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今回紹介いたしますのはこちら。

「マイホームヒーロー」第2巻 原作・山川直樹先生 漫画・朝基まさし先生 

講談社さんのヤンマがKCより刊行です。


さて、愛娘・零花を守るため、その彼氏であった延人を殺害してしまった哲雄。
娘を守ると言うことは、その生活を崩さない事でもあると考える哲雄は、延人が非道なアウトローであったこともあり、殺害した事実そのものを無かったことにして、隠蔽しきろうと考えました。
哲雄の妻である歌仙とともに挑む完全犯罪ですが、延人の父親はそんなアウトローな組織の幹部格。
延人を探す組織のメンバーが放たれ、そのうちの一人である恭一が哲雄の行動の違和感に気がついてしまうのです。



哲雄は、延人を処理した痕跡を消すための始末を続けていました。
なぜか周囲の部屋に警察が尋ねているなど、気になることはたくさんありましたが……とにかく処理は着々と進んでいます。
とりあえずの処置は終わり、零花の部屋をそっと出る哲雄。
するとそこに、歌仙からの電話がかかってきました。
不運にも電車の中だったため後でかけなおすと言って切った哲雄ですが、その電話、実はすごく重要なものでした。
零花に、零花の友人からストーカーについての質問の電話がかかってきたというのです。
ストーカーの話は、哲雄と歌仙があえて盗聴器の前でだけ話したフェイク。
それを聞いたと言うことは、哲雄関係の組織からの聞き込みがあった、としか考えられません!
すぐに打ち合わせが必要になる案件なのですが……このわずかなタイムラグが、とんでもないことを招いてしまうことになりました。
駅を出て、電話しないとと思い立った哲雄なのですが……その時、ものすごい衝撃が哲雄に襲い掛かります!!
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背後からやってきた二人組の男が哲雄にスタンガンを当て無力化!
そのまま攫って行ってしまったのです!!
そして、それは歌仙の元にも降りかかっています。
電話を待っていた歌仙、その顔に突然ラップが多いかぶせられ、そのまま地面に押し倒されてしまうというとんでもない出来事が!!
いつの間にか部屋に入り込んでいた数名の目だし帽をかぶった男。
歌仙をそうやって手荒に取り押さえた後、騒ぐな、と囁いたのです……!!

二人を取り押さえたのは、恭一のグループ。
哲雄夫妻が怪しいと目をつけていた恭一は、なかなか尻尾を出さない二人から強引に決定打を得ようと強硬手段に出たのです。
恭一は、哲雄の拉致班のほうに参加していました。
そして哲雄の首筋にナイフをあて、尋ねたのです。
何を……隠している?

哲雄の頭の中で、様々な考えが廻ります。
ここは車か?
何かがバレた?
死体か?
落ち着け、冷静になるんだ、カマをかけてる可能性だってある。
まずは目的を探るんだ……!!
哲雄はボロを出さないよう、隠してることって、なんのことでしょうか、とだけ質問で返しました。
恭一は、盗聴器の前でしていたストーカーの話は嘘なんだろう、そんなやつはいねえ、当の零花から「知らない」って裏は取れてんだよ、と答えながら、哲雄の後頭部を一発殴りつけました。
哲雄はまたも思案を巡らせ、答えます。
零花は関係ない、伝えていないんだ、と。
それは嘘を認めた……と言う意味で行った言葉ではありません。
殴りつけて痛めつけ、威圧してくる恭一に対し、哲雄はこう続けます。
ストーカーの存在は零花に伝えていない、自分と妻だけで解決しようとしていた。
去年の11月に家の前で不審者を見かけ、受験生であった娘に心配をかけないため秘密裏に解決しようとして、探偵を雇って調査の依頼をした。
その探偵は調査中「出張お掃除サービスの鈴木」と名乗るようだ……
そう告げると、恭一は黙って考え始めます。
やがてぼそぼそと仲間との会話が聞こえてくるのですが……そこで哲雄は、この尋問している恭一が、現場で鉢合わせした男だと言うことに気が付きました。
……帽子をかぶり、マスクをしていたとはいえ……顔を合わせている以上、あの時「鈴木」を名乗ったのが自分である事に気がついてしまうかもしれない。
そうなれば終わり……哲雄は、気が付かないでくれと祈ることしかできないのです。
……何も恭一からの声はかからないまま、車は目的地に着いたようです。
会話の感じからすると、車に乗っているのは4人。
それくらいしかわかりませんでしたが……その情報収集も、突然かけられた「暴れたら殺す」と言う声で中断せざるを得ないのです。

