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今回紹介いたしますのはこちら。

「超能力少女も手に負えない!」第1巻 中村力斗先生 

講談社さんのマガジンKCより刊行です。


さて、中村力人先生久しぶりの単独での作品となる本作。
中村先生の芸風と言えば、ヨゴレも辞さない激しいギャグと鋭いツッコミ。
そんな持ち味はそのままに描かれる本作、その内容はと言いますと……?



実子と倫子の姉妹は、超能力の番組を見ています。
姉の実子は最初こそこんなの見るなんていつまでも子供なんだから、と妹の倫子を小馬鹿にしておりましたが、なんだかんだとそのうち自分も夢中になってしまいました。
番組に影響された二人は、早速スプーンでも曲げてみるかと念じてみますが、倫子のスプーンはピクリとも反応なし。
はい倫子才能なーし、とサラリと小馬鹿にし、次私、と実子が念じてみますと……
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なんかスプーン、めちゃくちゃまがったじゃございませんか!!
なんだこれおっかねえ!!と、思わず叫んでしまう実子なのですが……!!

人助け大好きな少年、坪倉君。
そんな彼の人助け風景を横目にしながら、実子は友達と下校しておりました。
困っている人を放っておけない坪倉君はすごい、それに引き換え実子と来たら、成績は中の中、身長も中の中、ソフトクリームはバニラ、と本当に普通だ、と友達に言われてしまうのです。
まぁ、ご立派なお胸を備えておりますので、おっぱい以外は取り柄がない、とお友達に千切り取らんばかりにひねり上げられるのですが……
そんな普通なはずの実子でしたが、今日から実子、自分では到底普通だと思えなくなってしまいました。
いつもはスプーンでソフトクリームを食べる派だったはずの実子、今日はダイレクトにペロッています。
それはなぜなのか……?
そう、例のアレからスプーンを握るのが怖くなってしまったのです!!
あのあと、倫子に、戸惑いながら何これ、とスプーンを見せながら尋ねますと……
倫子は、まだ、死にたくない……と、血も涙もないクリーチャーと遭遇してしまったかのようなリアクションをとりやがったのです。
おまけに、政府の実験動物にされても忘れないでね、とすすり泣くのです。
姉を差し出す前提でそうのたまう倫子。
そんなことを考えていますと……自然と実子の瞳から涙があふれてきて……
友人はいきなりソフトクリームを食べながら泣き始めた実子を見て、あわてて実子は全然普通じゃないよ、ツッコミのキレとか、とフォローするのですが……普通が良かったと絞り出す実子に、どうしていいかわからなくなってしまうのでした。

その後、友達と別れて一人になった実子。
いろいろ気になっていたせいで、電柱にぶつかってしまいました。
その際鞄に入れていたお茶のペットボトルが転がり落ちてしまい……
おーいお茶、と転がっていくそのペットボトルを追いかける実子。
するとそのお茶を拾い上げ、大丈夫、カテキンはまだ生きてる!と手渡してくれる人物が現れました。
それは……坪倉君です!!
坪倉君、なんとそのペットボトルを拾うため、皮を突破して向こう岸から来てくれた様子。
そんな人助けに関して、常軌を逸していると言っていい情熱を持つ坪倉君。
実子は素直にすごいね、と称賛し……ふとした興味から、そんな坪倉君が今日行われた進路相談でどんな進路を選んだのかと尋ねてみました。
坪倉君は迷わず応えてくれました。
超能力者、と。
……あまりにも、あまりにもタイムリーで、そして突拍子もないその発表。
何なんだと戸惑いまくる実子ですが、坪倉君は本気のようです。
何か一つの職業を選ぶことは同時に、助けられない人を選ぶことなんだ。
そんなの嫌だ、ひたすら無差別に助けまくりたい!!
そんな人助け第一の道を突き進むためにも、超能力者になるための訓練を続けるという坪倉君……
超能力者になって、銀河中の人々を助ける、というとんでもない目標をぶち上げるのでした。

