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今回紹介いたしますのはこちら。

「金のひつじ」第1巻 尾崎かおり先生 

講談社さんのアフタヌーンKCより刊行です。



尾崎先生は93年にデビューした漫画家さんです。
新書館さんをメインに活動されておられましたが、近年では講談社さんのアフタヌーンでも作品を発表されています。

そんな尾崎先生の最新作となる本作は、いわゆる青春群像劇。
4人の高校生を主役として紡がれていく本作、その内容はと言いますと……?


練炭下さい。
そう言って空は、ホームセンターで練炭と、カモフラージュ用のバーベキュー用の肉を購入していました。
僕は、楽しそうに見えるかな。
そんなことを考えながら空が向かったのは、河川敷に廃棄してある放置自動車の中。
中に入り込むと、隙間をガムテープでふさぎ、そして……練炭に火をつけました。
しばらくすれば、空の命はなくなるでしょう。
涙をその瞳に浮かべ、おばあちゃんに謝るメールをうつ空。
そっと目を閉じたその時でした。
フロントガラスにギターが何度も叩き付けられ、フロントガラスが割れたのは。
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廃棄自動車のボンネットには、少女が仁王立ちして涙を流していました。
彼女は、三井倉継。
物語は少しさかのぼり、継が数年ぶりに昔暮らしていた土地に戻って来たところから始まるのです。

長い長い車での旅がようやく終わり、継と姉妹、そして母親の5人で新しい生活が始まりました。
大阪で暮らしていたころとは違い、2DKの団地住まい。
父親がいないとウチって貧乏なんだな、などと考えながら、その日はおばさんの営む小料理屋に行って食事をいただくのです。
おばさんは、それにしても見事な女家計になっちまったね、と漏らしました。
お母さんは、お父さんは星になったから忘れろと言うのですが……おばさんは寂しいわよね、継ちゃんはお父さんと仲良しだったもんね、と心配の声を投げかけてくれました。
継はそれでも気丈に笑い、友達がいるから平気!と答えるのです。
……継がここから大阪に引っ越すとき、泣いて見送ってくれた友達がいました。
実は継、その三人に手紙を出しています。
三井倉継を覚えていますか?
もしもこの手紙が届いたら、「羊の公園」で待っていてください。
寒風の吹きすさぶ中、羊の像の前で待つ継。
誰も来ないのだろうか?
そんな思いがよぎろうかと言うタイミングで、すっとんきょうな叫び声を上げながら、ターザンロープで移動してくる少年が現れます。
そしてその姿を見て笑う少年と少女。
継との別れを惜しんでくれた三人の友達、優心と朝里、そして空です!

涙の再会を果たした4人。
そのままファミリーレストランに向かい、いろいろと話を聞く継。
なんと三人は、これから継が通う高校に通っているそうで、また一緒に学校に行けるんだ、と津gひゃめを輝かせます。
ですが継が少し気になったのは、優心が同じ学校に通っている、と言うこと。
別れる前の優心は、勉強ができる子でした。
進学校に行っていると継は思っていたのですが、優心は「いろいろあって勉強をするのをやめた」とのこと。
なんだかあまり聞いてほしくなさそうな雰囲気を感じ取った継は、話題を切り替え、6年もたってるから手紙が届かないかもと思った、と笑いました。
文通ってだんだんフェードアウトしちゃうよね、と言う空。
朝里は何度も手紙をくれたそうですが、優心に関しては一度も手紙をくれなかったとのこと。
もう私のこと忘れたんだろうと思った、とむくれる継ですが、優心はさらりとこんなことを言うのです。
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そんなことないよ、すごく会いたかった。
継は照れながら、キャラ変わったんじゃないか、ピアスしてるし、チャラくなった!と指摘。
継だってピアスしてるじゃん、とにこにこ顔で返す優心ですが、そんな二人のやり取りを朝里はなぜかつまらなそうに見つめているのでした。
そして継は空に話を振ります。
ずっと漫画家目指してるの?と聞くと、空は何か言いづらそうにしています。
朝里は、なんかいつもアニメの絵描いてるよね、とからかい混じりに口をはさむ朝里。
ですが優心は、凄い上手いよ、俺才能あると思ってる、と言ってくれて……
継は、今度見せて、とねだると、空は恥ずかしそうにうなずくのです。

すっかり話し込んだ後に別れた一同。
継は、みんな昔のままでよかった、またみんなでこの街で同じ学校、ひとりじゃないんだ!
そう心を躍らせ、家に駆け足でかえっていく継。
……ですが、そう思っていたのは継だけだったのです。
優心は継が返った後、空にちょっと付き合えよと声をかけました。
そして……悪い仲間とともに、夜の川に空を突き落とし、いじめ始めています。
仲間たちが空を蹴飛ばし、向こう岸にタッチして来いと悪ふざけをしているなか、空は仲間たちの後ろで座ってみている優心に助けを求めます。
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しかし優心は素知らぬ顔で天を仰ぎ、煙草を吹かすのです……
そして朝里も、自分でピアスの穴を開けようとネットで調べ、耳に画びょうを指していました。
あのファミレスでの継と優心の会話を聞いて、ある思いを抱えている彼女は自分もピアスの穴を開けなければ、という考えに至ったのです。
……変わってしまった三人。
そんなことも知らず、継は一人、眠りについていました。
楽しい新生活の始まり。
愛用のギターとともに、そんな思いを胸に抱きながら。



と言うわけで、再会した4人の物語を描く本作。
継が引っ越して、また戻ってくるまでの6年間に何があったのか?
その6年間は4人はどう変わったしまったのか?
そしてこれからどう変わった行くのか……?
すっかり不良になってしまった優心、その優心からいじめられている空、一見変わっていないようでして継にある感情を抱いてしまう朝里。
そこに言葉こそ関西弁になってしまったものの、そのノリと心根は変わっていない継がやってきたとき、事態は動き始めるわけです。
そしてそんな物語の一つの機転となるのが、冒頭で描かれた空の練炭のくだり。
そこに至るまでの物語も、4人の想いが複雑に交錯し、様々な出来事の巻き起こる予想の出来ない、心の痛くなる物語で見逃せない内容になっているのですが……
そこからが本作の第二章ともいえる新たなスタートになるのです!!

じっくりと進んでいきがちな青春群像劇ですが、本作は次々に事件が起こり、そしてその舞台も変わっていきます。
この4人の関係が元通りになるのか、違った形になったままなのか。
ひと時も目の離せない継たちのこれからに、期待と不安が抑えきれないこと必至ですよ!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!