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今回紹介いたしますのはこちら。

「奈落の羊」第6巻 きづきあきら先生+サトウナンキ先生 

双葉社さんのアクションコミックスより刊行です。


さて、三園やまりんという新たな奈落へ落ちていく人物が現れた前巻。
彼女たちの背後にはあのギバが暗躍していまして、しゅーじ達と同じように養分を吸い取るだけ吸い取ろうとしているようです。
ですがそんなところで再び、しゅーじが動き始めるのです。
家族まで滅茶苦茶にされて全てを失い、失踪したかに見えたしゅーじは、ついに……!?


嘉門の助けもあり、メイとともに身を隠しつつ反撃の機会をうかがうことのできたしゅーじ。
まりんたちの決死の行動、そしてメイの思いもよらないアシストもあり、とうとうその手掛かりを得ることができました。
しゅーじがコンタクトをとったのは、田尻と言う男でした。
一連の事件で捕まったギバの上司であった桃山。
その部下で、ギバよりも上の地位にいたというその男を、しゅーじはネットカフェに呼び出し、配信を通じて接触したのです。

しゅーじは、田尻にこう告げました。
よりによって処分する死体が隠してある日に、俺達みたいのが侵入してきて桃山が逮捕された。
あれは偶然なんかじゃない、ギバに仕組まれたんです。
桃山がいなくなったあと、跡目が変わったときに感じたはず、なぜ立場が上の自分ではなく、ギバが今仕切っているのか。
ギバが田尻と桃山を出し抜いたってことじゃないんですか?
……田尻は、ゆっくりと答えます。
ギバは、家のないうろついてたガキの一人だった。
桃山の兄貴に拾われて面倒見てもらってたんだよ。
もし裏切ったなら絶対許さねえ……!
こんな情報蛇動けねえんだよ、証拠を持ってこい!
最初に配信を始めた奴らとギバの接点を調べろ。
お前の目的は知らないが要はギバが目障りなんだろ?
あの事件がギバの号令で始まったことなら、俺がぶっ潰す!!

……平然を装ってはいたものの、しゅーじは相当緊張して田尻との交渉に挑んでいました。
話が終わった後、大きく息をついたものの……とりあえず一定の成果を得たことに満足します。
そこで……しゅーじは、息抜きにクローズドな配信をすることにしました。
ごく一部の、見知った視聴者しか見られないその配信でしゅーじが行ったのは……なんと、メイトの普通のデートのような配信でした。
リスナーの反応もたまにはいいなとおおむね好評、リクエストも出て二人は水族館で束の間の休息を楽しむのです。
が、水族館の魚を見てしゅーじはつぶやくのです。
この中の魚が一匹夜に率いなくなっても誰も気づかないんだろうな。
俺らも膵臓カモに鷹の違いがあるだけで同じだ。
鮫だのシャチだのとは、違うからな。
……思いつめたようなその表情を見て、メイは心配そうにしゅーじにどうしたのかと尋ねたのですが……
しゅーじは電波が悪いと言って配信を突然打ち切ります。
そして、メイにこう言ったではありませんか。
お前、もういいよ、と、
しゅーじはメイにいくらかのまとまった金を渡し、今までの報酬と手切れ金、あとは自分で何とかしろ、内輪じゃない配信のネタにも使えないし、足手まといなだけで役に立たない、用済みってことだ、とひどい言葉を投げかけ続けるのです。
が、それは彼女を守ろうという気持ちから出るもので。
俺はメイが言うような神様なんかじゃない、守ることはできないんだよ。
メイもすっぱりと袂を別てるように、あえて冷たい言葉を選んだのです……が。
メイから帰ってきたのは、一発のビンタでした。
……メイも、しゅーじの本当の気持ちを察していたのです。
そのうえでこう答えました。
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嫌です、私だけ逃げたりしません。
私も……行きます。
さいごの、底が見えるまで……

しゅーじはほうぼう探し回り、あの動画の配信者の一人を発見、田尻と引き合わせることに成功します。
そして田尻はその配信者にいくつかの質問を投げかけ……その中で確信したようです。
突然立ち上がった田尻は、全身から怒気を漲らせていて。
恐ろしいまでの迫力を秘めた瞳でしゅーじを見下ろし、はっきりとこう言い切りました。
わかった、あとは俺がカタを付ける。
てめえはアイツの持ってる借用書取り返せればいいんだろ?
動きがあったらメールするから待ってろ。

