはとんでもない事態に巻き込まれてしまうこととなりました。
この動画投稿によって、フミオにはとんでもない絶望が襲い掛かります。
彼が今まで生きてきた人生の中で、この絶望は最大の危機的状況と言えるでしょう。
このままでは不登校になってしまってもおかしくないこの絶望に瀕し、フミオは……
そんな絶望の淵のフミオの前に、現れるものは……!!

このあと、物語はクライマックスを迎えます。
謎の多い存在である美しい犬。
その目的がいよいよ明かされることに!!
そしてそのとんでもないクライマックスの後に向かえるフィナーレは、ハジメ先生らしい独特の、いろいろと感じさせてくれる味わいの深いものに!!
ハジメ先生と、オオイシ先生でなければ作れなかったであろう、不思議な物語となった本作。
その本作ならではのフィナーレまで、目を離すべからずですよ!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!