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今回紹介いたしますのはこちら。

「リウーを待ちながら」第2巻 朱戸アオ先生 

講談社さんのイブニングKCより刊行です。



さて、 横走市に嵐のように巻き起こった死の病・ペストのパンデミック。
玉木達の奮闘によって、とりあえずの危険は去った、かに見えました。
ですが横走中央病院でかつて起こった院内感染が、恐怖のペスト菌をさらに恐ろしいものにしていたことにその時は気が付かなかったのです。横走のペスト菌は多剤耐性を有しており……抗生物質の効果のない、より致死性の高いものへと変化していたのです!!



基本再生産数、と言うものがあります。
これは一人の患者が平均して何人に感染症を映してしまうのかを数値化したもので、インフルエンザは2~3、麻疹は12~18とされています。
それを、今回のペストが5だった、と仮定しましょう。
ある人がペスト菌と多剤耐性のサルモネラ菌に同時感染し、体の中で薬の効かないペスト菌を作って一人目、になります。
そしてその人が3日で5人に感染症をひろげます。
その5人が3日間でそれぞれ5人ずつ感染症をひろげる。
するとこの時点で感染者は31人となっています。
次の3日で25×5+31、156人。
ここまで患者が増えるまでにかかっているのは、わずか10日。
そしてその3日後には、700人を超える……!!

横走中央病院でも、患者は爆発的に増えていました。
院外にはたくさんのテントが建てられ、そしてそこにはたくさんの患者が寝かされています。
容体の急変を表すアラートはなりっぱなし。
玉木はどんどんと患者の手当てに当たるのですが、奮闘もむなしく、患者たちは次々と亡くなっていってしまいます。
ひび棺桶の数は増えていき、そして……火葬も間に合わず、放置するわけにも行かない棺桶は、うめられることになります。
重機で掘られた穴に、並べてうめられた棺桶。
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それは今や、見渡す限りに広がる数になってしまっていたのです。
その絶望的な状況を見て、玉木はなお戦意を喪失してはいません。
何か他に打つ手はないか、未承認の抗生剤とか、ワクチンで症状が軽くできないか。
そんなことをつぶやくのですが、原神は冷静に異を唱えていくのです。
未承認の抗生剤も試せるのは2~3人、現行のワクチンにそんな効果は認められていない。
そして、玉木を評価したうえで、残酷な現実を告げるのです。
本当に君は闘志あふれる人だね。
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でも、僕らはもう負けた。
そしてこれからは負け続けるんだ。
僕らはペニシリン以前の治療しかできないんだからね。
君は少し休んだほうが良いな、ここからは長い別の戦いになる。
……玉木はそう言って……これからも出続けるであろう、無数の死者を暗示するのでした。

原神は、ラジオでありのままの真実を語りました。
上層部はパニックになるだろうと怒り心頭のようですが、原神は現状狙い通りに事が進んでいると笑うのです。
住民と言うのは意外にパニックを起こさない。
一方エリートは必要以上にパニックを恐れて押さえつけようとする。
つまり、自分たちの作戦に許可をくれやすくなる。
そう言って、原神は二佐にある作戦を勝手に実行に移すようお願いし、答えを聞かないまま会話を打ち切ってしまいます。
その行動は強引そのものですが、二佐は効果があると考えたようで。
少し考えた後、早速行動を移します。
そして……勝手な行動を注意される前に、原神を通して上よりも上に話が通り……彼の予定通りに「宣言」が発令されたのです。
全ては夜が明ける前に終わりました。
二佐は部下たちに命令を出します。
設置開始!
これより我々は感染症法に基づき
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横走市を封鎖する!!



と言うわけで、いよいよ悪夢が形になりつつある今巻。
致死率100%に至ろうかと言う恐ろしい治療不能の病気が蔓延した横走市が、病気の拡大を防ぐために封鎖される。
確かに恐ろしい病気の封じ込めには最善の策と言えるでしょう。
言えるでしょうが、住民はどう感じるでしょうか。
衣食住が保証されている限りは、封鎖された市内でもそう簡単にパニックにはならないという原神の読みは間違いなさそうではあります。
ですが刻一刻と不満が蓄積していくでしょうし、それが限界を迎えたときはどうなるかわかりません。
そして何より忘れてはいけないのが、爆発的に増えていく患者の数です。
倍々ゲームもかくやと言う、3日で5倍に増えていくこの病気。
横走市の人口は約9万人とのことで、5倍5倍と増えていけば……あと10日あまりで全人口が罹患してしまうことになってしまうわけで……!!
このまま玉木は、敗北が決定した戦いを続けていくしかないのでしょうか。
原神も割り切って、このまま事態の沈静化を待つだけの行動にいそしむのでしょうか?
玉木や原神がどんな道を選んだとしても、待っているのはつらく苦しい茨の道である事だけは間違いないでしょう。
横走にリウーは現れるのか、現れるとしたら、それは誰なのか。
そして、横走の人々はどうするのか?
閉塞感の高まる緊迫の展開は続き、読者も息詰まるほど没入してしまうことでしょう!!
絶望に次ぐ絶望、その中に見える更なる不安……この先に希望が見えることを願いつつ、今後を見守っていきましょう!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!