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今回紹介いたしますのはこちら。

「欅姉妹の四季」第1巻 大槻一翔(おおつき いちか)先生 

エンターブレインさんのハルタコミックスより刊行です。 


大槻先生は14年からハルタで活躍されている漫画家さんです。
何本かハルタで読み切りを発表したのち、17年より同誌で本作の連載を開始。
めでたく単行本刊行となりました。

本作はとある姉妹にスポットライトを当てた日常もの。
個性豊かな姉妹たちが過ごす楽しい日常とは……?



大音量で鳴り響くテレビの音。
台所からひっきりなしに聞こえる、水を出す音やら炒め物やらの音。
そして、腕立て伏せの数をカウントする声。
そんな音の真っただ中で本を読んでいる次女、朱美の顔には明らかな不満の色が見て取れます。
静かに本を読みたい朱美は、せめてとばかりにテレビのボリュームを下げました。
するとすぐさま、腕立てをしていた三女・いずみがボリュームを上げ直してしまうのです。
ジトッといずみのほうをにらみつける朱美ですが、先に不満の声を上げたのはいずみのほう。
下げないでよ、運動してると聞こえないんだから、と漏らし、再び腕立て伏せにいそしむのです。
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たまらず朱美も言い返そうとするのですが、タイミング悪くその顔に何かの生地がかぶさってきてしまいます。
四女の瞳が何やら刺繍を施している生地が、何かの拍子に朱美のほうへ行ってしまった様子。
瞳はごめんね朱美ちゃん、と謝って布を回収。
すっかり起こるタイミングを逃してしまった朱美は、気を取り直して読書を再開したのですが……
今度はものすごい勢いで鳴り響く電子レンジの音なんかが気になってきてしまいます。
流石にご飯を作ってくれている長女の睦実のほうには怒るわけにはいかず、朱美は頭を抱えるのです。
……結局、正攻法(?)で行くことにしました。
いずみに、せめてあっちの部屋で腕立てをしてくれないか、とお願いするのです。
しかしいずみはきっぱり拒否。
今見ている戦隊ものが見られない、と言うことのようで。
イライラの募る朱美は、テレビか運動かどっちかにしなさいよ、うるさいし汗臭いんだけど、と棘のある言葉で文句を言うのですが……あっそ、といずみはまったく取り合いません。
その態度に一層いらだつ朱美、さらに文句を言おうとするのですが、いずみのほうが何回やったか忘れちゃったじゃないか、と文句で返してきます!
ケンカになりそうなそこに、瞳が107回だよと優しく教える声が届きます。
それを聞いた朱美は、教えなくていい、音から動きから匂いから、騒々しいったらない、と買ったばかりの本に集中できない現状を憂える声を上げました。
一方のいずみはと言いますと、107回だと聞いて、やり過ぎた……と落胆した……かと思いきや、せっかくだし200回目指そう、と腕立てを再開しちゃいまして……
あっちでやれ、いやそっちこそあっちで本を読め、と喧嘩になる二人ですが、今度は睦実の声でそれが中断されることとなります。
誰か洗濯ものほして、と普通の声で声をかけたものの、喧嘩中の二人に聞こえていないと見るや、
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隣のうちにまで響く大きな声で洗濯物!と叫んだのですから、流石の二人もその声に従う他ございません。
瞳は身長が低く、踏み台が見当たらないため洗濯物星をスルー、いずみに至っては走りに行くからと拒否……
図太く育ったこと!と文句を言いながら、朱美は洗濯物を干すのです。
ですが怪我の功名と言いますか、洗濯物干しをしている時、縁側ならば落ち着いて本が読めそうだと言うことに気が付きました。
ここならばとようやく腰を落ち着ける朱美なのでした。

が、そうなると今度はこっちのほうも騒がしくなってきました。
洗ったシューズはやっぱり屋根の上が一番よく乾く、と梯子を取り出して屋根に上がるいずみ。
そしてそのままランニングに行こうとすると、睦美が大声で水を持っていきなさい、と声を張り上げ……そこから、おやつのサンドイッチの具は何がいい?と言うお話が縁側で始まってしまうのです。
我慢できなくなった朱美は、何が食べたいかと言う質問に対し、エビグラタンの揚げサンド、とつっけんどんに言い返して自分の部屋へと戻っていくのです。
が、そこでも邪魔が入ります。
瞳が「ひもの入った箱」がない、と部屋に入ってきてあちこち探し始め……
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朱美の前には、何が入っているのよくわからないいろいろな箱がうずたかく積まれていってしまうのです。
ちゃんと片づけて、とだけ言って、務めて本に集中しようとする朱美でしたが……全く見つからない瞳が、困った顔で探すの手伝って、とリクエストしてきまして……
可愛い妹の頼み、流石にスルーはできません。
ある程度一緒に探しても見つからないので、無い、たまには一人で頑張りなさい、とだけ言い残して今度は再び今に戻るのです。

結局ひもの入った箱は、睦実が見かけたからと口を出してくれて無事一件落着。
瞳は上機嫌で出した箱を片付け始め、睦実のほうもなんだかものすごい勢いで作っていた料理が完成した模様、ようやくこれで落ち着けそう……と思いきや、今度はこんがらがっていたひもをほどくのを手伝ってだとか、あわただしく帰ってきたいずみがドタバタやりだしただとか、お風呂の準備だとかでまた騒がしくなってしまうのです。
もう外で本を読んでやる、と思えば、雨が降り出してきていて……
他のみんなは、出来上がったサンドイッチにご執心。
やむなく皆が忘れていた洗濯物を取り込んで、部屋の中に投げ入れると……どけといずみを押しのけて座り、サンドイッチを手に取るのです。
なんでそんなに怒るのよ、と言ういずみの不満を聞きながら……朱美はこう漏らさずにはいられなかったのです。
どいつもこいつも邪魔ばっかり!



と言うわけで、こう言った何と言うことのない日常の一コマを切り取っていく本作。
主人公格となるのは朱美といずみのようで、この四姉妹の中で最も性格が違い、だからこそ仲のいい二人を中心に物語が展開していきます。
運動大好きで、雑なところも多いいずみと、何事もきっちりしていて読書家の朱美。
そんな二人が見せる小競り合いと仲良しな様子がたっぷりと楽しめます。

各キャラ一人一人の魅力も堪能できるようになっているのも注目したいところ。
いずみは雑ではあるものの男っぽいというわけではなく、ところどころ乙女なところを見せてくれたり、なんだかんだ家族が大好きなところを見せてくれたりと言う顔も魅力的。
朱美もその真面目さゆえに突っ込み役に回りがちですが、そんな落ち付いた魅力だけでなく、等身大の悩みを持っていたり、いずみととっくみあいをしちゃったりする可愛らしさもみられます。
今巻ではやや出番の少ない睦実と瞳も、それぞれ全く違う性格をしているものの、その優しさや器の大きさと言った魅力がしっかりと見て取れるのです!!
キュートな姿やセクシーな姿、ドタバタ劇からしんわりとくるいいお話……
ご近所さんなんかも絡みまして、個性豊かすぎる4姉妹が様々な姿を見せてくれる、楽しい一冊に仕上がっていますよ!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!