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今回紹介いたしますのはこちら。

「稲川さんの恋と怪談」第1巻 ヨゲンメ先生 

KADOKAWAさんの電撃コミックスNEXTより刊行です。 


 ヨゲンメ先生は12年に月刊コミックブレイドにて「キミの死体とボクの解答」で連載デビューした漫画家さんです。
その連載終了後、主戦場を電撃系の雑誌に移し、15年より人気ゲームのスピンオフ「GOD EATER-side by side-」を連載。
そして17年より再びオリジナル作品である本作の連載を開始されました。

そんなヨゲンメ先生の最新作となる本作は、ホラー漫画でありながら職業漫画でもある一風変わった作品。
気になるその内容はと言いますと……?


内未一、16歳。
普通の高校生として暮らしながら、夢に向かって頑張っておりました。
その日はその夢の結晶である、漫画の原稿を一作完成させ、はじめての持ち込みに挑むことに。
期待と不安が綯交ぜになった感情を抑えながら、編集者に見てもらうときがやって来たのですが……
結果から言えば、ボロボロでした。
褒められたのは、16歳の若さで一作完成させた、と言う頑張りぐらい。
あとは何一つ褒められることなく、次頑張ってねと原稿を返されてしまうのです。

完全に打ちのめされた一、帰りの電車を待つホームでうなだれていました。
初めての持ち込みで成功するなんて思う方がおかしい、漫画家なんて簡単になれやしない。
自分のような凡人は死ぬほど努力するしかないんだから。
そんなことを自分にいいか行かせていますと、突然携帯電話に着信が。
知らない番号でしたが、でてみればなんと先ほど持ち込んだ出版社の編集からではないですか。
ですがその電話の主は原稿を見てもらった編集者さんではなく、その編集者さんに半ば強引に手渡した自分の電話番号をゲットした、別の編集者さんでした。
なんでも「化談」なる階段系の雑誌の編集者とのこと。
その用件は、稲川マツという「化談」連載漫画家のアシスタントしてみないか、と言うことでした。
なぜ自分が選ばれたのかはわかりませんが、多少なりとも絵の技術が認められたと言うことなんだろうか、と淡い期待を抱く一。
いろいろ葛藤はありましたが、冷静に考えれば断る理由などありませんし……なによりこんな自分でも頼ってくれる人がいた、と言うことがうれしくて、一はアシスタントを引き受けるのでした。

駅の売店でたまたまその「化談」を見かけ、買ってみた一。
その雑誌は、ホラーと言うくくりの中で、小説、イラスト、コラム、漫画と様々な作品が詰め込まれたもの。
中でも件の稲川マツ先生の作品は人気があるらしく、センターカラーで掲載されていました。
一話完結、特定の主役のいないオムニバス形式のようで、構えず読むことができそうなその作品を早速見てみるのですが……

一は得も言われぬ悪寒を感じ、すぐに本を閉じてしまいました。
……恐ろしすぎたのです。
何を考えていたらこんなとんでもなく怖い漫画を描けるんだ?
これから会うことになる稲川先生に、それ以外の質問ができなさそうだ、と一は冷や汗を流すのです。

待ち合わせ場所は、薄暗い高架下。
そしてそこで待っていたのは……
まさかの、
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小柄な美少女でした。
なんと稲川マツ先生は、16歳だというではありませんか!!
なんだか感情の起伏の少ない感じの稲川先生、いろいろ聞いたり機嫌を取ろうとしたりしてみる一に対して、冷静に受け答えしつつつ、ついてきて、と歩き始めるのでした。

