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今回紹介いたしますのはこちら。

「イジらないで、長瀞さん」第1巻 ナナシ先生 

講談社さんのマガジンKCより刊行です。


ナナシ先生はネットや同人界隈で活躍されておりまして、そちらでの活躍をきっかけに本作で商業デビューをされた漫画家さんです。
同人などではエロスな作品、それも特定の趣味の方に向けた作品で注目を浴びていたナナシ先生ですが、本作はソフトなエロスのみの健全な作品!!
気になるその内容はと言いますと……?



学校の図書館の扉を開けると、そこには4人の、見るからに姦しい感じの女子がたむろしておりました。
放課後はたいてい誰もいないので、静かに勉強をできる穴場スポットなのですが……
せっかくやって来たのに、何もせず帰るのももったいないところ。
さっさと宿題を終らせて帰ろうと鞄からあれこれ取り出しました。
ですが今の図書館、さっさと終らせるにはあまり適さない状況です。
彼にとって苦手なタイプの女子、いわゆるギャル的な、箸が転んでもおかしい年ごろの彼女たちを横目にしながら、務めて集中しようとするのです……が。
机の上に乗せていたバッグがバランスを崩し、地面に落下。
同時に、とても見られたくないものがぶちまけられてしまいました。
それは……昨日自宅で描いていた、自作の漫画!!
どうにかしたくてももはや手遅れ、彼女たちはそれを拾い上げ、盛り上がり始めてしまいます。
その漫画のセリフをマネしてはしゃいでみたり、マジこれヤバいだろ、と小馬鹿にしてみたり。
ここで慌てて取り返そうとしても彼女たちに燃料を注ぐ結果になるだけでしょうし、とにかく冷静に、平常心を保とうとじっと耐えていますと……
彼女たちはすぐ飽きたようで、それ以上からかうこともなく、どこかに行こうだとか、バイトの時間だとかと図書館を次々に後にしていくのです。
……一人を除いて。

それは、漫画を拾い上げた時に一人だけ、これ自分で描いたんすか?と、内容へのからかいではない言葉をかけていた女子でした。
図書館に彼女と二人きりと言う状況になると、彼女は自分は1年だけど、そちらは2年かと尋ねてきました。
真正面に座って自分を見つめながらそう尋ねてくる彼女を見て、ほほを染めながら頷くと……
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彼女は、悪戯そうに微笑みながら、じゃあ、センパイですね、とじっと見つめてくるのでした。

