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今回紹介いたしますのはこちら。

「ひみつのはんぶんこ」 ぴのきみまる先生 

徳間書店さんのリュウコミックスより刊行です。 


ぴの先生は16年にコミックリュウの新人賞に作品を発表し、デビューした新人の漫画家さんです。
その後17年より本作の短期連載 を開始し、この度めでたく単行本刊行となりました。

本作は二人の小学6年生のひと夏の出来事を描く作品となっています。
いつも一緒だった幼馴染の二人、この夏でその関係性が少しずつ変わっていってしまい……?



バスを待つ塁。
そこに、楓が大きく手を振って駆け寄ってきます。
その手には、一緒に通っているスイミングスクールのカバンと、アイス。
お姉ちゃんがバス車ではんぶんこして食べなって、と言いながら、楓は塁にアイスを半分渡すのでした。

塁と楓は、物心ついた時からいつも一緒。
いつでもとなりにいて、なんでもはんぶんこしてきました。
この日もスイミングスクールの進級試験を一緒に受ける二人、いつもの様に二人で一発合格を目指そうと話しながら更衣室に向かいます。
そんな何でも一緒だったふたりなのですが、たった一つだけ、大きな違いがありました。
それは……
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塁が男で、楓が女だと言うこと。
少し前まで着替えも一緒にしていた楓は、塁と別々の更衣室に入らなければならないことになかなか慣れられません。
また後でな!と男子更衣室に入っていき、乱暴に扉を閉める塁。
楓はその後しぶしぶと言った顔で女子更衣室に入るのです。
女子更衣室では、友達のたまちゃんがすでに着替えを始めていました。
楓ちゃんまた間違えちゃったの?と尋ねてくるたまちゃんに、この間まで一緒だったのに急に別々なんだもん、と不満そうに漏らす楓。
たまちゃんは、いいんだよ別々で、一緒に着替えたら男の子に裸みられちゃうし、男の子の裸だって見えちゃうよ?と、一般的な意見で応えるのですが……
楓はおとこに裸みられるのって恥ずかしいのかな、おんなどうしなら恥ずかしくない?と、ぴんと来ない様子なのです。

着替えの終えたたまちゃんは先に更衣室を出ていきました。
楓はゆっくりと下着を脱ぎ、水着に着替えます。
楓の体は、ゆっくりと大人の「おんな」になり始めています。
わずかに膨らみ始めた胸。
それを見て、楓はどうしても不満を感じずにはいられないのです。
どうして神様は、女の胸だけ膨らむようにしたのだろう、と……

進級試験の時が来ました。
ふたりとも同じくらい泳ぎが得意な累と楓は、隣同士のコースで泳ぐことに。
楓は塁に、キンチョーしない?と尋ねます。
塁がいつも通りにやれよ、と答えますと楓は安心したように微笑み、そうだね、いつもどーり、二人で一緒にゴーカクだ、いつもどーりいつもどーり、と自分に言い聞かせるように繰り返すのです。
その姿をじっと見ていた塁ですが……何も言わず、目を背けてしまうのでした。

やがて試験の時はやってきます。
いつも通り、二人で一緒にスタートして、一緒にゴールして、合格して。
おんなじバッジをカバンにつけて。
楓はそんな思いを抱きながら、泳ぎます。
ですが……どうしたことでしょう。突然塁が泳ぐのをやめて、コースの途中で立ってしまったではありませんか!

試験が終わった後、悪い、そんな時もあるよな、と謝ってくる塁に、楓は詰め寄りました。
こんなこと今まで一度もなかったじゃないか、一緒に合格しなきゃ意味ないよ!
僕より泳げる君があんな途中で、ありえないよ!
今日の塁、なんかおかしいよ?
なにかあったの?
ねぇ塁。
……塁は、後ろを向いたまま、こう言います。
おかしいのは楓の方だろ。
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最近お前、ずっと作り笑いじゃん。

……作り笑いなんてしてないよ。
そう言って取り繕った楓ですが、本当は自分が一番よくわかっていたのかもしれません。
そっか、わりぃ、と言って累はその場を流してくれますが、楓は帰りのバスの中でずっと考えていました。
君の言う通りだよ。
おかしいのはボクの方なんだ。
君と「いっしょ」だったものが、一つずつ消えていくよ……
家に帰った楓は、ぽろぽろと涙をこぼしてお姉ちゃんの胸に抱かれます。
過るのは、だんだんと「大人のおんな」になっていく自分が、塁と「いっしょ」ではなくなっていく思い出。
それを考えれば考えるほど、不安が楓を支配していくのです。
わからないんだ。
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どんな顔して、塁に会えばいいの?
不安に呑み込まれてしまいそうになる楓。
彼女は、「大人のおんな」になるのが、怖くて仕方がないのです。
本当は、塁のようになりたいのに……



と言うわけで、塁と楓の関係が変わっていく様子を描いていく本作。
徐々に大人になっていき、今までなんでも一緒だった関係性を変えなければならなくなってくる。
そんな分岐点に立たされた楓は、どんなように想い、どんなように過ごしていくのでしょうか。
二人は友達や家族を巻きこんだり、見守られたりしながら、ゆっくりとその時に向かって歩んでいくのです。

自分の変わっていく体に戸惑いながら、それでも塁と一緒に居たい、塁のようになりたいと願う楓。
物語はそんな楓の視点で進んでいくのですが、途中で累の視点へと切り替わります。
そんな様々な思いを抱えている楓が葛藤する裏で、塁がどう思っていたのか。
それを徐々に明かしていくことで、この物語の全体像がくっきりと見えてくるのです!
楓パートと塁パート、その二つが合わさって映し出される二人の関係は読者の気持ちを揺さぶること必至!
そして迎えるクライマックスは……
暖かな気持ちになることの間違いないそのシーンは、皆様の目でご確認ください!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!