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今回紹介いたしますのはこちら。

「サマータイムレンダ」第1巻 田中靖規先生 

集英社さんのジャンプコミックスより刊行です。 


田中先生は 02年に週刊少年ジャンプの漫画賞を受賞してデビューした漫画家さんです。
デビュー後は読み切りの発表をしつつ荒木飛呂彦先生の下でアシスタントを務め、07年「瞳のカトブレパス」で連載デビュー。
「瞳のカトブレパス」、その後09年に連載した「鍵人-カギジン-」と、残念ながら相次いで打ち切りとなってしまいましたが、12年より主戦場を最強ジャンプやVジャンプに移し、ゲームのコミック版連載されました。

そんな田中先生の、久しぶりのオリジナル連載作品である本作は、孤島の小さな村の日常……と、そこで巻き起こる事件を描く作品となります。
気になるその内容はと言いますと……?



なぁ慎平、目ェつむって。
プレゼントや。
慎平さぁ、実家帰るん何年ぶりか知ってる?
正月もかえって来えへんかったなぁ。
帰ったらみんなによろしく言うといて。
私は行けやんよ。
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ちゃんと私のこと、みつけてよ。
澪の事、守っちゃってね。

そう言って、夢の中の少女、潮は姿を消しました。
慎平は、消え行く彼女に向かって身を乗り出し、手を伸ばしたのですが……
待っていたのは、正面の座席に座っていた眼鏡の美女の胸。
見ず知らずの女性の胸にダイブしてしまった慎平は、慌てて謝罪するのですが……
まぁ、強烈なビンタ一発で済ませてもらえたのは幸運だったと言っていいでしょう。
こういう時は、自分を俯瞰で見て落ち着く、と言うのが慎平のいつものルーティーン。
幽体離脱をしているような気分で自分を真上から見下ろすようにして、客観的に自分を見て気持ちを落ち着かせる……
そうやっているうちに、慎平は生まれ故郷の日都ヶ島にたどり着きます。
人口およそ700人、面積5.3平方キロメートル、観光と漁業で成り立つ小さなこの島に、慎平は2年ぶりに帰ってきました。
その目的は……小舟潮の葬儀に参列するため、です。
潮はあの夢の少女であり、慎平の幼馴染で、家族ともいえる大事な存在。
そんな彼女がなくなったのですから、ちっとも帰省していなかった慎平もさすがに帰ってこないはずもありません。
そんな慎平が変わらない街並みを眺めていますと、大きな声を上げながら近づいてくるものが。
自転車に乗った、褐色の肌もまぶしい少女……澪です。
ですが澪、慎平に会えた喜びのせいでしょうか、ブレーキ操作を誤ったか何かでそのまま海へ突っ込んでしまいました!!
海から顔をのぞかせ、汗かいたから、水浴びしょかと思て、と照れ隠しの強がりを言う澪。
澪は、潮の実の妹。
いつも通り元気な様子を見せていますが、姉がなくなったばかりなのですから平気でいられるはずもありません。
「澪の事、守っちゃってね」。
夢の中の潮の言葉を思い起こし、慎平は澪に手を差し伸べるのでした。

その後、東京はどうだ、最近の島は観光客が多くて知らない人が増えて、知ってる人でも知らない人みたいに見える時がある、それにしても慎平はすっかり標準語だ、などととりとめのない話をしながら葬儀場までの道を歩いた二人。
慎平は小さいころ両親を失くし、それから小舟家へ引き取られました。
幼馴染であり、家族でもあるとはそう言うこと。
そんな大切な家族と、物言わぬ姿になって再会する……
慎平は潮と過ごした最後の夜のことを思い出していました。
慎平の作ったカレーを食べたい、そう言った潮に、慎平は「また今度」と答えたのです。
今度など、もうなかったというのに……
潮の死体は、医師によって解剖されたとのこと。
何かあったのかと気になる慎平ですが、そんな時……何か強い光が一瞬、会場をてらしました。
カメラのフラッシュでしょうか。
一般人の葬式でフラッシュをたいて撮影なんて、何事でしょう。
会場がにわかに騒がしくなると同時に、慎平の元にまた別の幼馴染、窓が現れました。
潮は溺れた子供を助けようとして流された、俺がついていたのに。
すまない、気のすむまで俺を殴ってくれ。
そう泣きじゃくる窓を、すんだことはしょうがない、と力づける慎平……
そんな慎平に、窓はささやきかけました。
あそこにいるしおりちゃんを助けようとして、潮は死んだ。
しおりちゃんは事故のショックで声が出なくなってしまったんだ。
そんなことを話していた窓ですが……出棺が始まろうと言うその時、窓はこう言ってその場を離れたのです。
また夜に電話する、詳しい話はその時に。