彼女、長瀞さんはその後、一気に攻め込んでまいりました。
漫画内のセリフを朗読し、あげくの果てに冷静にその漫画の主人公像を分析。
この主役のジークフリートは、センパイ自身ですよね?
自分を投影した不遇な剣士が美しい女騎士と出会い、戦いの中で心を通わせて……
先輩の創作行為を笑うつもりはありませんよ?
ただまあ、ジークフリートもセンパイも、かわいそーな奴だなーって。
いきなり投げかけられた辛辣な言葉に固まってしまう男。
それでも長瀞さんは攻めの手を休めません。
漫画にあまりどうこう言うつもりはありませんけど、ここはちょっとどうかと思いますよ?
そう言って、あるワンシーンを指さしました。
ヒロインの女騎士が剣を振って、自分は戦いの中でしか生きられない、女など捨てた!と言っているところに背後から近づくジークフリート。
そして髪をかきあげ、何を言う、お前は美しい、と声をかける……
お約束と言えばお約束のシーンですが、長瀞さんはこのシーンがおかしくてたまらないようです。
笑いませんよと言いながら含み笑いを耐え、ジークフリートは先輩の分身だからおかしいと、このシーンを再現しようと言いだしました。
流石に剣はありませんし、経験もないので、なんだか堂に入った構えからワンツー、ハイキックと流れるように体を動かし、女騎士と同じセリフを言って見栄を切る長瀞さん。
それだけでも照れくさくてたまらない男ですが、長瀞さんはその後ちらりとしsンを送り、動きを止めるのです。
これはつまり、例のお前は美しいのシーンをやれと言うことなのでしょうか……?
戸惑いながら、彼女のほうに手を伸ばそうとする男。
顔は一層赤面し、とめどなく汗が流れてきます!
それでも決心して髪に手を触れようとしたものの……いざと言うところで踏ん切りがつかず、結局ノータッチで終わるのです。
その様子を確認した長瀞さんは、再びあの悪戯そうな笑顔を浮かべ、鬼の首をとったかのようにはやし立ててきました!
ほらほら、そうなりますよね、今みたいな反応ですよね!?
こんなイケメンにしか許されないようなスカしたことできるわけないじゃないですか!
こんなドーテー面したセンパイみたいなやつに!!
キャラぶれてますよ!!
……ショックを受ける男ですが、だからと言ってどうすることもできません。
視線は右往左往し、吹き出る汗はそのままに、できることはメガネの位置を直すくらい。
その視線の先に立とうとする長瀞ですが、まともに視線を合わせることのできない男……
そこをついて長瀞さんは、さらに攻撃を仕掛けてきました。
何きょろきょろしてるんですか?
人が離してるときはちゃんと目を見てくださいよ、ねぇ!?
そして男を本棚際に追い詰め、壁ドンならぬ本棚ドンをしながら、最後のひと押しをしてきました。
センパイって、ちょっと、いや、かなりキモイっスね。
容赦ない言葉を浴びせられ、思わず目に涙を浮かべてしまう男……
すると長瀞さん、
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あれ、センパイ、泣いてます?ととどめを刺してきて……!!
狼狽してしまう男。
長瀞さんはクスリと笑い……

取り出したハンカチで男の涙を拭き、そのハンカチを掌へと置きました。
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それあげます、いじめちゃったお詫び。
じゃーね、センパイ。
そう言って、さっそうと去っていってしまう長瀞さん……
後輩の女子に、泣かされた……
複雑すぎる思いが胸を駆け巡る男は、彼女を見送ることもできず、ただハンカチを握りしめるのでした。



と言うわけで、後輩にいじられるセンパイの様子を描いていく本作。
この第1話の時点ではホントにいじめているだけにも見えてしまうかもしれませんが、この後のお話で長瀞さんがセンパイを特別視しているのがわかっていきます!
それからことあるごとにセンパイの元を訪ねてくる長瀞さん、次第にスキンシップ的なものも増えていき、ただ面白がってからかっているわけではない素振りも増えていき……!!
基本はSな後輩のセンパイいじりをちょっぴりフェチの入ったソフトなエロスを交えて描いていくのですが、だんだんとこの作品がラブコメである事をわからせてくれるのです!!
特に注目したいのが、物語の分岐点となっていると言ってもいい気がする第6話!
ただのSではない長瀞さんの本当の魅力が明らかになってからが本作の本当のスタートと言える……かもしれません!!
この第1巻のトリを飾る第8話でさらにそれが決定的になりまして、第2巻から基本的な構造は変わらないでしょうが、その中身は大きく変わってきそうな予感がしてくるのですから、ますます目が離せなくなってしまうわけです!!

さらに、単行本では描き下ろしのおまけ漫画が2編、12P収録されているのですが……
こちらのエピソードの破壊力も相当なもの!!
長瀞さんの本編とは少し違った姿が見られるこのおまけエピソード……ネット連載だけに通常のお話をすべて読んでいる方も少なくはないでしょうが、呱呱だけのために買ってもいいくらいの仕上がりに!!
加えて幕間のおまけカットでも長瀞さんの本音が語られているなど、単行本ならではのお楽しみは満載!
本編に豊富なおまけにと、褐色好き、弄ってくる女の子好き、そしてラブコメ好きに楽しめる内容になっているのです!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!