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今回紹介いたしますのはこちら。

「囚人リク」第38巻 瀬口忍先生 

秋田書店さんの少年チャンピオン・コミックスより刊行です。


さて、剣崎を打ち倒し、地獄島を脱出したリク達。
ですが鬼道院も野望に向けて飛び立っていて、その野望の阻止のためのタイムリミットはどんどんと近づいて来てしまいます。
地獄島を脱出した感動もそこそこに、すぐその野望の阻止に向かうのですが……!?



国会議事堂は、爆破されてしまいました。
リク達が必死に中の議員たちを逃がそうとしたものの、突然現れた得体のしれない者達の言葉を信じるものなどそういるはずもなく……
そんなリク達の奮闘をあざ笑うかのように、鬼道院のセットした爆弾は、時間通りに起動。
ここから、鬼道院最後の野望のピースが動き始めるのです!!

鬼道院の乗った飛行戦艦は、街の中央の上空で滞空し、民衆に向けて放送で呼びかけました。
この国に生きる皆々様、たった今鎖尽くしたこの日本は死んだ、この鬼道院永周の手によって。
この瞬間よりこの国は世界で最も輝きを放つ国として歩み始めるのです。
美しき再生の道を。
そう言って姿を現した鬼道院は……なんと土下座をしています。
鬼道院は、その体勢のまま、スラムの人々にこう言いました。

今まで申し訳ありませんでした、と。
激しく顔面を地面にこすりつけ、スラムの人々の怒りはもっともだ、命令だったとはいえ最前線で抑圧し続けてきたことを許してくれ、と涙や鼻血を流しながら謝罪。
そして、この差別をなくす方法を考えた結果がこの義挙だった、と続けました。
ですがスラムの民人からすれば、鬼道院こそが自分たちを被差別者に貶めた憎むべき対象。
いくら涙を流しながらそう言ったとしても、信じることなど、許すことなどできるでしょうか?
いや、できるはずがありません!!
……ただしそれは、目の前でその出来事が起きるまでのわずかな間だけでした。
鬼道院は……スラムの壁を閉ざしていた扉を……開いたのです!!
ただいまよりスラムの壁を、完全撤廃、永久に開放いたします。
今まで壁の外と中を完全に隔てていた壁。
その壁が取り払われる。
自分たちを否が応にも壁の外とは違う存在であると思い知らされていたそれがなくなる……それは、何よりも求めていたこと。
そんな夢が目の前にぶら下げられては……一人の人間に対しての怒りや恨みなど、吹き飛んでいってしまっても仕方がないでしょう……!
鬼道院の顔には、以前涙がしたたり落ちています。
ですがそれは、悔恨の涙ではありません。
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悲願成就を目前にした、うれし涙!
完全にスラムの民衆の心をつかんだ鬼道院はすでに勝利を確信しています。
この民衆のうねりを利用すれば、議事堂爆破によって主要な政治家がいなくなったこの国を奪い取ることもたやすいと考えたのでしょう。
実際、壁の外の人々は、治安が悪くなるに決まっている、断固反対だと声を上げるものの、その勢いは鬼道院とスラムの人々の前にかき消されます。
何か勘違いをしていらっしゃる、この国はたったいま生まれ変わった。
手遅れだ、お前たちはもはや俺には抗えない。
小俣地愚民がのほほんと放置してきたこの国は猛地球上には存在しない。
鬼道院永周、これにてここに……新国家樹立完遂を宣言する!
鬼道院は感極まって、今までにないほどの笑顔を浮かべました。
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鬼道院の顔は、完全に満足しきり、満ち足りた彼の心情を現しています……が。
そこでそんな声が聞こえてきたのです。
さて、満足したか。
いい気になってずいぶんとさらしてやがったな、まぬけ面をよ。
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鬼道院、ぶん殴りに来たぜ。
くたばれ、茶番は終わりだ。
そこに現れたのは……リクです。
地獄島に捕え、始末したはずのリクがなぜここにいるのか。
鬼道院の頭にはそんな疑問がわいてきたことでしょう。
そしてリクがここに来たということはつまり、鬼道院の欲望は……!?
脱獄大スペクタクル、クライマックスです!!



というわけで、とうとう完結を迎える本作。
極楽島にぶち込まれ、脱出を果たしたと思えば地獄島へ。
そして限られた時間の中で地獄島から脱出し、鬼道院の野望を挫く。
そんなあまりにも長く険しいリクの戦いは、今巻でようやく完結となったのです。
リクの目の前には常に絶望が立ちはだかってきましたが、その周りにはいつでも希望と仲間たちがいてくれました。
今巻でとうとうその希望と仲間たちとの努力が実り、こうしてリクと鬼道院は対峙することとなります。
リク達は、国会議事堂の議員たちを逃がすことができたのでしょうか?
鬼道院のもくろむクーデターはどうなったのでしょうか?
そして、鬼道院と対面したリクはどうするのでしょうか……?
7年間にわたる長期連載で、様々な出来事が起こり、そしてその出来事を決着させていった本作。
完全に書き切ったと言ってもいいであろう、大団円が待っています!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!