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今回紹介いたしますのはこちら。

「ぶっきんぐ!!」第1巻 美代マチ子先生 

小学館さんの裏サンデーコミックスより刊行です。 


美代先生は16年にちばてつや賞準大賞を受賞、そして17年よりマンガワンで本作の連載を開始した新人の漫画家さん。
そんな美代先生の描く本作は、本屋さんを舞台として先生自身の経験を生かしたあれこれを描いていく職業もの。
気になるその内容はと言いますと……?


時は2006年。
時代の潮流、そして大手通販サイトの台頭などもあり、本屋さんの数は年々減り続けています。
そんな話題を告げるニュースを見て、かの子は、そんなに今本屋さんってヤバいんだ、と他人事そのものの感想をつぶやいていました。
その言葉を聞いて、かの子のお母さんは青筋を立てながらこう言います。
本屋さんの心配をする前に自分の心配をしなさい、と。
かの子は半年前、美大を卒業したところです。
が、就職どころか就職活動すらせず、無職生活を続けていました。
かといって完全なるニートと言うわけではなく、彼女は彼女なりに自分のやりたいことで飯を食っていけるようになりたい、と考えていたようで……
その日もその為に、画材をつかんでいそいそと出かけていくのでした。

突いた場所はとある街角。
そこに大きなキャンパスをひろげ、今からライブペインティングをやるよと大声で宣言。
そして、その大きなキャンバスに筆を走らせ、ド派手なイラストを描きあげたのです。
やっぱり絵ってこうでなくちゃ、大きい画面に、自由に、派手に!
出来上がった作品を見てご満悦のかの子なのですが、問題は……振り返っても、誰一人まともにその様子を見ているものがいない、と言うことでした。
もっと見てくれたっていいのに、としゃがみこむかの子でしたが、そこに声をかけてくれる人物が現れます。
……お客さん、と言うわけではなく、大学時代の友人でした。
一緒に4年間頑張って絵画に打ち込んできた仲間でしたが、今の彼女はこざっぱりしてまさしく社会人と言った感じになっています。
そんな彼女から出てきたのはやっぱり、いつまでこんなことやってるの、と言う冷静なツッコミでした。
彼女、今はこの頃人気が出始めていた携帯ゲームのイラストを生業としている様子。
大きなキャンパスや高い絵の具がなくても絵は描ける、描きたいものが描けなくてもこれで生活ができればいい、と言う彼女は、かの子に現実を突きつけていきます。
かの子がこだわっているやり方はもう古い、実際見ている人なんて誰もいない。
いつまでも夢見て立ってしょうがない、今のかの子は見ていて痛々しい……

一緒に絵を勉強していた仲間の口から出てきた、現実。
それはかの子に相当ダメージを与えたようです。
ぐったりしながら……とうとう履歴書を描こうと久しぶりにシャーペンを握るのですが……芯がございません。
やむなくコンビニに行くことにしたのですが、その道中に小ぢんまりとした本屋さんを発見しました。
本屋さんに文具が打っている、と言うのはよくあるもの。
ここに芯があるかもしれない、と中に入ろうとするかの子ですが……入れ替わるように出ていったお客さん二人組は、品ぞろえ悪い、やっぱり時代は通販サイトだな、などと文句を言っております。
確かにこの本屋さんは小さく、その分品ぞろえが悪いのは否めないでしょう。
かの子も小さいころにはよく来ていましたが……今や、店内にお客さんはゼロ……いや、一人いるだけの閑散とした状況が拡がっております。
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こんなんで大丈夫なのか、と漏らしながら何となくそのお客さんを見ていましたら……そのお客さん、お客さんじゃありませんでした。
持っていたバッグに何冊も本を突っ込み、盗もうとしていたのです!!
思わず怒鳴りつけるかの子!
するとその男はダッシュで逃げ出していきました!!
かの子は迷わず男を追いかけます。
正義感から?褒められたかったから?
どちらでもないようです。
時代遅れと言われ、必要とされなくなってきている。
そんな境遇にある自分と、この本屋さんが同じような存在だと感情移入してしまい……
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これ以上自分たちを苦しめるな、と言う怒りがわいての行動だったのです!!

結局、いつもの癖で持っていたペンキの缶を投げつけて、窃盗犯は無事御用。
常習犯だったらしい犯人を伴って、本屋さんに本を返しに行ったのですが……
店番をしていた男性は、確かに見たことある顔だな、などとどうでもいいような返答をしてきました。
しかもこの男性、店長だと言うではありませんか!
この店長にしてこの店あり、と言うことなのか……?
かの子はかっとなり、こんな調子で良いのかと店長に食ってかかりました。
店長は、どうせ遅かれ早かれここは潰れる、小さな本屋は売れ筋の本もろくに回してもらえないから、品ぞろえを改善することもできない、本一冊盗まれれば十冊売れなければ元は取れないから、何冊も盗まれたらあと半年も持たないかもな、と完全にやる気のない言葉で返してきて……
もう、かの子は黙っていられません。
本当にそれでいいのか、頑張って人を呼び込めばどうにかなるかもしれないじゃないか。
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私が変えて見せる!!
そう、啖呵を切ってしまったのです!!

……ほんのひと時の気の迷いなのかもしれません。
ですがこの瞬間、かの子は悔しくて、変わりたくて、仕方のない感情に襲われていました。
自分のことなのか、この本屋さんのことなのかはわかりませんが……
なんでも店長は代理のようなもので、一年間海外に行っている親御さんが本来のオーナーのようです。
だったら、一年以内にこの店を待ち一番の本屋にすれば、見切りをつけたというオーナーの気も変わるかもしれない……!!
……かの子は決心します。
この店を、自分を、変える!!
こうして、2006年の夏、かの子はこの光林堂書店の店員となったのでした!!



というわけで、成り行きで潰れかけの本屋さんで働くことになる本作。
今まで鬱屈した思いを抱いて悶々とした日々を送っていただけに、ぶつける対象を見つけたかの子の動きは活発そのもの。
ましてやそれが、今の自分とどこか重なるものであったならばなおさらの事!!
小さな町の書店と言っても、やり方次第で何とかなる、かもしれない……と言う、かの子がかつて思い描いていたものとは違う、夢を見させてくれるのです!!
とにかくバイタリティに満ち溢れたかの子の行動は、読者を力づけてくれることうけあい。
たまに失敗や空回りをすることもありますが、だからこそその歯車がかちりと合わさったときの達成感は抜群と言えるわけです!!

本作は美代先生のかつて働いていた本屋さんをモデルにされているとのこと。
その本屋さんは残念ながら少し前に閉店してしまったとのことで、その分美代先生の思い入れもこもっているのでしょう、本屋さんが好きな方ならばぐっとくるあれこれがギュッと詰められています!!
登場キャラも様々なタイプがいますが嫌味がなく、そんなキャラクターたちのドラマ面も充実。
本屋さんが好きならば勿論の事、そうでもないと言う方でもきっと楽しめるお話になっているのです!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!