おそらくその先に待っているのは、血生臭いなどと言う言葉では済まない修羅場でしょう。
ですがこれで、ようやくしゅーじはすべてから解放されるチャンスを手に入れることができたのです。
しゅーじはメイの元に帰り、そっと彼女を抱き寄せてこうささやくのです。
俺もう、お前と金じゃない関係になりたいんだ。
……とうとう本当の気持ちを伝えたしゅーじ。
ふたりは結ばれ……しゅーじはメイのぬくもりを感じながら、願いました。
元通りになったら、今度はちゃんとしたい、普通になりたい。
うるさい姉貴、うざい家族、つまんねえ学校、ムカつく友達。
俺がぶっ壊したものが、ちゃんと全部元通りになるかわからないけど……

事を終えた後のメイが一人歩いていますと、嘉門が現れて問いかけてきます。
メイさんはこのまましゅーじが元に戻ったらどうするの?
ゴミみたいな自分だと、しゅーじと釣り合わないってわかってる。
好きな相手がどん底まで落ちても見捨てない、命を捨てても守ってあげるという立場でないとそばに居られない。
命くらいしか持ってないから。
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メイさんて、しゅーじが不幸な方がいいんでしょ。
僕と同じだ。
どうしようか、僕たち、しゅーじが元の幸せ取り戻しちゃったら。

二人の複雑の想いをよそに、しゅーじの元にこんな内容のメールが届きました。
解決は時間の問題。
詳細は会ってから話す。
田尻がギバの裏切りを上に報告したんだ、俺達の勝ちだ!!
歓喜の表情を浮かべるしゅーじは、すぐさま指定の待ち合わせ場所に向かおうとするのですが……
そのメールを送っているのは、田尻ではありません。
これでいい?田尻くんぽい?
田尻くーん。
女が、メールを送りながら田尻にそう問いかけています。
が、田尻は答えません。
すると女は、田尻の顔を覗き込んでこう言うのです。
あら。
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もう死んじゃった?
その女は……ギバのブレーンであるリサでした。
そして、田尻は顔面にくまなくびっしりとがテープを貼られており……もう、動かなくなってしまっています。
……田尻は、ギバと梨沙にその動きを察知され……始末、されてしまったのです。
と言うことは、このメールで呼び出された先に待っているのは当然……!!
しゅーじはやはり、この奈落の底から抜け出すことはできないのでしょうか。
もがく羊は、この奈落でどんな運命を迎えることになるのか……
いよいよ物語はクライマックスを迎えるのです!!


と言うわけで、ついに完結となる本作。
今までやりたい放題やられてきてしまったギバを、逆に陥れるようとしたしゅーじ。
ですが待っていたのは、その反撃の手段さえも潰されるという最悪の結末でした。
このまましゅーじはギバに捕えられ、メイたちとともにギバの手にかかってしまうのでしょうか。
反撃しようとしたしゅーじたちを、ギバは生きながらえることを許さないでしょう……!!
これからの反撃はあるのか、迫りよる最悪の結末は覆せないのか。
ここから更なる二転三転のある怒涛のクライマックスを迎えるのです!!

そんな佳境を迎えるクライマックス、やはりきづき&サトウ先生タッグでなければ描けない壮絶なものとなっています。
ギバやリサと言った、正真正銘の外道が、小悪党と言うにも小物なしゅーじをこれでもかと痛めつける様、そしてその反撃もまたダーティな手段に頼るとアウトローな物語はさすがとしか言いようがありません!!
そして最終巻にしてようやく明かされていくメイの本当の気持ちや、嘉門の驚きの正体など、伏線の回収も忘れません。
悪役の一人かと思われていたあのキャラの見せ場があったり、生配信と言う媒体の特徴を利用した様々な仕掛けが最後のほうまで生きてくるなど、最後までうならされることうけあいです!!
そしてやって来るフィナーレ。
まっとうな終わりなど迎えるはずのないかと思われていた本作が迎えるそのエンディングは、各キャラのその後をさらっとしつつもしっかり触れている上、独特の余韻を残すものになっています!!
そのフィナーレも必見ですよ!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!