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今回紹介いたしますのはこちら。

「無限大の日々」 八木ナガハル先生 

駒草出版さんより刊行です。


八木先生は、会社員をするかたわら、同人イベントで漫画を描き続けていらっしゃる兼業漫画家さん。
そんな八木先生の初商業単行本となるのが本作です。

本作に収録されているのは、八木先生の得意とするSF作品のみ。
駒草出版さんならではの、一部の人をターゲットにした単行本だけに、折り紙付きと言ってもいい本作ですが、今回はその中のエピソードの一つ、「ツォルコフスキー・ハイウェイ」を紹介させていただきたいと思います!


鎹涼子(カスガイリョウコ)は、ドキュメンタリー映画の監督を生業としています。
その日はある仕事の依頼を受け、ある場所へとやって来ていました。
その依頼主であるクロダは、なんでも現地にわざわざ足を運んでくれるとか。
案外暇なのねあの人、などと言いながら現地にたどり着いたカスガイは、「それ」を見て流石に驚いていました。
「それ」、ツォルコフスキー・ハイウェイは、地球から宇宙に向け、取り囲むように螺旋を描いて伸びる巨大道路です。
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これはいわゆる、ロケットなどの力に頼らず宇宙空間に向かうことのできる起動エレベーターの一種です。
自動車に乗って宇宙まで行ける、と言う売り文句とともに、なんと300年以上もかけて作られております。
地球のような貧しい星が、よくこんなものを造ったものだ、と変に感心していたカスガイのもとに、ハイウェイの入場許可が出たという一報が届きます。
その一報を届けてくれたのは、例のクロダでした。
その言葉をきっかけに、カスガイは助手たちに命じて一斉に出発の準備を始めます。
自動車で宇宙に行ける、と言う売り文句ではあるものの、実際は地球を何周も回るほどの距離があるわけで。
カスガイとクロダ、そして助手たちはみなリニアカーで移動するのでした。

カスガイの仕事は、オープニングセレモニーで流す映像を撮影すること。
道すがら、黒田にプランを説明していきます。
終点にある宙港に向かうまでに必要なショットを押さえる。
大気圏外なら転校の心配はないし、道路の先端にある宇宙港までは撮影に影響はない……
もう少し時間があれば演出プランの相談もできた、というカスガイですが、クロダはそこまではいいと言います。
クロダとしては来月に迫ったオープンまでに映像を間に合わせてくれればいい、とのこと。
それならもう少し早めに依頼されるべきでしたね、とカスガイは精一杯の憎まれ口をたたくことで、やる気のない依頼主を責めるのでした。

クロダの態度は今一つ気に入らないものの、撮影は順調に進んでいきました。
なんといっても開通していないハイウェイですから、撮影を妨げるものがありません。
セレモニーで流される退屈なショートフィルムをでっちあげるには十分すぎる環境というわけです。
……が、やがてフィルムに奇妙なものが映り込むようになってきます。
いるはずのない、奇妙な人影が……それも、複数、あちこちに。
本当にこのハイウェイは無人なのか?後で肖像権などでもめないか?
クロダにそう問い詰めるカスガイですが……
クロダの様子は明らかに妙。
まさか、そんな、とうろたえているのです。
そうこうしている間に、道路の終点が近づいてきました。
助手に準備をしておいてと命じるカスガイですが……クロダはと言いますと、後で説明する、とだけ告げるのが精いっぱいのようで……

いざ終点についてみますと、さらに奇妙な光景が広がっていました。
なんと、終点にあるはずの宙港が存在しないのです。
別の場所で組んでいて、移送して接続するのかとも考えましたが、その接続のための工事もなにもされておらず、ただそこで道路が途切れているだけ……
これでは仮に宙港を移送してきても使い物になりません。
一体これはどう言うことなのでしょうか?
クロダに問い詰めてみると、とんでもない答えが返ってきたのです。

先月からこのセクションに赴任してきたというクロダ。
ハイウェイについては歴史を勉強していただけとのことで、いざここに来てみると誰もなぜこの工事をしているのか知らないと言う事実に直面しました。
やむを得ず昔の資料をあさってみたのですが……そこで知ったのは、さらに驚くべき事実。
300年近く前、建設初期に作成された調査記録によれば……すでにそのころから、この工事のことを何も知らない状態で作業が進めらられていた、と言う……!!

ピラミッド、モアイ像、あちこちにのこる巨大建築の廃墟。
地球上には何のために作られたのか分からない建造物が存在しています。
彼らは、これらを建設したのは人類ではないのではない、と結論付けていました。
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そんなバカなとつぶやくカスガイですが……ではなぜ人類はこんなものを造っているのでしょうか?
クロダは知りません。
勿論、カスガイも知るはずがなく……
と、その時、助手が血相を変えてカスガイたちを呼びました。
そちらに行ってみますと、そこには……
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あの得体のしれない人影が、大勢で……道を歩いていたのです!




と言うわけで、巨大建造物建築に隠された奇妙な真実を描く本作。
何のために作ったのか分からない建造物は、何のために作られたのか?
作った人物ですらわからなかったのではないか?
そんな不可解な建造物建造の原因とは……!!
驚きの結末が待つこのエピソードの他にも、読み応えある本格SFストーリーが満載となっています。
遠く離れた星に、何故か全く同じ虫が存在する謎に迫る「SCF特異昆虫群」。
蟻が支配する星で観測される様々な生体を持つ蟻を描く「蟻の惑星」。
入院患者が描く物語に隠された奇妙を描く「ユニティ」。
機械が合理性にのっとって人間を支配している星の物語「幸運発生機」。
ロボットを修理するための病院に秘められた公然の秘密、「病院惑星」。
生まれた時からオンライン化されてつながりあった人類が暮らす惑星で起きてしまう事件を描く「鞭打たれる星」。
そして宙に浮く巨大な少女の眠る空間の正体を描く「巨大娘の眠り」。
合計8編が収録されております。
そのどれもが八木先生のSF知識を生かした、科学的ハッタリに満ちた上質の物語。
どれも読めば感嘆し、引き込まれてしまうこと間違いなしのお話になっているのです!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!