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今回紹介いたしますのはこちら。

「Dr.STONE」第3巻 原作・稲垣理一郎先生 作画・Boichi先生 

集英社さんのジャンプコミックスより刊行です。


さて、緊急事態の対処のため目覚めさせた人類最強の高校生・司。
ですが司は科学の発達した大人が支配する以前の世界を良しとせず、腕力にものをいわせて千空たちの文明復活を断念させ、大人たちの石像をすべて破壊、子供たちが一から自然のままに生きる世界を作ろうとするのです。
科学が全てだった千空がそんなことを受け入れるはずもなく、司によって千空は死亡……したかに思われたのですが、起死回生の秘策のおかげで何とか蘇生。
大樹や杠と別れ、別のルートで科学を復活させることを選ぶのでした。



思わぬ出会いを果たした、コハクと言う少女。
どうやら彼女は、いるはずのない「原住民」のようです。
しかもその髪や瞳の色から言って、純粋な日本人ではない、ハーフか何かの様子。
そしてコハクは、千空の明晰な頭脳と的確な判断力などを見て、人間として好きになってくれたようです。

司を何とかするため、科学の力を復活させる。
そしてその為には、人手がいる。
そう千空が告げますと、コハクは付いてくるといいと言って先に立って歩き始めます。
何でもコハクは、温泉のお湯を汲んで帰り、療養のための風呂にするのだそうですが……
どう見ても健康そうに見える彼女に療養など要るのでしょうか?
元気いっぱいの雌ライオンがそれ以上健康になってどうするんだとひどいと場で素直な疑問をぶつける千空ですが、療養を必要としているのは彼女の姉なのだとか。
……よく見てみれば、そのお湯を入れている甕は50リットルくらい容量がありそう。
器を含めれば6~70キロはあろうかと言う重量物を、毎日何往復もして風呂にしているとは……
彼女にとって姉は、ものすごく重要な人物なのでしょう。
コハクはトレーニングのような物だと強がるのですが……彼女、ついさっきまで巨木の下敷きになっていたわけで。
致命的なダメージこそ負っていないものの、いくらなんでも影響がないほどの継承と言うわけもありません。
千空はそれを見越し、貸しやがれ、とコハクの甕を受け取って……
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コハクの上に乗った巨木の撤去に使った道具を再利用し、そりのようなものをこしらえて一気に目的地へと向かったのでした!!

辿り着いたのは、コハクの住む村でした。
聞けばなんと住人は40人もいると言います。
おそらく……コハクたちは、千空よりだいぶ前に石化から解放された人間の子孫なのでしょう。
今から何十年か、何百年か前に、男女数名が一斉に石化を解いた……
一体、どうやって……?
千空が石化から解けたのはまったくの偶然。
苦心して復活液を作り上げ、ようやく大樹や杠を復活させたわけで、自然に数名が同時に復活するなどと言うことはまず考えられません。
千空のような科学者がいて復活液を作った……にしても、村を見る限り科学的なものはほとんど見えず、原始的な暮らしをしているようで……
一体どこからどうやってこの連中は湧いて出たんだ?
千空の頭の中が疑問符でいっぱいになっているところ……二人の男がいきなり襲い掛かってきました!!
まっすぐに槍をついてくるその男たち、千空は反応すらできなかったのですが、それを上回るスピードでコハクが男たちの槍を捌きます。
狼藉はやめろ金狼、銀狼、私を救った恩人だぞ!
コハクがそう一喝すると、二人の男……金狼と銀狼は立ち止まって反論をしてきました。
よそ者は入れられない、ルールで決まっている。
村の外に人間はいない、いたとしたら過去に追放された罪人だ、個人的な事情は考慮できない。
取り付く島もなしと言った感じですが、コハクが次に行った言葉はその場の雰囲気をとたんに変えてしまうのです。
ならやむを得ない、今ここで、私と闘うか?
おお困った!2対1じゃないか、これは君たちが有利だな!
……コハクの顔は、言葉とは裏腹に自信と意地の悪さのにじんだ笑顔が浮かんでいます。
コハクと二人の実力差はどうも比較にならないレベルの様子。
金狼と銀狼は、途端にその勢いを失ってしまい……
そこで助け舟を出したのは、まさかの千空でした。
一触即発じゃねえか、悪い顔すんなお前はよ、と言いながら、温泉のお湯を掬い、懐中に入れていた石鹸をこすり合わせ……
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綺麗なシャボン玉を作って漂わせたのです!!
石鹸など見たこともないであろう金狼や銀狼、当然シャボン玉も見たことがありません!
思いっきり警戒しながら、逃げたり槍で突いたり……
その様子を見て千空は耳をほじり……そして、
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そのレベルなら、丸ごといただけるな。
科学力で40人のマンパワー、全員ゲットしてやるよ!
と……悪い悪い顔をして自信を漲らせるのでした!!



と言うわけで、「村」編が始まる今巻。
千空ひとりではどうやっても科学の復興は不可能ですから、コハクのようないるはずのない先住民にかけてみたわけですが……その目論見はひとまず成功だったと言っていいでしょう。
ですが、得体のしれない先住民、コハクはとりあえず味方になってくれるでしょうが、それ以外がどんなスタンスで来るのかは全く分かりません。
ともすれば、よそ者など絶対に認めないという頭の凝り固まったものばかりなのかもしれませんし、さらに下手をすれば敵意を持って襲い掛かってくるものがもっと大勢いるかもしれません!!
ですが千空には勝算があるのでしょう。
この悪い悪い笑顔の裏にある企みは、一体どんなものなのか?
とっておきのその企み、この後ったっぷり披露されるのです!

人間のいない世界で科学を復興するという物語の都合上、本作はどうしてもキャラクターを絞らざるを得ませんでした。
ですがこの村編に突入し、登場人物は一気に誇張なしの10倍になったわけです!!
大勢のキャラクターを、埋もれないようにそれぞれ強い個性を持たせるのは稲垣先生の得意とするところ。
早速コハク、金狼と銀狼と、個性的なキャラクターが登場してくれました。
さらにこの後も物語の鍵を握る強力なキャラクターがあらわれ、さらに物語を彩り豊かに!!
そんなキャラクターたちの個性に負けないBoichi先生の作画も一層こなれていき、ぐいぐい読者を惹きつけてくれるのです!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!