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今回紹介いたしますのはこちら。

「BOX ~箱の中に何かいる~」第3巻 諸星大二郎先生 

講談社さんのモーニングKCより刊行です。


さて、謎の箱の中に閉じ込められ、脱出するためにパズルに挑まされることになった光二達。
案内人を自称する魔少女に翻弄されながらゲームに挑むものの、脱落者が続出。
ついには光二、惠、智恵子、興子の4人を残すのみになってしまいます。
大詰めを迎えようとしている脱出ゲーム、果たしてその先にあるのは……?



数々のパズルを解き、魔少女の妨害を潜り抜けた光二達。
とうとう最後のパズルの元へたどり着きました。
興子の機転により、魔少女をこの脱出ゲームのプレイヤーに引きずり込み、妨害をしてくる傍観者と言う立場から引きずり下ろすことができましたが……これが吉と出るか凶と出るかは未知数。
ともかく、最後のパズルに取り掛かるのです。
最後のパズルは、惠のために用意されていたもの。
魔少女の妨害が入りそうになりますが、惠は難なくそのパズルを解いて見せました。
するとどうしたことでしょう。
突如箱全体が揺れ始め、崩壊が始まったのです!!
慌てふためく光二達ですが、魔少女は余裕の表情。
慌てなくても大丈夫、これはおパズルが解けた証だ、と言いながら、惠にカードを投げ渡します。
そのころには箱は完全に崩壊し、足場もなくなってしまっていたのですが……一同はそのまま落下することなく、空中に浮いたままの状態になっていました。
そして……いよいよやって来たのです。
箱の中の何か……すべての元凶となっている存在が姿を現したのは!!
それは……箱の中に存在する、
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もう一つの箱!!
その中に「それ」はいるそうなのですが……まだもう一つ、光二達がやらなければいけないことがあるそうなのです。
ここからが大事だ、と前置きして、魔少女は説明を始めるのです。

箱が求めているのは、「決心」。
では何を決心するのか?
それを説明するにはまず、この箱の中の「何か」のことから説明しなければなりません。
その「何か」が、一体何なのか、いつから存在するのか。
それは誰も、魔少女でさえ知らないと言います。
ですが、人間の社会にとってとても危険で厄介な存在だった、と言うのは間違いありません。
貪欲で不死身で、滅ぼすことも押さえつけることも、どこかへ追いやることもできない。
そいつは、
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「因果」を食うのです。

どのくらい昔のことかはわかりませんが、誰か、もしくは何かが箱の中にその「何か」を閉じ込めました。
そしてその箱の中で大人しくさせるため、たまに餌をやることにしたのです。
その今回の餌が光二達だったと言うことですが……
ではその餌、と言うのはどう言うことなのでしょうか。
勿論光二達をそのまま食べる、と言うことではありません。
例えば、餌に選ばれた男が「自分の妻」を差し出せと要求され、「何か」に与えたとしましょう。
するとその男の妻は最初から存在しない、あるいはその男と結婚しなかったことになり男の「妻」であった事実が消滅するのです。
そうすると、その妻だった女は別の男と結婚しているかもしれないし、もともと結婚した相手との愛で二子供がいたら、その子供が存在しなかったことになります。
差し出したモノによっては、そんな存在しなかった人物が何人もにのぼることになるわけで……そうなると、箱に入る前と出てきた後では違う世界になってしまうわけです!
そうして生まれた、箱に入る前と後の世界の間のほころび。
そのほころび……因果の余剰を、箱の中の何かは食らっているのです。

一定の餌を与えなければ、人間の世界にどんな影響を与えるかわかりません。
ですが「何か」は、光二達に何を要求してくるのでしょうか?
光二達に差し出せと命じるもの……それは最初から決まっていて、パズルを解いた時に与えられたカードの裏に現れると言います。
それを確認し、与えてもいい、と思ったら巨大な箱の正面に貼りつければ……ゲームは終わるのです。
カードは全部で6枚。
途中でリタイアした谷夫妻のカードは無条件で貼ることができるとのことで、とりあえず光二は箱の底の面にカードを貼りつけました。
さて、問題はここからです。
光二、惠、智恵子、興子、そして魔少女は、それぞれ箱の各面のまえに立ち……
間もなく、カードの裏に差し出すべきものが表示される。
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さあ、カードを見なさい!!
魔少女の声とともに、一同は一斉にカードを確認!!
そこに書かれていたのは……!!



と言うわけで、いよいよクライマックスを迎える本作。
前半では最後のパズルに向かうための最後の大仕掛けに挑むパートが収録されていまして、そこでは興子がメインとなって活躍する様が描かれています。
そこから魔少女が本格的に邪魔を始めていくことになるのですが……
その前半パートも諸星先生ならではの様々な仕掛けがなされている必見の内容になっております!!
そして惠のパズルパートを経ての最終決戦へ!
箱の中の「何か」に一応の説明がつけられたわけですが、やはりと言いますか、結局は誰もその答えを知らない得体のしれない何かだったようです。
問題は、その何かが何を要求してくるのか、と言うところです。
興子はたいていのことは笑顔で受け入れてしまいそうですが……光二、惠、智恵子はどうでしょうか。
彼らは全員が心、あるいは体にモヤモヤを抱えています。
そのモヤモヤが、普通ならば絶対に差し出すことのできない重要な何かを、差し出させることになってしまわないか?
そんな不安も消すことはできないのです!!
そしてそんな彼ら自身の決断に加えて問題になるのが、魔少女です。
常に傍観者で、興子を敵視し続けてきた彼女。
そんな彼女が、自分がプレイヤーにされてしまってもそれほど慌てているように見えないのは……なにか自分だけ助かる術があるという余裕の表れではないのでしょうか?
箱の中の「何か」が、いわば絶対的な力を持つ舞台装置でしかないとわかった今、本作の最後の敵として立ちはだかるのはやはり彼女でしょう。
魔少女の、そのたくらみから決して目を離してはいけません!!

さらに本作のラストには、主要キャラクターたちのその後を描くエピローグが収録。
こう言った、物語のその後までしっかり説明してくれるフィナーレは諸星先生作品には非常に珍しい気がします!
智恵子という萌え要素をぶち込みまくったキャラ、惠と言ういろいろな部分で諸星先生作品にはいなかった存在、キョウコという狂言回し的ゲストキャラ……
画業は40年を超え、60代も終盤に差し掛かろうというこの時期にチャレンジしまくった諸星先生の新境地満載の本作、謎だらけの本編そのものに加えて、そう言った部分でも必見ですよ!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!