稲川先生に聞いてみたところ、彼女は小さいころから漫画を描いていて、中2のころ試しに投稿してみたらそのまま連載が始まった、と言います。
小さいころから描いていたのは自分も同じ。
比べようもない才能の差に絶望する一でしたが、そんなことも知らずに稲川先生はおもむろにラジオを取り出したのです。
そして何やら、チューニングを合わせ始めるではありませんか。
何をやっているのかと聞いてみますと……稲川先生はこう言いだします。
車でラジオを流しながらこの街道を走ると、不気味な女の歌声が流れ込んでくる。
それは音程もリズムもめちゃくちゃなんだけど、どこかで聞いたような歌らしく……
その歌の正体がわかると、事故にあって死んでしまうと言う……
稲川先生の調査によれば、この怪談はここ2~3年で生まれたもので、事故が起きたという事例もないと言います。
ですが噂があるからには、本当に聞こえるか知りたい。
そう言って、彼女はラジオを選曲し続けるのです。
なんかへんなチャンネルに会ってしまい、流れだした怪談の声。
思わず一はラジオを叩き落としてしまい、中から電池が飛び出してしまいました。
こんなところで遊んでいる場合じゃないんじゃないですか?
こう言う趣味は仕事が終わった後にでも、と提案する一なのですが……
稲川先生はこれが仕事だと言うのです。
なんでも彼女、ゼロからでは何もひらめけないタイプの作家だそうで。
こうして怖い噂のある現場で取材しないと何も描けないから、一にサポートしてもらうんだ、と。
一は勘違いしていた、と言いますか、編集者からしっかり聞いていなかったのです。
作画アシスタントではなく、取材アシスタントの仕事であることを!!
不満たらたらな一を見て、稲川先生は無理に怖い思いをすることもないから帰っていいよ、と言い渡しながらラジオを拾い上げました。
するとどうでしょう。
返事をする前に、まだ電池が入っていないはずのラジオから……聞こえるのです。
……不気味な、歌声のようなものが……!!
稲川先生はいいます。
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私の代わりに怖い目に遭うこと。
それが取材アシスタントの仕事だから。
稲川先生、霊感と言うものが全く皆無とのことで、何一つ怖い体験をしたことがありません。
無いのですが……今こうして起きていることは……?
稲川先生はその歌声が聞こえないようで、アシスタント代を手渡し、一に変えるよう促します。
ですが、その結構な金額を見て何もしてないのにアシスタント代を受け取っていいのかと言う想いと、同い年の女の子にここまでさをつけられて悔しくないのかと言う想いが沸き上がり、踏みとどまるのです。
稲川先生には聞こえないその歌声を必死に聞いていますと……その曲が何か、一はわかってしまいました。
……ダブルヒロインの、有名アニメ映画の歌です。
ありのままの姿を見せるあれです。
誰か素人が電波に乗せて大熱唱してるだけだろう、それをたまたまラジオが拾ったんだ。
稲川先生が聞こえなかったり、ラジオに電池がない状態でも聞こえたりと不思議な点はあるけど、それも何か下らない理由があるんだろう。
そう納得し、稲川先生の方を振り返る一。
すると
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そこには、確実に生きた人間ではない、何か、がいたのです……!!


と言うわけで、稲川先生と一の取材が始まる本作。
この稲川先生、自身では全く霊現象を感知できないのですが、一緒に取材に来たアシスタントは絶対に何かを体験してしまう、と言う特殊な縁を持っているようです。
それが彼女の能力か何かなのか、運命に導かれているというものなのかはまだ分かりませんが……
この後紆余曲折ありまして、一は彼女の取材アシスタントをしながら、漫画家の道を目指していくことになっていきます。
その取材する対象は、純粋に恐ろしいものから、どこかシュールでコミカルなもの、漫画家ならではの霊現象と、多種多様。
恐ろしさはあるものの、そこまで身構える必要はない程度のホラー具合ですので、それ以外の魅力が目当ての方も安心して楽しめます。

その「それ以外の魅力」ですが、やはり女性キャラ、特に稲川先生にとりわけ注目したいところ!
いつもは感情の起伏が少なく、それていて恐怖の噂を調査する時にはぞくりとするようなムードを漂わせる彼女。
ですが、時折見せる年相応の笑顔にはときめきを覚えざるを得ますまい!!
今巻ではまだその段階には入っておりませんが、タイトルからしてこの後「恋」に関しての要素も混ぜこまれてくるはず。
きっとこれからより一層の魅力を見せてくれるであろう稲川先生、その時が楽しみでなりません!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!