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今回紹介いたしますのはこちら。

「ダンジョン飯」第6巻 九井諒子先生 

エンターブレインさんのビームコミックスより刊行です。


さて、とうとうファリンを助け出すことに成功した、かに見えたライオスたち一行。
ですがファリンをよみがえらせるために黒魔術を使用してしまった……だけならばまだ良かったのかもしれませんが、復活の触媒にレッドドラゴンの血肉を使用したことにより、ファリンは狂乱の魔術師の虜となってしまいました。
ライオスたちはとにかくいったん態勢を整えようと地上を目指すことにしたのですが……?



ライオスたちは、思わぬ人物と再会します。
以前ちょっとしたことで顔を合わせた、カブルーをリーダーにする若手パーティーの一行と……以前は旅の仲間だったシュローとその仲間たちです。
久しぶりに再会したシュローは何だかやつれています。
彼はあの時、這う這うの体でダンジョンから帰ってきた後、ファリンを一刻も早く助け出すためパーティーを離脱。
ちょっとした「つて」……彼の実家の関係の実力者たちを引き連れてダンジョンに潜っていたのです。
パーティーを離脱したことに関して謝罪をしたシュローですが、同時にライオスたちの無謀をとがめてきました。
あのあとすぐまた潜るなんて、また誰かが負傷したらどうするつもりだったんだ?
そんな当然の……こうやって潜る前のライオス以外の二人も考えたであろう問題に応えたのは、マルシルでした。
お言葉ですけど、この4人でレッドドラゴンも倒したんだから!
あのレッドドラゴンを、4人で倒した!?
シュローはもちろん、さすがのカブルーも驚いた様子。
レッドドラゴンを倒した、となれば当然ファリンに手が届いたということのはず。
助けられたのか、それとももう手遅れだったのか?
シュローはライオスの腕をつかみ、血相を変えて彼女はどうなったのかと尋ねたのですが……
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シュローはふらりと体勢を崩し、地面に倒れてしまいます。
どうもシュロー、ファリンを助けるために相当無茶を続けていた様子。
とことん鈍いライオスは、あからさまにやつれているシュローが、満足に睡眠も食事もとっていないということにその時初めて気が付きました。
そこで、食事は暇なときにすることではない、睡眠をとって食事をしたら、生き物と言うのはようやくやりたいことができるようになる、と諭し……
食事をしながら今までのいきさつを話すと持ち掛けたのです。
シュローも当面の目的がすでに果たされていたことに、とりあえずは安心したのでしょう。
その言葉を受け入れ、仲間に食事の用意を頼んだのでした。

大所帯となった一同は、ひとところに集まっていると魔物が寄ってくるかもしれないと考え、半を分けてそれぞれ食事の準備なんかをすることとなりました。
チルチャックはと言いますと……センシとライオス、どちらを一人にしたらやばいのかを天秤にかけています。
ライオスもセンシもモンスター食に関してひたすら語りそうですが、ライオスはとりあえず相手が仲間だったシュロー。
センシと行動を共にするのは、面識のないシュローの関係者、マイヅルです。
何かが起きそうな予感がするのは……センシだ、と考え、センシやマイヅルのいる火おこし班に合流するのです。

一人にされた方のライオスは、シュローに肩を貸し、シュローの関係者の一人であるアセビ、そしてカブルーとともに小部屋へ。
そこで今までの出来事を説明することになりました。
教えてはいけない部分をぼかし、レッドドラゴンを倒してファリンを蘇生させたが、狂乱の魔術師に襲われてはぐれた、救援を求めるために地上に戻ろうとしたが道に迷った。
そう説明し、ライオスはいきなりシュローに力を貸してくれと持ち掛けたのです。
……あまりにいろいろ聞きたいことやわからないことが多すぎて、シュローの頭は?でいっぱいに。
そこでカブルーが代わりとばかりにいろいろと質問しました。
狂乱の魔術師は今まで見たものがいないのに、なぜそれが狂乱の魔術師だとわかったのか?
どうやってその場をしのぐことができたのか……?
ライオスは何とかはぐらかそうとするものの、その下手な嘘はカブルーにあっさり見破られます。
と言ってもカブルーもすぐに底を追及はせず、心に留めておくだけにしておくようです。
そこまで来て、ようやく口を開いたシュロー。
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なぜレンガをかじっていたんだ?
……そんな質問でした。
シュローに会う直前に食べていた、ダンジョンクリーナーでできた石焼きあんかけのことでしょう。
ライオスはすぐ、レンガじゃなくてダンジョンクリーナーだよ、食料も金も何もかも深層に置いてきてしまったから、急いで潜るために魔物を食べながらここまで来たんだ、と弁明するのです。
……シュロー、ドン引きです。
カブルーも内心ものすごく引いていますが、そこは人心掌握にたけたカブルー、それ、めちゃくちゃ面白いですね、と理解あるふりをして、ライオスの心をつかんだのでした。

さらに話を続けているうちに、どうしてもいろいろ隠したままでは説明しづらい部分に入り込んでしまいます。
ファリンは狂乱の魔術師に連れ去られたのかもしれない、そうなるとここより深い層にいるだろう。
ライオスのその発言に、シュローはなぜ連れ去られたんだと食いついてきたのです。
それもそうでしょう、意味もなく狂乱の魔術師が冒険者を連れていくとは考えられませんし、そんな話を聞いたこともないのですから。
ライオスは悩んだあげく……カブルーとアセビに席を外してもらい、シュローにだけ全てを打ち明けることにしたのでした。

センシやマイヅルのほうは、とりあえず食事を作り終えていました。
カワハギのみりん干しに漬物、お味噌汁におにぎり。
本作では珍しいまっとうな食事を作り上げ、早速シュローの元に持っていくマイヅルなのですが……
そこにいたのは、
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ライオスにつかみかかり、そのあげく刀を首筋に突き付けるシュローのだったのです!!




というわけで、かつての仲間と再会し、とんでもないことになってしまう今巻。
黒魔術の使用は、使用どころかそれに少しでもかかわってしまえば重罪!
死ぬまで牢獄に幽閉されると言う恐ろしい罰が待っていると言います。
当然それはライオスやマルシルも知っているところでしょう。
ですがそれは、使ったことが知られれば、の話……!!
ライオスたちは覚悟の上での行動です。
が、真面目なシュローがそれをあっさりと受け入れることはなく……

そんなシュローとのトラブルと同時に、事態をさらに複雑なものにする来訪者が現れます。
その来訪者の登場により、物語はさらなる転機を迎えることに!!
ライオスたちの冒険は、ますます引き返すことのできない道行きになっていくのです!!
さらにライオスたちの元に、独自の目的を持つ人物も近づいて来て……!?
前巻からスタートしたファリンを取り戻すための新章は、さらなる新たな様相を呈し、ますます先の気になる展開へを迎えます!!

ちなみに今巻、いつものような小イベントが起きる一話完結型のお話が少なく、そのせいもあって肝心の「飯」のほうは控えめとなっております。
そちらが楽しみな方は少し残念かもしれませんが……それを補って余りある読み応えある一冊になっておりますのでご安心ください!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!