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今回紹介いたしますのはこちら。


「鉄牌のジャン!」第7巻 西条真二先生 

竹書房さんの近代麻雀コミックスより刊行です。


さて、いよいよ決勝戦まで辿り着いたジャン。
決勝戦で待ち受ける金悟に挑むのは下馬評通りと言っていい、ジャン、王、銀子、加納の四人。
決勝戦は、抜け番の人物だけがイカサマを指摘でき、その指摘が成功すれば5万点を奪い取ることができ、できなければ5万点逆に取られてしまう、というルールの存在するイカサマ上等な麻雀でした。



試合が始まって早々のこと。
最初の自摸をしようとするジャンですが、その手をいきなり監視役の銀子が掴み取りました。
いきなり イカサマとは良い度胸ね、と言う銀子。
確か配牌の時点でジャンの手にはあぶれていたイーピンがあったのに、自摸の時点では消えてしまっている。
イーピンを山に戻しながら2枚自模ったのだろう、と指摘したのです!
ジャンはそう指摘されても、落ち着いたまま反論してきます。
だったら見てみるか、お前の言う通りならツモ山の端にある牌はイーピンのはず。
もしそうでなかったら、銀子のミスになっていきなりマイナス5万点になる。
俺がそんなちゃちなイカサマをすると思ってんならおめでたいな!
……そう言われると確かに自信はなくなっています。
いきなりこんな勝敗に直結するかもわからないイカサマをするでしょうか。
ひょっとすれば、イーピンを山に戻したふりをして、ひそかに隠し持っている可能性も否定しきれません。
悩んだ末銀子は……ツモ山の端のは意をめくります!!
そこで出てきたのは……
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イーピン!!
どうやらジャンは本当にイカサマをしていたようです。
ああいえば引っ込むと思ってたのによ、と言いながら、ジャンは大人しく5万点を払うのでした。

イカサマがあった場合は、その局は無効となりやり直し。改めて第1試合東1局、得点のみが5万点ジャンから銀子に移った状態から再スタートとなりました。
王は状況をひそかに分析しています。
雑すぎるイカサマだが、もしかしたら本当にすり替えていなくて、たまたま次の自摸がイーピンだったんじゃないか?
もしそうなら、そんな風なやつに負ける気はしない。
ともかく銀子の目が光っていることもあるし、しばらくは普通に打つか……
と、思っていた矢先のことです。
金悟の捨て牌をよく見て、手の早さで追いつきそうにないと感じたジャン、安牌のイーピンを切っていきます。
するとどうでしょう、金悟はそれを論下ではありませんか!!
しかも24000、三倍満!!
驚いたジャンが捨て牌を確認してみると、確かにイーピンだったはずの金悟の捨て牌が、ハクになっているではありませんか!!銀子すら気付かなかったそのイカサマ、実はものすごくシンプルなものでした。
イーピンを切ってリーチを宣言した金悟。
リーチをかけられると、誰しもがつい自分の手配を確認してしまう。
銀子もそれはまた同じで、ジャンを警戒するあまり視線をジャンの手牌に移していました。
その瞬間、金悟はハクに貼り付けていたイーピンのシールをはがしていたのです!!
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冷静になってよく見れば回避できたイカサマ。
ですが、銀子の目が光っているという安心感も手伝ってしまい、逆にそのシンプルさに引っかかってしまったのです!
そんな注意力散漫で大丈夫か?わかっていると思うが、あがりが成立した後のイカサマ指摘は無効じゃぞ、と笑う金悟……!!
正々堂々を旨とする銀子は、二度と見逃さないと決意を新たにします。
王はさすが自分が考えたルールだけあって用意周到だと金悟をほめつつも、そんなイカサマが通用するのは今のうちだけだと余裕の表情。
同じくまだ点数のやり取りの外にいる加納も余裕で、イカサマ失敗に三倍満直撃をくらったジャンを叩くチャンスだ、とほくそ笑むのです!!

