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今回紹介いたしますのはこちら。

「生者の行進」第1巻 みつちよ丸先生 

集英社さんのジャンプコミックスより刊行です。


みつちよ丸先生は、17年にジャンプ+の連載グランプリの第1位を獲得してデビューした漫画家さんです。
その受賞作である本作を同年に連載開始、そして単行本刊行となりました。

本作は、ホラー漫画となっています。
と言っても直接霊や怪物が襲ってくる類のものではなく、それらを鍵として起きる事件を探り、解決しようと奮闘するタイプのお話です。
その内容はと言いますと……



コンビニでアルバイトする少年、吉川泪。
彼は、ある女子高生のお客さんの接客をしている時、奇妙なそぶりを見せ始めます。
できる限りその女子高生の顔を見ないようにしているような動きをしながらも、ちらちらと様子をうかがうような……
泪がそうやってうかがっているのは、一目で目を奪われてしまうその唇です。
……と言っても、その女子高生の唇ではありません。
彼女を抱きすくめるかのように背後にへばりついた、
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見るもおぞましい「それ」の唇です。
それと目を合わせてはいけない、それと関わってはいけない。
泪の本能が、全力でそう囁いていたのです。

始まりは4年前。
泪のまだ幼かった弟が交通事故で亡くなりました。
棺桶に縋りついて泣き崩れる母親。
その背中に抱き着くようにしていた、弟の姿を見たのが最初のことです。
それから泪の目には、様々な「霊」が映るようになってしまいます。
その霊は、首から先を電信柱の中に埋もれさせていたり、うずくまってぶつぶつと呟いていたり、様々な姿をしていましたが……取り立てて恐怖を感じることはありません。
霊はそのあたりに生えている草と同じようなもので、ただぼんやりとそこにいるだけなのですから。
彼を悩ませるのはいつも霊ではなく……生きた人間なのです。
ですがそんな彼が初めて恐怖を……狂気を感じた霊。
それが先ほどの女子高生にへばりついた霊だったのです。
腐った肉のような不快なにおいを放ち、イヂ、イヂ、と彼女の背中で漏らし続けていたあの霊はいったい何なのか。
良くないもの、である事だけは間違いないのですが……下手に首を突っ込めば自分がどうなるかわかりません。
泪は、自分には関係ない、とその霊のことを忘れようとするのです。

泪は泪で、他の人にかまっていられない事情があります。
4年前、弟の死から止まったままの母親の時間。
そんな母は、泪がにらめっこしている進路希望表に何と書けば喜んでくれるのでしょうか。
考えても出ることのない答えを……泪は、隣に座っている弟に尋ねました。
いつも泪の傍にいる弟の霊。
霊と言うのは、死ぬ直前のわずかな記憶や感情がその場に残されるだけで、複雑な思考はできないようで。
もしかしたら弟は、死んだことすらわかっていないのかもしれません。
ですから何を語りかけても弟が答えることはないのです。
そもそもなぜあれだけ悲しんでいる母のところではなく、自分のところに現れるのか?
泪は虚空を見つめて座り込む弟に背を向け、ベッドに寝転がるのでした。

翌日。
登校する泪に、幼馴染の高岡まどかが声をかけてきました。
今は誰が見ても美少女と言う感じのマドカですが、子供のころは女版ジャイアンとでもいうべきいじめっ子でして、泪を悩ませる人間のうちの一人でした。
今はすっかり普通の女子らしい恰好や生活をしていらっしゃいますが、そのころのトラウマが残り、泪は彼女が苦手なまま。
ですがそんなことも知らず、まどかは新装開店したカフェにつきあってくれと泪を遊びに誘うのです。
あまり気乗りしない泪の口答えを打ち切るように、まどかは話題を変えてきました。
今朝のニュース見た?女子高生メッタ刺し事件。
……何でも近所で女子高生が通り魔に襲われてなくなったんだそうですが……
早速そのニュースを調べてみて、泪は戦慄します。
被害者となったその女子高生は……
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コンビニで見た、あのおぞましい霊にとり憑かれていたあの女子高生だったのですから!!

その日もバイトのシフトに入っていた泪でしたが、店長から少し早めに来るようにとの連絡が入ります。
事件の直前に被害者の女子高生は泪が接客していたコンビニに立ち寄っていたわけですから、事情聴取か何かをされるのだろうか、と言う考えにたどり着いた泪。
実際その通りで、泪は質問してくる刑事に対し、彼女は普通な感じだった、と答えます。
大きな唇の化け物が後ろにいた、などと言っても正気を疑われるのがオチですから、その判断は間違っていない……はずでした。
ですがその際、その女の子は本当に殺されたんですか、事故じゃなくて?と質問したことや、その前の泪のある言動に捜査に当たっていた刑事は何か引っかかるものを感じたような……?
ともかく事情聴取はすぐに終わりました。
防犯カメラにも特に何か映っている様子もなく、泪の証言とも食い違いがないのですから。
何か思案しているような表情を浮かべたまま、刑事は去っていきます。
泪もそれを見送りながら、こんなことを考えていました。
生きた人間に殺されたのなら、霊に呪い殺された、と言うわけではないだろう。
あれは悪霊と言うより死神のようなものだったのだろうか……?
そんなことに頭を悩ませていた泪ですが、そんな泪のこんがらがった頭の中を一気にはじけ飛ばせるとんでもない出来事がその直後に巻き起こってしまいます!!
コンビニに様子を見に来たまどか。
そのまどかの背中に
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あの霊が張り付いていたのです……!!



と言うわけで、理不尽な恐怖に巻き込まれてしまう泪。
「見える」ようになってから、初めて目撃した悪意を感じさせる霊。
その霊も、自分のことではないから、と見ないふりを決め込んでいた泪ですが、その矛先が自分の身近な人物に向いてしまうこととなりました!!
それでも単純な悪霊で、祟りを巻き起こすのならば、神社なりお寺なり、霊能力者なりを頼って駆け込めば事態は進展するのかもしれません。
ですが、この霊の影響によってもたらされる死は、生きた人間によるもの……!!
果たしてそれが霊媒だけで解決するものなのでしょうか?
泪は、まどかを助けるために彼女に事情を明かし、そして……自らもまた、悪霊の影響を打ち砕こうと奮闘するのです!!

本作の肝となるのは、もちろんそのおぞましすぎる悪霊の齎す恐怖と、その謎、影響からの脱出と言う悪霊を鍵とした物語です。
ですが、それだけが本作の目玉ではございません!!
すでにまどかの周りでちらつく怪しげな人物。
捜査に当たる刑事の過去。
まどかの内に秘めた思い。
そして、泪の抱える暗い闇……!!
それらが絡み合い、単なる霊に挑むだけの物語ではないストーリーが展開していきます!!
この後気になるキャラクターなども登場し、事態はどんどんと混迷。
予想の出来ない展開が続き、これからの物語に来たいと恐怖が膨らんでいくのです!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!