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今回紹介いたしますのはこちら。

「蝕人孤蟲(しょくじんこちゅう)」第1巻 芳明慧先生 

講談社さんのマガジンKCより刊行です。 


芳明先生は17年にマガジングランプリで佳作を受賞してデビューした漫画家さんです。
そんな芳明先生が同年に早くも連載を開始したのが本作。
その内容は、マガジングランプリ受賞作とはがらりと雰囲気の変わった作品となっています!!



芽殖孤虫。
人に寄生する人体寄生虫の一種。
世界で18例しか確認されておらず、内最多の8例が日本で確認されている。
体内に侵入すると嚢を破って他の部位へ転移していき、分裂と成長を繰り返して無数に増殖。
やがてあらゆる部位に幼虫が蔓延し、全身が 虫だらけとなる。
感染経緯、終宿主、中間宿主、生活史、一切不明。
予防法不明、治療法なし。
致死率、100%。


鉄郎は、父と妹とともに7年ぶりに生まれ故郷の八女島に帰ってきました。
妹の奈々は喘息を患っておりまして、空気の良い八女島での生活はきっとその症状にいい影響をもたらすことでしょう。
一同は島についたら、まず診療所にあいさつに行こうと荷物を持って船を降りたのですがそこに診療所の先生の方から訪ねて来てくれました。
すでに以前奈々が通っていた病院から連絡は受けているようで、奈々の診察の準備は万端。
これからよろしく、と挨拶をしていますと、父がこの島で済んでいる家のご近所さんである、ウメさんが声をかけてきました。
なんでも、島田さんが銃を持ってうろついていて危ないから、何か言ってやってくれ、と言うことのようです。
島田さんは猟師ですから、銃を持ってうろつくのはそれほど不自然なことではありません。
が、最近の島田さんは常に銃を持って歩いている上、明らかに猟ではない野犬を撃ち殺す姿を見かけることがあるとのこと。
島田さんは少し変わった人物で、島の誰ともかかわろうとせず一人で生活しているのだそうで、村中の人物からよく思われていません。
今回もそんな嫌われているからこその、囲い込みのような言葉だろうと父は思っていたのかもしれません、が……
確かに島田さんは、最近とりわけ妙です。
家について車を降りた鉄郎は、茂みの中でこちらを見つめる男を目撃します。
全身を返り血で赤く染め、銃を携えたその男……
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彼こそが島田さん。
何でも奥さんがなくなられてからそんな調子で奇行が目立つようになり、鉄郎たちにはくれぐれもかかわるな、と父は言うのです。
特に何か言うでもなく、しばらく鉄郎たちの様子をうかがったあと、茂みのほうへ消えていく島田さんですが……
茂みに隠れて見えなかった左手の先には……犬の亡骸が引き摺られていました。
噂通り、島田さんは野犬を撃ち殺しているようです。
……いったい彼は、何のつもりでこんなことをしているのでしょうか……

父ひとりで長いこと暮らしていたため、家の中は荒れ放題。
整理しながら父は、母のことを振り返る会話を鉄郎と始めます。
この島に住んでいた父のもとに、鉄郎と奈々が引っ越してくる原因となったのは……母が亡くなってしまったから。
その死因は……芽殖孤虫です。
一説には両生類の生食が原因ではないかとも言われているようですが、母がそんなことをするはずもなく。
何故感染してしまったのか?
何かしてあげられることはあったのか?
父は責任を感じてしまっているようです。
不幸中の幸いで、一緒に暮らしていた鉄郎と奈々は無事。
とにかくこれからは三人で新しい生活をしようとなるのですが……
そんな時、奈々が知らない人からもらった、と魚を差し出してきました。
こう言う島ではご近所さんからいろいろもらうことは珍しくないことのようで、父は島野両氏をしているだれかだろう、後で食べよう、と全く不審がってはいない様子。
とりあえず冷蔵庫に入れようとしたところ、冷蔵庫の中身が全部腐って、虫がわいてしまっていることに気が付きました。
母の闘病中、一か月家を空けていたせいだろう、と深く考えない父。
父はそのまま夕食の材料を買いに行くことにしまして、鉄郎にその腐ったものの処分を命じるのです。
見るのも気持ち悪いそれをいやいや片づける鉄郎。
ですが……鉄郎は違和感を拭えません。
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1ヶ月放置したくらいで、こんな虫がわくか?普通。

その後も、奇妙な出来事は続きます。
魚を捌けば、腹の中から寄生虫が出てきました。
まあこれは珍しいことではないですから、しっかりはらわたを取り除いて加熱調理。
問題はそれだけではありません。
何となく窓から外を見ると、庭に……島田さんが銃を手に立ち尽くしていたのです。
そして、先ほどと同じようにしばらく見つめた後……立ち去りました。
何なんだよ一体!と苛立つ鉄郎ですが、この日の悪夢のような出来事はまだまだ続くのです!!
突然せき込み始める奈々。
発作か、薬を与えるものの、一向に収まる気配はありません。
そして……奈々は、かゆい、かゆい、とのどを掻きむしり始めました!!
一体何が起きているのか!?
戸惑う鉄郎はそこで……恐ろしいものを見てしまったのです。
奈々が描きむしっていた喉。
その掻きむしって裂けた肉の隙間から……
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虫が、這い出ていたのです……!!



と言うわけで、人体に巣食う虫が齎す恐怖を描く本作。
昨今様々なホラー漫画がたくさん描かれておりまして、虫をテーマにしたものも少なくはありません。
近年では蟲が巨大化して襲って来る「巨蟲列島」、人間を食い殺す蟲とその蟲の女王のような存在の女性を中心にした物語を描いた「蟲姫」、古くは虫の生理的恐怖を突き詰めたつのだじろう先生の「虫」、日野日出志先生の剛腕でとにかく力任せに無視を絡めた恐怖を描いた「地下室の虫地獄」……
ですが本作は、そう言った漫画的に虫の恐ろしさを増幅させた作品とは違い、芽殖孤虫と言う実在する蟲の存在をちらつかせることによって、もしかしたらという現実感を物語に持たせることに成功しているのです!
本作は漫画ですから、おそらくこの芽殖孤虫のような虫を蔓延らせる何かがいるのでしょう。
その謎に迫りながら、鉄郎の過去と言ったこの後様々でてくる物語の鍵集めていく感じの展開になっていくと思われるのですが……
そんなホラー&サスペンス的な恐怖、虫と言うわかりやすいビジュアル的な気味の悪さと言った要素に加え、どうしてもなんか自分の体がかゆくなるような嫌な感覚を覚える、いろいろな部分で楽しめる(?)作品になっているわけです!!
様々な要素が絡み合って、緊迫感と恐怖感溢れる物語、そして虚実織り交ぜたホラー要素。
そんな二本柱でこれからも読者をおびえさせてくれるはず!!
これからの展開も見逃せませんよ!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!