勝負は2回戦に突入しました。
ジャンの点数はあの後さらに減って108000点。
トップはイカサマ指摘の5万点が聞いて、銀子がはしっていました。
ですが自分の実力で取ったものではありませんし、50万点到達か、誰かが0点になった時点で最も点棒を持っていたものが勝ち、というこのルールではそれほど意味がありません。
なるべく打点を高く、と意気込みながら撃つ銀子。
金悟は自分の背後で目を光らす、抜け番となったジャンの視線を受けつつ、そう簡単にはいかんぞとほくそ笑んでいます。
そこで動いたのは、王でした。
王はミスを装ってツモ山をくずし、その流れで捨て牌から有用牌を抜き取るという大胆なイカサマを仕掛けて倍満をツモったのです!!
ですが抜け番で監視役のジャンからは指摘が入りません。
それもそのはず、他の3人からは見え見えのイカサマでも、ジャンからだけは死角になっている位置でイカサマをしたのですから!!
ジャンも指摘できれば5万点手に入りますが、確証がなければ逆に5万点を奪われてしまう以上、簡単には動けません。
王はまんまと16000点をゲットしたわけです。

そこでジャンもまた動きます。
席を移動し、金悟と銀子の間に着席。
この位置ならば王と加納の動きも見やすいですし、先ほどのような手は使いづらいでしょう。
また膠着状態に入ったかと思った時、ジャンは口を開きます。
確認するのを忘れていた、役満は複合するのか?と。
答えはイエス。
四暗刻単騎と大四喜はダブル役満、他の役満との複合も存在する……とのことですが、そんな手がそう簡単に……いや、このシチュエーションででるものでしょうか?
そんな手で上がるほどは出ないか様はさすがにできないでしょうし、運頼みでもありえなさすぎる状況です。
役満なんぞに頼ってはおしまいよ、落ちたもんじゃなあ貴様も、と笑う金悟ですが……
直後、ジャンがツモろうとする加納の手をつかみ上げました!!
会話のどさくさに紛れようとしたのでしょう。
やると思ったぜ、お前は今、2枚同時にツモった!
ジャンの予想通り、加納の手からは2枚の牌が零れ落ちました。
言い逃れはできないな、と笑うジャンですが……加納はクスリと笑うではありませんか!
これは最初から手の内に持っていた牌ですよ、と!
よく見れば加納の手札は12枚。
何と加納、あえて手の中に一枚握った状態でツモっていた、と言うのです!!
手の中に入を握ったまま自摸ってはいけないというルールはもちろんありません。
ツモ山もずれていませんし、私の積もる前の手牌を覚えていて、違うと言うのなら納得しますけど、と加納はほくそ笑みました。
……実は銀子は見ていました。
加納は最初からわざと少牌していたのを。
加納は最初から、自分の牌を山に戻しながら打っていた。
それなら2枚自模っても言い訳できるし、手牌はジャンの位置からは見えない……
完全に嵌められた形になったジャン。
ジャンは加納に、5万点を支払います。
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これで点数は……58000点。
もはや逆転は困難と言わざるを得ない、それどころかハコをかぶらされる最悪の結末まで見えてきたジャン。
……ですが、今までの本作から考えると、このジャンはあまりにももろすぎではないでしょうか。
そうです。
ここまでの展開は、ほとんどジャンの思い描いた通りなのです。
この後、さらにジャンは動いていきます。
予想をはるかに超える、とんでもない大イカサマに向かって!!!



と言うわけで、クライマックスを迎える本作。
紹介した部分ではいいところのないジャンですが……この後、やってくれます。
自分は語れるほど麻雀漫画をたくさん読んでいるわけではないのですが、この後繰り広げられるジャンのとんでもなさすぎるイカサマは、麻雀漫画史上に残るものと言っていいではないのでしょうか!?
その点数のとんでもなさはもちろん、積み上げていったそれが成立するための土壌、そしていざそのイカサマをするときの堂々たる態度……!!
どれをとってもものすごすぎます!!
西条先生でなければ、ジャンでなければできない……といいますか、やらないであろうこのイカサマを見るだけでも本作を読む価値あり、ではないでしょうか!?

そして本作らしいのは、その大イカサマですべてが決着と言うわけではないところ。
それまでもそれぞれのキャラの見せ場は用意されていますが、すんなりとジャンの流れにはしてくれません!!
最後の最後までどうなるかわからない、「ジャン」らしい戦いを見逃す手はありませんよ!!

ちなみに今巻で最終巻となるわけですが、その終わり方もなんといいますか、「ジャン」シリーズの流れを汲んでいるような感じのエンディングだったりします。
どんな終わり方なのか?
こればかりは読んでいただくしかございません!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!