抱えあげられているせいで状況はわかりづらいですが、哲雄は砂利道のどこかを運ばれているようで。
やがて金属の扉が開く音、コンクリートの床を歩く音と音が変化していき……エレベーターの中で上がっている感覚が襲います。
エレベーターでの上昇はだいぶ時間がかかり……かなり上のほうまで運ばれてしまったようです。
そして、エレベーターから降りてしばらくたつと……こんな声がかけられたのです。
立て。
落ちたらマジで死ぬから絶対動くなよ。
そっと下ろされたその足場……金属の硬い感覚の床のようです。
が、足音が反響しません。
目隠しをされている為に、今の状況がどんな状況なのか完全に把握することはできていないのでしょう。
ですが……哲雄が感じた感覚は、こんなものでした。
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建築中のビルの屋上から、宙空につきだした足場の先端に立たされている……!!
まさに絶体絶命と言える状況に置かれた哲雄に、恭一は改めて質問をしてきました。
俺達が探しているのは、お前の娘の彼氏、延人だ。
娘が大学に居る時、延人は娘に会うため娘の部屋を出た、その後行方不明……
何か知らないか?
……知らない、と言いかけたところで思い起こします。
部屋に戻ってきた娘に、延人が暴れて出ていった、と告げたことを。
娘から何か聞いているのだとしたら、知らないと答えればウソがばれ、始末されてしまうことでしょう。
逆に零花から聞いていないとしたら、哲雄が知っている方がおかしくなります。
……慎重に、見極めるんだ。
そう考えた末、哲雄は……零花は、何か言ってました?と聞き返すことにします。
恭一は……一言、こう言うのです。
突き落とせ。
哲雄の背中に誰かの足蹴りが入れられました。
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哲雄は頼りない足場から投げ出され……真っ逆さまに、下へ……!!



と言うわけで、急展開を迎える本作。
いくら非道な男が相手で、娘を守るためとは言っても許されてはいけない哲雄の所業。
その報いはいずれ負うべきなのかもしれませんが……それにしてもこの展開は急激すぎるものでしょう!!
哲雄は拉致され、歌仙も拘束。
哲雄が一つでも判断を間違えば、一家は皆殺しにされてしまうかもしれません。
そんな間違いの許されない質問を、とんでもない恐怖とともに投げかけられるのですから……!

今までは哲雄にスポットライトが当たった状態で物語が進んできました。
主人公ですからまあ当然ではあるのですが、今巻からは恭一のほうにも光が当てられ始めます。
延人捜索のためならば手段を選ばない冷血漢に見えた恭一ですが、今巻で話が進んでいくうちに徐々にそんな態度の裏にある背景が明らかになっていきます。
そして、事情が大きく変わっていき、物語はまたも急展開へと進んでいくのです!!
哲雄と歌仙、恭一、そして組織。
それぞれの思惑が錯綜し、探り合い、時としてそんな思いの全てを頭からたたきつぶす暴力が振るわれる。
そんな息をのむ展開が、この後繰り広げられていくのです!!
急展開に次ぐ急展開で、先の展開や着地点が全く想像できなくなってしまう本作ですが……
果たして哲雄たちに当たり前の幸せが戻ってくるときはあるのでしょうか?
今後の展開を見守るしかありませんね!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!