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 今回紹介いたしますのはこちら。

「飼育少女」第1巻 仲川麻子先生 

講談社さんのモーニングKCより刊行です。


仲川先生は11年に千葉哲也賞大賞を受賞してデビューした漫画家さんです。
 14年から連載デビューを果たし、全1巻となってしまいましたが単行本も刊行。
17年よりベビモフと言う、パパ&ママ向けと言うちょっと珍しいコンセプトのweb漫画誌で本作の連載を開始しました。

そんな本作は、タイトル通り、主人公となる少女を中心に「飼育」をテーマにした出来事を描いていく作品となっています。
その内容はと言いますと……?



鯉住のぞみは、生物の対馬先生に呼び出されていました。
なぜ自分が呼び出されたのか、まったく思い当たるところはありません。
授業は違う先生ですし、接点らしい接点と言えば掃除をしているときに監督としてそこにいる、くらいのもの。
……そう言えば掃除の時、友達の亜依がこんなことを囁いていました。
対馬って全然笑わないし、目がヤバいよね、なんで教師やってんだろ、エロ目的?
…………そう言うことなのか!?
思わず身構えてしまうのぞみですが、対馬がとった行動は全く予想すらしなかったものでした。
インスタントコーヒーの空き瓶のようなものを取り出し、これをあげますと差し出してきたのです。
その瓶には水がたっぷりと入れられておりまして、その中にはもやしの先端が枝分かれしたような、毛の抜けきったはたきのような……変なものがいくつか漂っています。
「ヒドラ」だと、対馬は言いました。
正確には淡水産のヒドラですが、刺胞動物の仲間で野生では池沼の枯れ葉や石に付着しています、再生能力が強くて体をいくつかに切ってもそれぞれ完全な個体になったり、不老不死と言うことでも有名です。
そう一気に説明をしながら、やっぱり瓶を差し出してくる対馬……
なんでも、先日の掃除中にのぞみがネコを見かけて、「ウチもなんか飼いたいけどマンションなんだよね」と漏らしていたのを聞いていたとのことで。
代わりに教材用のでよければ、とヒドラをくれたというわけです。

正直をいって、希海は自分がそんなことを言ったと言うことすら覚えていませんでした。
つい受け取ってしまったそれですが、5分ほど眺めていても延々漂っているだけで……早くも飽きてきてしまいます。
水槽に移して間接照明にすればおしゃれになるか、と思ったものの、いざやってみるとなんにも見えません。
がっくりと膝をつくのぞみですが、せっかくなんだからと餌槍をしてみることにしました。
餌は、ブラインシュリンプです。
小さな水生生物の餌としてよく使われている、オキアミなどのような極小さい甲殻類で、比較的簡単に増やすことができるとのこと。
卵を塩水で戻すと1日で孵化すると言うブラインシュリンプ、孵化した後はろ過して塩を抜いて真水で洗い、スポイトで取って……ヒドラの待つ瓶の中に移してあげました。
しばらくは餌が来たことにも気がついていない感じでしたが、いざブラインシュリンプがヒドラの近くにやってきますと……
その触手を素早く動かし、目にもとまらぬ速さで捕食したではありませんか!!
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それはまるで、コズミックなホラー小説の世界にいるような怪物を彷彿させて……!!
その捕食風景に戦慄するのぞみでしたが、すぐその後気分ががらりと変わりました。
餌を食べたヒドラは、お腹を膨らませ、中が透けて見えてほんのりピンク色に染まっていたのです!
ちょっぴりときめいた希海はすかさずその様子を写真撮影。
まじまじとヒドラを見ていると、その捕食光景に興味がわいてきました。
元気よく泳いでいるブラインシュリンプが、ヒドラの触手に触れた瞬間からぐったりと動かなくなってしまう。
と言うことは、自分がさわってもなにかびりびりしたりするのだろうか……?
のぞみは胸を高鳴らせながら、瓶の中に指を……!!

翌日。
結局何ともなかった、と対馬に昨日会った出来事を話したのぞみ。
何かあったら大変だ、毒を持った生物もいるからむやみに触らないように、と諫められた後、ヒドラを駆ってみた感想を尋ねられました。
のぞみの感想は一言、すごくかわいいです!と言うもの。
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とった餌を全部口に突っ込む意地汚いところとか、普段ひょろっとしてるのに食べた後ギュッとなることろとか……と、ときめきを隠そうともせず熱く語るのぞみ。
それを見て、対馬は心の中でガッツポーズをとっていました。
良い、いいよ鯉住さん、素人ならではのピントの外れた感想、眩しい!
やっと見つけた、理想の生徒……!!
私の目に狂いはなかった、記録しておかねば!!

その後ものぞみは、ヒドラの魅力を次々に発見していきます。
ブリッジのような体勢をとったかと思うと逆立ちし、そのまま後ろに倒れて元の体勢に戻る。
これは某有名事務所の男性アイドルがよくやるバク転じゃないか!
しかもヒドラは不老不死、と言うことはまさに
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永遠のアイドル!!
瓶に映えてるんだとばかり思ってたけど、恐るべきポテンシャル……!!

こうしてのぞみはヒドラの魅力に取りつかれてしまいました。
もっとヒドラのいろいろな姿を見たいというのぞみの声を聞きながら、対馬は考えるのです。
見たい、そう、もっと見ていたい。
そして……対馬は提案するのです。
私たちの周りには凄い生き物がたくさんいます。
飼ってみませんか?
大丈夫、飼い方は私が教えます。
……見ていたいなら、飼えばいい。
飼育に必要な物。
それは……飼料の補給、環境の維持、運動の確保。
……そして、観察、なのです!!



というわけで、のぞみの飼育がスタートする本作。
このヒドラを皮切りに、のぞみは様々な生物の飼育をすることとなります。
ヒドラのようなマイナーな生き物だけではなく、知らないものからすればそれを見て何が面白いのか分からないフジツボ、最強生物と名高い(?)クマムシ、これまた動きの乏しい印象のあるナマコと言ったメジャーなものも取り揃えています。
そう言った水槽で飼うような、水棲の小動物をメインに、のぞみがその独特の視点でカワイイを感じて心を躍らせる日常が描かれていくのです!
動物の知られざる一面を見て楽しむだけではなく、のぞみの独自の反応が本作の見どころのひとつ。
彼女ならではの発想に驚かされるやら笑わされるやらと、読者を楽しませてくださいます!
と、そんな要素をメインにして、対馬や、この後登場する新キャラのひとみと言った人物の思惑も絡んできたりします。
対馬の真の目的は何となくわかるような気もしますが、のぞみもなんだかその目的を察しているような?
対馬、のぞみ、ひとみ、あと最近変な趣味にはまっているのぞみを心配している亜依なんかも絡んで、これからも「飼育」の様子が描かれていくのでしょう……!!
一同の今後の活動を見守っていきたいところです!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!