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今回紹介いたしますのはこちら。

「地獄楽」第1巻 賀来ゆうじ先生 

集英社さんのジャンプコミックスより刊行です。


賀来先生は09年にジャンプSQの新人漫画賞出佳作を受賞し、デビューした漫画家さんです。
13年に初連載作となる「FANTASMA」を連載し、単行本も刊行されました。
その後18年より本作の連載を開始、早くも単行本かんこうとなりました!

そんな本作、時代物のアクション漫画となっております。
気になるその内容はと言いますと……?


今まさに、打ち首に処されようとしているものがいました。
実は打ち首と言うもの、高度な技術が求められます。
頑丈な骨と、銃を超える筋肉が重なる首を、一刀両断にする。
たいていは何度も何度も刀をたたきつけ、刑場は凄惨な光景と化してしまうのです。
……が、どうしたことでしょう。
振り下ろされた刀は、真ん中あたりからぽっきりと二つに折れてしまっています。
対してその刀の叩きつけられた首のほうは、傷一つなく……
その処刑されるはずの男は、やれやれとばかりにため息をつくのでした。

打ち首は火を検めることになったようです。
再び牢につながれたその男に、一人の女が調書を取るからと質問をしていました。
男はいいます。
生に執着などない、自分は石隠れの里の忍、命の価値などわからん。
なるほど石隠れの忍ならば、その忍術や鍛えた体で刃を折るなんて簡単だと、そう言うことのようです。
女はその忍術を見せてほしいと男に頼むのですが……女の個人的な趣味で見たいだけだと知ると、男はイヤだときっぱり断るのでした。

その後の男の処刑は続き、そして女の質問も続いていきます。
火あぶりにされても服が焼けるぐらいで済ませてしまった男に、女が尋ねたのは負いたちです。
男は素直に応じ、こんな人生を語ってくれました。
赤子時代に両親を里の長に殺され、そのまま自分は拾われた。
理由も知らないし何とも思わない。
忍には大志も大義もない、言われるままに殺すだけ。
こうして捕まってしまった理由は……忍から足を洗おうとしたら、長に罠に嵌められてしまった。
抜け忍を許さないのは掟だし、仕方ないだろう。
……そこまで聞いて女は、もう一つ質問をします。
ではなぜ抜け忍になろうとしたのか、と。

次に行われたのは牛裂きの刑でした。
罪人のそれぞれの足を別の牛と結び付け、そして別々の方向に走らせる。
そうすると罪人はなすすべなく足が……いや、またから体が避けてしまう、という恐ろしい刑。
なのですが、男は逆にその牛のほうを引っ張ってノックアウトしてしまい……
女はますます男に興味が出てきました。
生きる意味がないと言うものがなぜ、こうして死なないよう抵抗しているのか。
なぜ、里を抜けようとしたのか……?
そこで男は答えたのです。
対した理由じゃない。
ワシは石隠れ衆の筆頭だった。
里の長にも認められ、自分の娘とも結婚させたほどだった。
ところがその娘、とんだ愚鈍。
忍びの長の娘なのに、平和ボケの世間知らずの箱入り娘。
「履き物は脱いで部屋に上がるものです」「一日一度は神仏に手を合わせます」「必ず一緒にいただきますを言う、いただく命に感謝して」。
そんなことばかり耳元にささやいてくる彼女。
男は思ったのです。
このままじゃ鈍る、と。
思ったままを長に語ったところ、罠に嵌められました。
逃げようと思えばそこで逃げられたかもしれません……が、石隠れ衆はどこまでも追いかけてくるでしょう。
罠にかかった時点で、詰み。
男はそうして、縄についたというわけです。

しつこく調書を取る女に、やめろと忠告する者もいました。
それもそのはず、男は音に聞こえる大悪党、
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「がらんの画眉丸」なのですから。
血も涙もない「がらんどう」。
捕縛の際には二十人も殺したという化け物……
噂では石隠れの忍はみな不死身になる仙薬を飲んでいるともいわれています。
ですが女は、その噂よりも、「がらんどう」と呼ばれるよとこがなぜ二十人も殺すほど抵抗したのかのほうが気にかかっている様子。
何故彼女はそうまで画眉丸の心中を気にしているでしょうか?
その真相は、ほどなく明かされることとなります……

