as0
今回紹介いたしますのはこちら。

「アサギロ~浅葱狼~」第16巻 ヒラマツ・ミノル先生 

小学館さんのゲッサン少年サンデーコミックスより刊行です。



さて、愛次郎と松原が浪士組を去った前巻。
同時に 、真木と三条は何やら策略を巡らしている様子。
そんな裏の動きなど知らない浪士組の者たちもまた、その策略を防ぐために動き出すのですが……



総司と斎藤は、来る八月十八日に備え、キーマンとなる中川宮の警護をしていました。
斎藤はいつものように何を考えているかわからないむすっとした顔で、中川宮から発せられる罵詈雑言を聞き流しています。
総司はと言いますと、その中川宮の言動にイラついていたのですが、そんなことよりもむしろこの圭吾に自分だけでなく、何故斎藤を一緒に置くのかと言う所のほうが気に入らないようです。

……このまま何事もないのが一番いいのですが、真木もそれほど愚かではありません。
容保の使いが中川宮に菓子折りを持っていった、という話を聞くと、すぐに動き出したのです。
会津が中川宮にあいさつに行った。
中川宮とつながりがあるのは、薩摩。
と言うことは……
真木はその菓子折りが、ただの菓子折りなわけがないと察知し、立ち上がります。
そして向かった先は……河上彦斎の下でした。
真木は一言、仕事だ、と声をかけました。
相手は、と問いかける河上に、真木は完結に言い放つのです。
中川宮朝彦親王。
公武合体派の筆頭公家だ!
最初は渋る河上。
もともと彼は強い剣士と斬り合いたいというのが目的、公家を暗殺するなどと言う仕事は河上にとってはつまらない、やりたくもない仕事でしかないのです。
が、だからと言って河上は真木にやとわれている、身やりたくないからと言ってさすがに許されません。
中川宮を殺すだけではなく、会津から持ち込まれた「文書」のようなものを奪う。
二つの仕事を命ぜられて、河上は中川宮邸に忍び込むのでした。

何も知らない中川宮は、一人酒をあおっておりました。
と言っても、酒を飲んでいるのは彼一人ではあるもののその向かいに総司と斎藤の二人がしっかりと座って警備をしているのですが。
そんな二人を見て、酒がまずくなるからどこかへ行け、と言う中川宮。
はいそうですか、と素直にいなくなるわけにもいかず、総司は命令されたまま中川宮を守っているだけ、気に障るなら見えない場所に行くが、と彼らしからぬまともな返答をするのです。
すると中川宮、一人で飲んでるのもつまらないし、何か面白い話をしろ、お前らみたいなのでもしょぼい武勇伝の一つや二つあるだろう、と無茶ぶりをしてくるではないですか。
総司がちらっと斎藤の様子をうかがうと、彼はいつも通りへの字に口を結んでおります。
だんまりかよ、と内心の怒りを抑えながら、総司はお話するようなほどの話はないですね、とてきとーに中川宮に返しました。
中川宮は、それならばと斎藤に話を振ります。
お前は人を切ってる顔をしてる、どうだ、図星だろう。
今まで何人切ったんだ、言ってみろ!
その言葉を聞いた斎藤、目をかっと見開き……指折りして人数を数え始めました。
人を切った人数を指折りで数える、と言うなんだかギャップのある光景を見て、中川宮の機嫌はよくなったようです。
飲め、と斎藤に酒を勧め、斎藤は素直にそれを飲み始めるのです。
総司はと言いますと、流石に警護中に酒は飲めないことは承知しているようで。
そのまっとうな言葉に対して、中川宮はそんなに警備したいなら外でも見てろ!と総司を部屋から追い出し、斎藤と二人酒を酌み交わし始めてしまいました。
as1
何なんだあの人、警護する価値あるのか?などとぼやきながら、庭の見回りをする総司。
そんな総司の姿を……闇の中から、河上がうかがっておりました!
みぶろが見張りをしとる、どんな宝を隠している?
河上はそうつぶやくと、闇の中から飛び出し……ゆうゆうと、中川宮のいる部屋の中に入っていくではありませんか!!

部屋の中には、いびきをかいて眠っている中川宮が一人いるだけ。
斎藤はと言うと、いきなり襲ってきた腹痛に耐え兼ね、厠へとこもっています。
実は河上、ひそかに二人の酒に薬を持っていたのです!!
ゆったりと部屋の中を探す河上。
文書は一向に見つかりませんでしたが……よくよく見ると、眠っている中川宮の懐から巻物が覗いていることに気が付きました。
それを抜き取り、中身を見……ようとして、自分が読んでもよくわからんな、とやっぱりやめて今度は自分の懐に入れる河上。
そして……もう一つの仕事を片付けよう、と刀を抜きます。
安心しろ、俺は慈悲深いから苦しまないようにしてやる。
そう言って刀を首筋につきたてようとしたその瞬間でした。
as2
厠から戻ってきた斎藤の刀がそれを遮ったのは!!

流石に腕の立つ二人、はげしい戦いが繰り広げられます。
あの河上も斎藤の腕前は認めざるを得ないようで、浪士組にもこんな奴がいたのか、いい、嬉しいぞ、と刀を振るい続けます!!
が、その戦いで庭まで出たところ、総司が通りかかってしまい、二人と鉢合わせてしまいます。
総司からすれば河上は、勝手に浪士組のツケで飯を食って回っていた食い逃げ男。
ですがここで、ようやく河上が中川宮を狙ってきた刺客だと知り、臨戦態勢に入りました!!
2対1になっても河上は慌てません。
どっちが先に俺の相手になるのか、一片でもいいぞ、と笑って余裕を見せる河上。
そこで総司は、斎藤に視線を送って……こう答えたのです。
as3
お前のほうが選べ!
私とあの男、どっちに斬られたいか、お前が選べ!と!!



と言うわけで、様々な勢力が動き出す今巻。
中川宮、容保、そして孝明天王と言う勢力を挫いて、この国の実権を握らんとする真木と三条。
そんな二大勢力が表でも裏でもぶつかり合うことになるこのシリーズ、この後一気に盛り上がりを見せることになります!!
真木側最強の男、河上VS浪士組最強の二人、その戦いの行く末は?
ここでもし河上が二人を倒すなり、逃げるなりして巻物を持ち帰られてしまったら?
それを防ぐためには、総司と斎藤が河上を打ち倒すしかなさそうですが……!!
手に汗握る散者の戦い、そして錯綜する真木たちの黒い欲望。
その戦いはどうなっていくのか!?
手に汗握る運命の日……その決着は!!

そんなシリアス極まりない場面にも、ヒラマツ先生ならではのコミカルな演出が光るのも見どころの一つ。
姦計巡り、血潮飛び散る戦いの中でも時折見える嫌みのないギャグシーンも一服の清涼剤となり、読者の皆様の息抜きになることでしょう!!
今巻もさえわたるヒラマツ節、ご堪能ください!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!