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今回紹介いたしますのはこちら。

「あげくの果てのカノン」第4巻 米代恭先生 

小学館さんのビッグコミックスより刊行です。



さて、とうとう境と不倫旅行と言うとんでもないことをしでかしてしまったかのん。
かのんらしいというか、境もそのつもりはなかったのか、色気ある展開にはならなかったものの、そんな細かいことは境の妻、初穂には関係ありません。
初穂は激情に駆られ、実験施設のゼリーを解放、とんでもない被害を出す事態を巻き起こしてしまったのです!!



境は、戦っていました。
初穂が逃がしたというゼリーを相手に、銃弾を放つ境。
1体、2体、3体……
順調に駆除は進んでいるのですが、折からの雨によってゼリーは爆発的に増え、駆逐するのは容易ではありません。
キリがない、とぼやく境ですが、そう考えたすぐ後には早くかのんに会いたい、などと言う考えもよぎります。
その関係があったからこそ、初穂はこんなことをした、と言うのに……
そんなことを考えた油断なのでしょうか。
引き金に指をかけていた手が、手にしていた銃ごと切断されてしまったのです!!
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手の甲から分断された指が飛び、そしてそれと同時に指にはめていた結婚指輪も飛んでいってしまいました。
瞬間、3年前の記憶がよみがえります。
それは、出勤の時のネクタイは毎朝初穂が選ぶ、と言う約束をした時の記憶でした。
その約束は二人の愛を確かめ合う……と言う理由もなくはないのでしょうが、本当の理由はそこにはありません。
「修繕」の度に、変わっていってしまう自分。
そんな自分を見失わないために、ずっと変わらない習慣が欲しかった、からなのです。
気が付けば、境は嘔吐してしまっていました。
目の前に迫る「修繕」。
変わっていく自分。
かつて大事にしていたはずの想い……
様々なものが、境の心のバランスを崩してしまっていたのでしょう。
思わずうずくまる境に……ゼリーが迫ります。
境の脳裏には、次々と過去の記憶がよみがえってきました。
13年前、ゼリーによって母親が殺されたときの事。
14年前、母親が東京で一緒に暮らそうと声をかけてきたときの事。
16年前、実家に住んでいた境の元に、お正月でも母親が帰ってこなかった琴。
20年前、両親の仕事が忙しいからと1人実家に預けられた時の事……
そんな時も、ゼリーの攻撃は緩みません。
何回か攻撃をもらいながらも距離を取って応戦しようとする境。
ですがそんなところに、逃げ遅れた子供二人に鉢合わせしてしまったのです。
この子供たちを死なせるわけにはいかない。
境はゼリーの注意を自分にひきつけ、子供たちから遠ざけようとするのですが……
ゼリーの触手は、無慈悲に境の腹を刺し貫くのです。
こみ上げる血液。
そして……蘇る初穂の思い出。
君のことだって、ずっと好きなはずだったんだ。
「変化」して何が悪い。
人間関係なんて環境とタイミング、「ずっと」なんてあるわけないんだ。
初穂の姿とともに、かのんの表情もフラッシュバックする境……
死の間際の走馬灯なのでしょうか。
それでも境は再びその手に力を漲らせ、ゼリーに刃をつきたてたのです!!
次々に伝わってくる、ゼリーの肉を切り裂く感触、そして生々しい音。
それとともに……境の感情も高ぶっていきます。
初穂以上に聡明な人はいないと思ってるよ。
かのんの異常なほどの情熱にあこがれていたんだ。
本当なんだ、本当だったんだ。
ずっと、そう思っていたかった……
僕は「修繕」で変わってしまう。
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自身の逃れがたい運命を呪いながら、ゼリーに刃を振り下ろす境。
そんな境の姿をつぶさに見つめていた子供たちの抱いた感情は……
「気持ち悪い」と言うものだったのです……

かのんはこんな事態に陥りながらも、境にメッセージを送り続けていました。
境は激しい戦いを行い、そして「修繕」を受けている。
そんな状況ですから当然すぐに既読にはならないし、返事も来ないのですが……
それでも、かのんは境と心を通じ合わせた感触に酔いしれ、心を弾ませていました。
が、そんな時のことです。
こんな報道が流れてしまったのは。
ゼリーを逃がしたのは、研究員で境の妻である初穂。
そしてその動機は、「心変わり」した夫の浮気。
その浮気した相手が、防犯カメラに映っていた……
ニュースで報道されたのは、
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永田町地上区にお住いのKさん。
目線こそつけられていたものの、見る人が見ればすぐにかのんだとわかる、映像だったのです……!!



と言うわけで、またもとんでもない出来事が巻き起こってしまった今巻。
変わっていってしまう境が抱いていた不安と恐怖。
そんな変わっていく境に翻弄されながらも、焦がれ続けるかのん。
そして同じように、境を愛し続ける初穂……
初穂の愛は暴走し、とんでもない結果をもたらすことになってしまいました。
再び修繕される境は、どのように変化してしまうのでしょうか。
かのんはそんな境に、愛を貫くことができるのでしょうか。
……いや、境が変わらずかのんを求め続けてくれるのでしょうか……
そんな三人の感情の渦巻きがさらに重くどす黒いとぐろを巻く中、それ以外の人物も大きく変わっていってしまいます。
かのんの事情を知るものは数名だったわけですが、その数名が今の状況で今まで通りかのんに接し続けることができるというのでしょうか。
悲惨な事態を招いた本人ともいえる、かのんに、です。
そんな家族や友人の事情が変わる中、初穂もさらにとんでもないことをしそうで……?
かのんと境の関係だけでなく、日本の状況を置きく変えてしまいそうな事態が起きつつある本作。
クライマックスの近づいてきた予感のする、恐ろしい事態は……ぜひその目でご確認ください!!
かのんの心の揺らぎ、そんなかのんの前に現れる新たな人物。
かのんの友人や初穂、境、それぞれの「変化」……
心穏やかには楽しめない、それだけに食い入るように読み進めてしまう事必死の一冊となっています!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!