その後もすべての刑を、無意識のうちに抵抗し、生き延びた画眉丸。
ですがその日の様子は違いました。
待っていたのは、調書を取っていた女。
彼女はただの役人ではなかったのです。
江戸よりわざわざやって来たという、「打ち首執行人」山田浅ェ門佐切。
彼女は代々刀剣の試し切りや処刑思考を務めてきた一族の一人だったのです!!
彼女は、画眉丸に言いました。
殺してほしいと言っていましたね。
お望み叶えましょう、と。
画眉丸は感じます。
この女の刀にかかれば自らの首は飛ぶであろうことを。
そう感じた瞬間、画眉丸は無意識のうちに手枷を外していました。
そして、切りかかってくる佐切の攻撃をかわしていたのです!
死ぬのが嫌なのか、ワシは!?
自分自身の心のうちもわからず回避を行う画眉丸。
そんな画眉丸に、佐切は言いました。
刀には人の本性が映る。
死ぬ寸前まで虚勢を張り続けるもの、その場しのぎで必死に縋るもの。
死を受け入れたと自分を偽るもの。
がらんの画眉丸には確かに大きな虚無があるが、ひとつ嘘をついている。
死に執着している……いや、妻を愛している。
思わず激昂し、佐切に斬りかかる画眉丸!!
その脳裏には、忍として生きてきて感じたことのなかった、妻との暖かな思い出ばかりがよみがえってきます。
そして、長に告げた思いもありありと蘇ってきました。
もう殺しで稼ぐのはやめよう、彼女と二人、静かに暮らそう。
娘のためなら長もわかってくれるはず。
誰も殺さず、静かな土地で、普通に暮らそう。
人並みに……
その言葉を打ち消すかのように、画眉丸は叫んでいました。
そんなもの、どうせ叶わんのだ!!
と、その言葉をかき消すように佐切は言いました。
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叶います。
彼女が取り出したのは、「公儀御免状」なるもの。
どんな罪も無罪放免とし、将軍の加護が約束される書状です。
これさえあれば、画眉丸は大手を振って外を歩け、奉行所も忍も手だしを許されない。
では、どうすればその書状が手に入るのか?
佐切は言うのです。
あの世に行ってもらいます、と。
……それは死ねというわけではありません。
極楽のような美しい光景に拡がる地獄。
彼岸、極楽浄土、常世の国。
そんな呼ばれ方をしていた未知の島、神仙郷が先日発見され……そこに行って、きっとあるであろう不老不死の仙薬を手に入れれば、書状が手に入る!!
……しかしその神仙郷、足を踏み入れて生きて帰ってきた「人間」はいません。
帰ってきたのはたった一つ、人間「だった」モノ、だけ……
待っているのは間違いなく地獄。
ですが、佐切から妻がまだ石隠れの里に健在であり、そしてまともに食事もとらず「何か」を待っていると聞かされれば……!!
人の心はそう簡単に死なない。
画眉丸は決意しました。
なんでもうやるさ、死罪人も未知の島も関係ない。
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必ず生きて帰る!!



というわけで、画眉丸の冒険が始まる本作。
当然未知の島に画眉丸一人で行くはずもなく。何名家の人物が選抜されて向かうこととなります。
それは、画眉丸をはじめとした「死んでもいい人間」、大罪人ばかり。
そして同行するのは、許可されている以外のことをすれば即処刑するための山田浅ェ門を襲名した者達!!
誰をとっても腕利きばかりなのですが……問題はみんながみんな大罪人であるということ。
極刑を命ぜられたようなものたちが、すんなり協力して仙薬を手にしようと一致団結するでしょうか?
いや、するはずがありません!
何が待っているかわからない、極楽のような地獄で繰り広げられる血を血で洗う戦い。
物語は血生臭さを振りまきながら動き出すのです!

さらにその罪人同士の戦いだけではなく、島にいる「何か」も問題になってきます。
唯一返ってきたモノを、人ではなくしたモノ。
それはいったい何なのか?
病気なのか、毒なのか、それとも……?
謎ばかりが立ち込める離島の中で、ただ己の体と愛だけを携えて戦う画眉丸。
そして、佐切もまたその胸の中に何かを抱えていて!?

迫力ある圧巻の絵力で描かれる、血生臭くも艶やかな世界と、それぞれ思いを抱く登場人物。
それらが絡み合い、先の読めない展開が待ち受ける物語はもう目が離せないことうけあい!!
謎は明かされるのか、戦いの結末は、画眉丸や佐切の想いは!?
これから先にも大注目必至です!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!