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今回紹介いたしますのはこちら。


「月曜日の友達」第2巻 阿部共実先生 

小学館さんのビッグコミックスより刊行です。



さて、月野が月曜日の夜、学校で行っている超能力の開発に付き合うことになった水谷。
二人は毎週月曜日の夜だけ会話して、学校では知らない者同士と言うような不思議な関係を続けたものの、そんな二人はすっかりと打ち解け合い、友達になったのです。
ですがそんな折、ちょっとガラの悪い感じの同級生、火木が今まで以上に月野に付きまとうようになってきて……?



夏休みの間は二人の秘密の集まりは催されませんでした。
一度だけ、月野の妹や弟を交えて遊びに行き、そのあと二人で花火を楽しんだ思い出に浸りながら、水谷は次の密会への思いをはせていたのでした。

学校が始まって最初の密会で、二人はいつも通りなんてことのない時間を過ごしました。
やはりこの時間が大切なものだとわかっていながらも、水谷はちょっと月野にきつい言葉を投げかけてしまいました。
それは、火木に奪われるようにして貸してしまった、月野のゲーム機についてのことです。
近いうちに返してくれるって言っていた、あのゲームはやり込み要素多いから、と火木のことをとがめない月野。
水谷は、月野は火木に甘い、あいつは有耶無耶になるのを待ってるんだ、と強めに行ってしまいます。
密会が終わった後、すこし言い過ぎた、謝ったほうが良いかも、と反省する水谷なのですが、この後学校では文化祭や運ふぉうかいと言ったイベントが目白押しなため、密会はしばらくお休みなのです。
クラスで人気者の水谷は、そんな目白押しのイベントの中心で頑張っていたものの、心の中では月野のことばかり考えていました。
そのイベントラッシュの中でも、月野はひたすら火木に付きまとわれていました。
そんな様子をずっとうかがっていた水谷は考えるのです。
火木に害はないと月野は言うが、ゲームをぶんどられてる。
火木が女だから、月野は危機感が薄いんだ。
そうだ、女同士私が火木に必ず返すように言おう。
私も月野に何かしてあげたい。
次会った時、ゲームが返ってくるとなっていたら月野はどんな顔をするだろう。

久しぶりに密会が予定されている月曜日。
ですがその密会の前に、水谷は火木の元を訪れます。
今日は月野に付きまとわないのか、火木。
そう語りかけますと、何を考えているのか分からないところのある火木も、流石に水谷が自分に言いたいことがあると言うのを察しました。
献花しに来たんじゃない、月野にゲームを返してやれ、たまたま現場を見かけたぞ、とストレートに用件を伝える水谷。
ですが学校での二人しかしらない火木は、なんで水谷がそんなことを言ってくるのか今一つぴんと来ないのでしょう、真っ向から反論してきます。
友達だから借りただけだ、男家庭で育ったからちょっと荒いだけでぶんどったわけじゃない、そう思ってたならその場で言えよ。
クラスの人気者のお前は、そのほの思い付きでならず者捕まえて優良生を気取ってるのか、思ったより曲がったせい隠してそうだな。
水谷もそう言われて黙って引き下がるタイプではありません。
お前だって性格が悪いから、連れの男どもに愛想を尽かされて最近一人なんじゃないか、と反撃。
すると火木、昔不良界隈で有名だった自分の兄貴を目当てによってきていただけ、兄貴はもう死んでしまった、兄貴の葬式には誰も来なかった、と言う思いがけない事実を明かすのです。
火木は兄のことが大好きなようで、兄貴は周囲に嫌われていたかもしれないが、私にはめちゃくちゃ優しいんだ、不良と言うだけで他人に迷惑をかけたかもしれないが、他人に迷惑をかけていないにんげんなんていないだろう、と感情をむき出しにしてきました。
水谷は、そんな火木の話をきいて、それでもこう言いました。
火木が兄に対する偏見に以下栄を覚えているのはわかった、でも今日は兄の話をしに来たんじゃない。
お前が兄を思うように、妹や弟に、兄として思われている月野をお前は傷つけたという話だ。
弟と二人で買った思い出のゲームを奪われ、悔しさで月野は涙したんだぞ!!
……どうしてそんなことを知っているのか、水谷と月野が学校で話しているところを見たことないぞ、と火木は反論をしてきます。
……月野はそこで、
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自分と水谷は夜の学校であっている、と明かしてしまったのです。
火木は二人が友達だと聞き、うるせえ、最初から返すつもりだって言ってるだろうが、と走り去ってしまうのでした。

夜。
水谷は月野に、ゲームを返すように言った、と笑顔で報告しました。
が、月野の反応は予想していたものと違いました。
つまりこの夜の学校での約束をしゃべったと言うこと?
そう真剣な顔で尋ねてきた月野に、水谷は、仕方なく言った、でも超能力とか具体的なことは言ってないから大丈夫だろ、とあっけらかんと返すのですが……
月野は言うのです。
君はあとから月曜日の夜の学校にやってきて、なぜおれのルールを次々壊していくんだ。
机を16個並べることも、超能力の特訓の手伝いも、二人だけの秘密と言うことも、キミはどうでもよかったんだ。
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月曜日の約束はもうやめようか。
友達にならせてしまってごめんね。
さようなら。
そう言って……月野は、振り返りもせず、学校を立ち去っていくのです……

二人の仲は決定的に壊れてしまった……かに見えました。事実二人はその後一言も言葉を交わすことなく別れ、水谷は一人涙をこぼしたのですが……
月野の元に火木が現れ、本当にすまなかったとゲームを返した時、水谷の見ていないその場所でとんでもないことが起きたのです!!
……火木が月野にゲームを手渡したそのとき、二人の手と手が触れ、まるで静電気が走ったかのように痛みが走りました。
そして……
ゲーム機が……
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宙に、浮かんだのです。



と言うわけで、クライマックスを迎える本作。
決定的な別れとなってしまったかに見えた水谷と月野でしたが、そこでまさか、本当の「超能力」下現れるとは。
ここから物語は、フィナーレに向けて一気に加速していきます。
水谷が心の中に抱えていた想い。
月野がひそかに抱いていた気持ち。
火木が月野に付きまとっていた理由と、最後に手にしたもの。
三人がそれぞれの決着を迎え、本作は終わりを告げます。
阿部先生の力と想いのこもった、詩的な台詞回しと、圧倒的な描き込みのされたスタイリッシュな情景。
それらが合わさり、中学生の感じていた様々な不安や希望、心残りが解けて昇華していく様が上巻たっぷりに紡がれていきます。
最後に待っているのは、他の何物でもないハッピーエンド。
それはぜひとも、皆様の目で確認していただきたいところ。
水谷、月野、火木。
三人のたどりたいた場所を、是非とも見届けてください!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!