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今回紹介いたしますのはこちら。

「スナックバス江」第1巻 フォビドゥン澁川先生 

集英社さんのヤングジャンプコミックスより刊行です。 


フォビドゥン先生は11年にヤングジャンプの漫画賞を受賞してデビューした漫画家さんです。
代表作は12年から15年にかけて、読み切りから不定期掲載をへて連載となった「パープル式部」。
得意とする作風は、なんでもありのストロングスタイルなギャグ漫画でして、最新作となる本作でもその味わいは変わっておりません。
今回の舞台は場末のスナック、と言うことで……?


ノリノリになっているサラリーマン、風間。
彼は同僚の、見るからに真面目と言った風貌の山田と飲み歩いております。
もう一軒行こう!!と張り切る風間でしたが、山田はそれをきっぱりと拒否。
もう「飲みニケーション」の義務は果たしましたので、僕は帰ります、と足早に立ち去ろうとするのです。
それを見た風間は、片手で謝るような感じのジェスチャーをしながら、三顧の礼!と連呼。
どうもその意味がわかっていないらしい風間を、言葉の意味を調べてから発してください、と冷たくあしらう山田。
すると今度はシンプルに土下座をしてまで風間は食い下がってくるのです。
そこまでされてはさすがの山田も無碍にすることはできません。
恥ずかしいんで止めてください、キャバクラ以外なら付き合いますから、と折れるのでした。

そんなこんなで風間が足を運んだのは、スナックでした。
入り口のドアを開けますと、そこにいたのは年若いホステスさんと
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頭をカチ割られて机に倒れこんでいるママでした……
おほぉ、やってるねぇ、と感心するような顔をする風間。
ですが……やってる、の漢字が違う感じがするのは山田だけではないでしょう!!
ママ、お客さんよ、とママをゆすって起こそうとするホステスの明美。
頭をカチ割られた人をゆするのはやめたほうが良い、と言う山田でしたが、その声にママはいち早く反応!
むくりと起き上がり、さっとおしぼりを差し出すママ!
そちらがお先にどうぞ!と思わず突っ込む山田、とうとう耐えきれなくなって風間にこの店は大丈夫なのかと尋ねるのですが……
いつの間にか、風間はいなくなっておりました。
アイツ、逃げた……?
思わずシリアスな顔でショックを受けてしまう山田、彼のほうはもう逃げられなさそうです。
お客さんはじめましてよね、じゃあ自己紹介!と、ママはばっちり山田をロックオンしているのですから!
私がスナック「バス江」のママです!と元気よく自己紹介したまま、そして
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サヨウナラ……と言って、ママは昇天していきました……
明美はそれを、ははっと笑って流すばかり……
こんな状況の場所に居られるわけがないと、山田はここで思い切って帰るとはっきり言うことに・
すると明美、なぜか片手で謝るようなポーズをとって三顧の礼!と連呼し始め……
それ広まってんの!?と山田は思わず突っ込んでしまい、まんまと足止めされてしまいます。
ついでにどこからともなく響いて来るママの「あんまり遠慮しいだと呪っちゃうわよ」と言う何とも言えない説得力を持つ言葉に推され、席に着く山田。
ホントすぐ帰ります、お酒も何でもいいんで、とこの状況に絶望するのですが……

こう言うお店ですから、私もいっぱいいいかしら、と朱美もお酒を飲み始めます。
ですが山田はこう言うお店は初めて。
その真面目な性格もあり、料金システムをはっきりさせてもらっていいでしょうか、とズバッと聞いちゃいました。
すると明美、タダで良いよ、ととんでもないことを言いました。
が、それは「口止め料」とのことで……善意からのサービスではなく、もうあからさまな悪意からくるものなのでした。
さらにお酒を飲み始めると、なんと朱美は焼酎のボトルをラッパ飲みし始めます。
その間もずっと山田を見つめ続けていますし、おそらくこれはツッコミを待っているのでしょう。
ですがとてもじゃありませんが、つっこめる状況ではありません。
焼酎ラッパ飲みよりも、隣でダイイングメッセージを残しているママのほうがインパクトが強いのですから……

そんなこともあって会話もすすみませんで、明美はとうとうカラオケをすすめてきました。
が、その時突然カラオケのモニターの中が歪み始め、そこにママの顔が……!!
私が歌っちゃおうかしら、と言いだすのです!!
たまらず自分のレクイエムを!?と突っ込む山田。
すると明美、ママ美味しいところ持っていきすぎ!!とやられた!とばかりの顔を浮かべるのですが……
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ママはそこでむくりと起き上がり、じゃあてめえも同じように頭カチ割ってやっか?とボトルを構えるのです……!!
すわ修羅場!と言うところで、ママは突然山田を振り返ってにっかりと笑いました。
すっきりできたみたいで何より!
お客様は普段冷静で感情を発露する機会もないとお見受けしました、ゆえに一芝居打ってその機会を差し上げようと思った次第でございます。
……なんと今までの一連の出来事、山田をすっきりさせるための演技だったというのです!!
それが我々スナック「バス江」のおもてなし!!
そう息の合ったコンビネーションで語るママと明美!
山田は感動し、じゃあ僕が来る前の流血沙汰から演技だったのか、と驚愕の言葉を漏らすのですが……
ママは「もちろんそうよ」と答え、明美は「たまたまよ」と答え……
二人のボトルを使った大立ち回りが始まってしまうのです……
それを見て、山田の中には今日一番のもやもやが襲ってきてしまったのは言うまでもないのです……



と言うわけで、スナックバス江のママと明美、そしてそこにやって来るお客さんたちのどうでもいいくだらない日常の一コマを徒然なるままに綴っていく本作。
この後も山田をはじめとして様々なお客さんがやって来ては、パロディだったり不条理だったり、あるあるだったり、メタネタだったりと実に様々なギャグが繰り広げられていきます!
その七色のギャグはまさしくストロングスタイルと言っていいもので、あの手この手で読者を楽しませてくれること間違いなし!
連載開始当初は(紹介した部分でも)大人しい感じのギャグだったのですが、話数が増えていくにつれどんどんとやりたい放題になっていくさまは、飽きる隙すら与えてくれませんよ!!
そしてツッコミ不足気味で進んでいく本作にも、7話から貴重な常識人キャラである小雨が登場してバランスをとってきます。
あの手この手でボケてくるママや明美、見た目からアレだったりするお客さんを相手に、キレのあるツッコミを繰り返す小雨……
いろいろな意味で気苦労の絶えなさそうな彼女を応援したくなってしまうこと必至ですよ……!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!