窓は、潮を解剖した医師の息子です。
だからこの事実を知ったのでしょう。
潮の遺体に、吉川線……誰かに首を絞められた跡があった、と言うことを。
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潮は誰かに殺された可能性がある。
窓は電話口で、慎平にそう告げました。
誰がやったのかはわからない、見ていた可能性のあるしおりも口がきけなくなっている状態。
そんなことから、この事実はごく一部のものしか知らないそうです。
そして……そのうちの一人、澪は……葬式を終えて、いよいよ実感がわいてしまったのでしょう。
慎平の姿を見るなり縋りつき、泣きながらこう言いました。
お姉ちゃんに二度と会えやん、そんなん嫌や。
許せやん、お姉ちゃんを、殺した奴……!!

翌日、体を動かしていた方が嫌なことを考えなくていいという理由からか、潮の家の洋食屋は早くも営業を再開しました。
そこにやって来た、この島唯一の交番に努める警察官は、またも巻き起こったショッキングな出来事を語ったのです。
小早川さんとこ、一家全員消えてしまった、と。
小早川とは、しおりちゃんの家のこと。
借金があったという話も聞くし、夜逃げかもしれないと警察官は言うのですが……

澪はこんなことを言いました。
しおりちゃんも、潮も、死ぬ前、いなくなる前に「影」を見ていた。
影……自分と同じ姿をした、自分ではない何か。
それを見たものは、影に殺される。
そんな伝承が、この島にはあると言うのです。
そして影を見たものは、この島に祀られているヒルコ様にお祓いしてもらう……
にわかには信じがたいことですが、何か縋るものがほしい気持ちはわかりますし、何より可愛い澪のためです。
その言葉を信じて、慎平は澪と一緒にヒルコ様の祀られた、日都神社へと向かうのでした。

日都神社は誰もいないようで、インターフォンをおしても反応はありません。
ありませんが……そこから逃げるように、藪をかき分けて描けていく人影があったのです。
それは……しおりちゃん、のように見えました。
慌てて追いかける二人ですが、その追いかけた先でとんでもないものを見ることとなってしまうのです。
腹部に傷を負い、血まみれになっている、あのフェリーで出会った女性。
その女性が、何かを慎平に伝えようとした瞬間、頭が撃ち抜かれて息絶えてしまう、と言う衝撃の光景を!!
そして、その衝撃はまだ終わらないのです。
お父さんよう言うてたわなぁ、お皿洗て、後片付け終わるまでが料理やぁ……って。
そう言って……
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どう見ても澪にしか見えない人物が、澪を片腕で捕え、逆の手で銃をこめかみに突きつける。
そんな思いもしなかった場面が、襲い掛かるのですから……!!



と言うわけで、夏の島で巻き起こる奇妙で恐ろしい事件を描く本作。
この後、現れた澪の「影」は、とんでもないことをしてしまいます。
一体この影とは何なのか?
この影のせいで、潮は死んでしまったのか?
慎平にできることは……?
様々な謎と恐怖が錯綜する本作、様々な部分に複線めいたモノがちりばめられており、今後それらが謎の全容を明かしていくことになるのでしょう。
今巻では、本作の背景と「ルール」を明かす序章のような内容になっておりまして、驚きと衝撃の物語の導入が楽しめます。
影の襲い来る衝撃の物語に、様々な謎、不可解な仕掛け。
そんな謎と恐怖に満ちた本作を、慎平とともに探っていきましょう!!

恐怖、謎といったことばかり言ってきましたが、キャラクターの魅力も欠かしてはいけないところ!
冒頭でビンタされた女性も後々本格的に物語に絡みだす者の、予想していたのとは違う個性的な人物だったり、過去パートで描かれる潮のビジュアルとはうらはらな姿が見られたりといろいろございますが、なんといっても個人的には澪が一押し!
乙女な姿にサービスシーンにとキュートな姿をたっぷり見せてくれる、彼女のために本作を詠むのもありかもしれませんよ!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!