その後も、実子の苦難は続きます。
面白がってひたすらスプーンを握らせようとする倫子があまりにもウザったく、あっち行ってと手を振り上げれば、倫子の体が浮き上がり、念動力がある事が判明。
あげく、人の考えが読めるテレパシー的なあれも開花し、ますます普通からはなれていってしまうのです。
そして坪倉君の常軌を逸した行動はさらにエスカレート。超能力に目覚めるために街中を流れる川で水垢離をしてみたり、ホームレスのおじいさんが寒そうだったからと服を全部あげて全裸で登校をしていたりと、そっちももの凄いことに……
そんな現状を見て、悩んでしまう実子。
人助けをするために水垢離をしてまで超能力を開花させようとする坪倉君ではなく、なんで自分が超能力なんて手にしてしまったのだろう……

そんな悩みを抱いていた時、実子は連日の水垢離やネイキッドウォークで体を冷やしたのか、高熱を出して倒れてしまう坪倉君と遭遇してしまいます。
その時も川での水垢離の真っ最中だったのですが、坪倉君は、超能力に目覚めないのは努力が足りない所為なんだと自分を責めていて……
そんな時のことです。
なんということでしょう、増水していた川に落ちてしまったらしい子供が流されているではありませんか!!
思いがけない光景に驚く実子でしたが、実子が誰かを呼ぶ声を上げるよりも早く、
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坪倉君は川に飛び込んでいました!!!
熱でフラフラなはずなのに、一切迷うことなく子供を助けに向かった坪倉君……!!
そうか、坪倉君には自分の犠牲なんて見えていないんだ。
衝撃を受けている実子の目の前で……力尽き、川へと沈んでしまう坪倉君と子供……
坪倉君が目を覚ましたのは、実子の念動力によってかわから助け上げられた時でした!!!
もうダメかと思われたときに突然体が浮かび上がり、川から出られた。
坪倉君は、実子に言うのです。
君は……
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見てたかい?今僕が覚醒した超能力で浮いたところを!!

……坪倉君は浮き上がったのが自分の超能力だと勘違いしてくれたようです。
これで超能力バレによって実子の平穏な日常が崩される危機はとりあえず回避されました。
……が、超能力が目覚めたと勘違いし、今まで以上に無茶をして人助けに励み始める坪倉君を放置するわけにはいきません!!
超能力バレによる平穏の崩壊は防がれたものの、やはり実子の平穏は音を立てて崩れていくようです。
……絶対とんでもない無茶をするであろう坪倉君を守るため、実子は一緒に人助けをしたくなったという名目で彼についていき、フォローする決意を固めたのですから……!!



というわけで、実子がその超能力で、坪倉君の人助けを助けていくお話になっていく本作。
この後も坪倉君の人助けはとどまるところを知らず、実子の苦労もまたとどまることを知りません!!
空気も読まず、身の危険も顧みずに人助けをする坪倉君、その奇行は滑稽ではあるものの、そのうちに秘めた情熱は本物!!
それだけに実子もほっておけないわけですが……

この後本作は、さらなるめんどくさ……もとい、強烈な個性を持ったレギュラーメンバーを迎えつつ、各話に新キャラを登場させながら一話完結型のお話を展開していきます。
単なる人助けだけに終わらず、様々な困難が降りかかってくることになるのですが……
そこは坪倉君のいろんな意味で高い人間力と、実子の超能力(&ツッコミ力)で潜り抜けていってくれます!!
中村先生の得意とするハイテンションなギャグと、絶妙にすれ違う各キャラの掛け合いがさく裂していくギャグを心行くまで楽しめますよ!!
なにせ中村先生は国宝級のギャグとキレッキレのツッコミで銀河一面白い漫画を描かれているわけですから(第5話参照)、その楽しさはお墨付きと言うわけです!!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!