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今回紹介いたしますのはこちら。

「ファイアパンチ」第7巻 藤本タツキ先生 

集英社さんのジャンプコミックスより刊行です。


さて、ユダの木を破壊し、スーリャの目論見を打ち砕いたアグニ。
気が付くと、アグニの体の火は消え、記憶を失って幼児のようになったユダがそこにいました。
その後アグニはドマを慕う女たちの集団と出会い、素性を隠して彼女たちと行動を共にすることになるのです。
が、平和かに思えたその暮らしの中で、アグニは女たちの一人にこんなお願いをされてしまいました。
「ファイアパンチを殺して」と。



ファイアパンチを殺してという願い。
自らを苛み続ける罪の意識。
生きてと願う、ルナの顔と名を名乗るユダ。
様々な事象が、アグニの頭を混乱させます。
死ななければならない、でも死ぬことができない。
そんな葛藤の中で、アグニはひそかに苦しみながら、生き続けていきました。
いつしか失われたはずの右腕も再生し、ユダも記憶はないながらも普通の生活ができるほどに心を成長させています。
そしてその中で、ユダもまたアグニと自分が兄妹であるという話が嘘であると言うことに気がついていました。
ユダは次第にアグニに、兄妹の間に生まれるのとは別な愛情を感じるようになり……

そんなある日のことでした。
突然アグニの元にネネトが現れ、ユダを引き渡せと命じてきたのは。
今ネネトは、サンが作り上げたアグニ教の幹部の一人として活動しています。
アグニを神として祀り上げ、ベヘムドルグの惨劇から逃れた者達をまとめるアグニ教は、スーリャたちも参加していまして。
スーリャのアドバイスを受け、アグニ教は再びユダを「木」にして、世界を温めようと考えたのです。
ネネトはアグニにこう迫ってきました。
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全人類の命を取るか、ルナに似ているだけの女を取るか、と。
明日の夜また答えを聞きに来る、と言い残してネネトは去っていったのです。

ところが、ネネトはその日の夜に戦闘部隊とともにアグニたちの住む家に来ていました。
明日の夜に答えを聞きに来ると言うのは嘘。
昼に引き渡さなかった時点で、アグニにはユダを引き渡す気はないと判断したのです。
あの人は顔が自分の妹に似ていればそれでいい人なんだ、まあみんなそんなもんだと思うけど。
そうつぶやくと、寧々とは早くも作戦を決行するのです!
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建物のあちこちで巻き起こる爆風。
ユダとアグニもそれに巻き込まれ、ユダは片腕と片足を失ってしまう重症を負ってしまっていました。
が、ユダは再生の祝福を持っています。
まだ息はあり、腕と足は再生を始め……アグニは息をつきました。
が、すぐそこに銃弾の雨が降り注ぎます!!
おもいっきりくらってしまうアグニでしたが、すぐに起き上がり……その舞台のほうへと歩き始めます。
が、その舞台は交戦を回避し、ある人物にアグニとの戦いを任せました。
アグニは有無を言わさずその人物に殴りかかるのですが、その殴り掛かった腕はその人物によって輪切りにスライスされてしまいました!!
そして、そのままの勢いでアグニは腹部を貫かれてしまい……!!
その人物は、かつてアグニと行動を共にしたこともある鉄仮面でした。
目的に謎の多かった彼、実はユダの部下によって顔と家族を焼かれ、復讐だけを考えるようになったという事情を持っていたようで。
かつてはユダと敵対していたアグニの仲間のようになっていたわけですが、ユダを守るのならばアグニも敵でしかない、と言うことなのでしょう。
再生し、起き上がらんとしたアグニの頭に鉄の杭を打ち込む鉄仮面。
続けて全身にくまなく杭を打ち込んでアグニを貼りつけにすると、今度はユダの元へ向かって行き、そして首を刎ねてしまったのです。
その首を持って帰り、任務完了……と行きたいところでしたが、そこでアグニが立ち上がったのです。
ファイアパンチに。
そんな声が、アグニの頭に響いたような気がしました。
立ち上がったアグニの顔には、あの嘘にまみれた穏やかな表情はありません。
何も映さないその瞳は、すぐに鉄仮面によって顔面の肉ごと削ぎ落されてしまいました。
それでも……
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アグニの顔には、炎に包まれていたときと同じような、闇が燃え盛っているように見えるのです……!!



と言うわけで、束の間の平和が音を立てて崩れていく今巻。
嘘にまみれていたとはいえ、何よりも求めていたルナとの暮らしはアグニが思い描いていたものに近いものだったはずです。
そのかりそめの平和を壊したのは、かつてアグニが救ったサンとネネトだったのです。
そしてユダを奪いに来た鉄仮面を前に、アグニは死と破壊を振りまき、そして自分が殺さなければならないファイアパンチへと戻っていき……!?

物語は今度こそ本当の最終章に入ったようです。
アグニにかかわったものはみな死んでいきました。
サン、そしてネネト。
アグニが最初に助けた存在と言ってもいい彼らがアグニに立ちはだかるというこの戦いは、一体どのような結末を迎えるのでしょうか。
氷に包まれたこの世界を救うのは、サンなのか?
それとも世界は氷に包まれたまま、再び凍えながら生きていくのか……
その終着点を占う今巻も、見逃せませんよ!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!