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今回紹介いたしますのはこちら。

「はぐれアイドル地獄変」第6巻 高遠るい先生 

日本文芸社さんのニチブン・コミックスより刊行です。


さて、歌手を夢見て上京したはずが、気付けば身に着けた空手と恵まれた体を生かし、バラドルとして活躍することになった美空。
その芸能生活で、芸能界の光と深い深ーい闇をたっぷり味わってきた美空ですが、そんな闇関係を発端にして女性の身で行われる格闘トーナメントに参加することになってしまいます。
果たして美空は格闘トーナメントで自分の求めるような結果を手にすることはできるのでしょうか……?



いつものように仕事をこなし、いつものように友達や仕事仲間とあんなことやこんなことをする。
そんないつも通りの日々を過ごしていても、その時はやってくるものです。
地球最強美女決定戦、戦乙女闘宴(ヴァルキリー・オペラ)。
その第1戦が行われる時が。

この大会が行われることとなったきっかけともいえる存在が、美空です。
それだけに口火を切るのはやはり美空の試合となるようで……この大会の今後の命運を占うと言ってもいい初戦のケージの中に、美空は入っていきました。
対戦相手は女子高生にして現在の日本女子格闘技界のトップを走る若き超実力派、AIRI。
AIRIを前にして美空は……何と、空手着を脱ぎ始めたではありませんか!
そしてあらわになったのは、美空の鍛え抜かれた体と豊満なおしりやお胸、大事なところだけをかろうじて隠している、と言った感じの布の少ない水着!!
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グラドルとしても正装じゃないとね、とAIRIにウインクする美空。
真面目なAIRIは、その態度にさっそくぶち切れてしまいます。
なめやがって、頭おかしいんじゃないの?そう歯を食いしばるAIRI……!
彼女はいきなり切れたように見えますが、この少し前にも面白くないことがあったことも積み重なってのぶち切れだったりします。
実は今日12試合予定されておりまして、16人の選手がこの会場で出番を待っていました。
ですが、選手たち数名プラス各セコンドで共有している控室の中に、美空やミカの姿がないのです。
彼女たちには、それぞれ個室の控室が用意してあるから、ここにはいないと言うことのようで。
そもそも彼女たちの本業はアイドルやアナウンサー。
芸能人に個室の控室があるのは当然と言えば当然なのですが、今日の大会では他のメンバーと同じ一参加者だという考え方もできなくはありません。
AIRIやセコンドはそこにちょっとカチンときていたようで、試合前にはせいぜい甘やかされてりゃいい、リングに上がれば関係ない、だから格闘技ってやつはいいんだ、とその怒りを戦いでぶつけようと意気込んでいたのです。

そこでこの挑発めいた脱衣です。
一気に頭に血がのぼってしまったというわけです。
プロデューサーはその姿を見て、画すべきところは隠しているから恰好は問題ない、それよりもむしろ、これが作戦だとしたら恐ろしい、と解説しました。
敢えて敵の苛立つ行動をとって見せ、冷静さを失わせる。
これはまるでかの宮本武蔵が巌流島の決闘であえて遅刻したあの作戦を彷彿させる行動です。
美空のことですから天然でやっているかもしれませんし、狙ってやっていてもおかしくはありません。
なんにせよ、狙ってやったのだとしたらそれは「スポーツマン」と言うよりも、「武術家」と言うべきでしょう!!

様々な思いが錯綜する中、ゴングはなりました。
AIRIはまっすぐ駆けだして間合いを詰めていきます。
そして、気合と怒りのこもった連打を放つのです!!
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その攻撃に込められた力は、流石トッププロと言うべきもの。
あのモンスター級のフィジカルを持つ美空が、その圧力に押されているではありませんか!!
AIRIはまだまだ攻撃を休ませません。
彼女の中にはこんな思いが暴れまわっていました。
空手をかじった程度のアイドルと、本気のプロ格闘家。
技術、馬力、覚悟、気迫、執念、とにかく何もかも全部の圧倒的格差を思い知れ!!
連打に思わず下がってしまった美空、AIRIはそこに付け込みます!!
すかさず踏み込み、すかさずローキックとミドルキックの中間の軌道を描き、相手の脇腹や鳩尾、内臓に足先で蹴りを差し込む「三日月蹴り」……!!
まともにくらえば悶絶必至、AIRIのフェイバリットが早くも繰り出されたのですが……
その蹴りは、美空の体に届く前に受け止められてしまいました。
そして今度は逆に美空が間合いを詰め、右上段正拳突き一閃!!
たまらずAIRI、尻もちをついてダウンを喫してしまいます。
美空に寝技はできません。
できることと言えば、ダウンしている相手への追撃の拳を放つだけ!!
……ですが、ここで哀しいかな「試合」の経験の少なさが出てしまいます。
美空が選んだのは、強烈な正拳突き、
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の、寸止め……!!
勝利を確信して笑顔を見せる美空。
空手の試合や、実力差を見せるためだけの戦いならばこれで決着していたでしょう。
ですがこれは、ルールのある試合!!
バカ、と観客として来場していた、以前お世話になったことのある伊庭監督が叫んだ時にはもう手遅れ。
AIRIはにやりと笑い、瞬く間に美空を三角締めに捕えるのでした!!!



と言うわけで、満を持して幕を開けた戦乙女闘宴。
普通の格闘漫画ならば初戦は主人公が軽く対戦相手を一蹴して景気をつけるところなのでしょうが、そこは高遠先生、当たり前には進みません……と言いますか、そもそもこれは格闘漫画ではない、はずです。
今までも数々の難敵、フィジカルの面では手も足も出ないような超巨漢、一撃必殺の剣術家、などなどと戦いを交え、生き延びてきた美空とはいえど、やはりこの場の登ってきたのは腕に覚えのある者達ばかり。
寸止めで勝負を決しようという、いうなれば「油断」を見逃してくれる相手などいないのです!!
美空のみならず、この後登場してくる選手たちも気になる存在ばかり。
高遠先生ファンとして見逃せないミカの対戦相手は女子レスリングの強豪とやはり難敵。
さらに気になる名前のサバット使いのボアザン、どういう戦い方をするのか気になる「警察」「女子相撲」「カラリパヤット」などなどの様々な流派の使い手がごろごろと登場します!!
尺の都合上(そしてサービスシーンの挿入しづらさの都合上)多分この美空の試合のある日に行われる試合以外はしっかり描写されないと思われますが、出来る限り多くの試合を見たいところ……!!
熱戦が多く繰り広げられるこの大会、見逃すべからず、です!!

そしてその試合内容以外にも何かきな臭い雰囲気も漂ってきました。
前巻に出てきた美空の父を知る謎の人物、そして今巻で明かされる父の死因。
そのあたりから、なんだか結構シリアスで長丁場のドラマが展開する予感も……!?
ますます目の離せない大会編ですが、エロス成分の関してはとりあえず今巻はご安心ください。
大会編でのエロスの薄さを予見して(?)、前半ではものすごい勢いでサービスをしてくださいます!!
そっち方面目当ての方も満足間違いなしですよ!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!







……大会に「シンシア」のキャラでませんでしたね……
ちょっとあっちのメンバーはガチすぎたんでしょうか……!