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今回紹介いたしますのはこちら。

「絢爛たるグランドセーヌ」第10巻 Cuvie先生 

秋田書店さんのチャンピオンREDコミックスより刊行です。


さて、フランスへの短期留学が決まった奏は、その準備や日々の練習、はじめて知った事実や様々な刺激にと、忙しい日々を送っていました。
バレエに関してはともかくとして、不安なのはフランス語でのコミュニケーション。
完全にその不安が払拭されないまま、着々とその時は近づいていくのです。



とうとうその日がやってきました。
結局長い長いフライトの間も一睡もできないまま、たどり着いたマルセイユ。
最初の不安であった、入国審査やスーツケースの引き取りは無事クリアし、あとはとりあえず迎えに来てくれているはずの緑のセーターの人を探すだけ。
ですが……見回しても、一向にそれらしき人がいないではありませんか!
どうしよう、到着時間を間違えているのか、トイレに行っているのか、出口が別にあったりするのか……もし、このままあえなかったら……
慌てふためき、想像が飛躍して顔から血の気を引かせてしまう奏。
そんな時、偶然何やら気になる人物を見つけました。
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テレビで流れているニュースの映像を見て、涙を流している少女を……
思わず足を止めてしまう奏。
ほどなくしてその少女は奏の存在に気が付き、そして……奏に、「カナデ?」と尋ねてくるではありませんか!
とりあえず奏はたどたどしい英語で返事するものの……なんだかどこかで子の少女に見覚えがあるような気がします。
すると彼女は涙をぬぐい、私はアンドレア・メンドーサ、初めまして、と握手を求めてきたのです。
そこで奏の記憶が一気に蘇ってきました!!
アンドレア・メンドーサ……去年のYAGPでディアナを踊っていた少女ではありませんか!!
何でこんなとこをにいるのか、あなたが私を迎えに来たのか?
いろいろと聞きたいものの、奏のたどたどしい英語は、ただでさえ英語が母国語ではないアンドレアにとっては理解しづらい様子。
なんとかかんとか話しているうちに、迎えに来たのはホストファミリーのロジェさんで、今はトイレに行っているということがわかりました。
ロジェさんの帰りを待っているうちに、アンドレアの視線は再びニュースのほうへと注がれています。
そこには、暴動か何かの様子を告げる映像が流れていました。
アンドレアは再び瞳に涙を浮かべ……私の国、とつぶやいたのです。

アンドレアもまたロジェの家でホームステイして、1年間の留学をしている最中なのだそうです。
奏は1週間という短期間ではあるものの、同部屋で暮らすことになりますし、せっかくですから仲良くなりたいところです。
ですがアンドレアはどことなくつんけんしていまして、今一つとりつく島のない感じ。
コミュニケーション能力に関してはすごいものがある奏ではありますが、なにせ言葉の壁がありまして、美味く打ち解けることもできません。
本当ならば、去年のYAGPの演技を見たとか、自分も今度NY本戦に出て同じディアナを踊るんだとか……なぜ先ほど泣いていたのかとか、いろいろと話をしたいのですが……
特に最後のはデリケートな問題かもしれませんし、奏の若干怪しい英語で上手く伝えられるか不安。
さしもの奏も質問を投げかけられず……部屋の中を沈黙が支配してしまいます。
気まずさばかりをひしひしと感じるなか、奏はそれでも学校のことや次のYAGPに出るのか、さくらのことを知っているかと様々なことを考えてしまい……
そんな奏を見て、アンドレアは……眠いの?と尋ねてきました。
フライトの間全く眠れませんでしたし、たしかに眠いのは間違いないでしょう。
多分ね、と答えますと……アンドレアはいきなり奏をベッドに押し倒し、毛布を覆いかぶせ……
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スリープ!とだけ告げてくるのでした!!

迫力に圧倒され、同時に頭が今一つ働かないのは寝ていないからかもしれない、と考えた奏、そのまま眠ることにしました。
……が、起きるとあたりは真っ暗。
アンドレアも隣のベッドで寝息を立てています。
トイレに行こうと静かに、ゆっくりと下に降りていきますと……ホストファミリーのご夫婦に見つかり、お腹がすいたのかと尋ねられてしまいました。
トイレは何て言えばいいのか、丁寧な言い方って何だっけな。
そんなことを考えているうちに……奏のお腹が鳴って返事をしてしまいました。
夜中の三時だと言うのに、嫌な顔一つせず暖かなスープをふるまってくれた奥さん。
奏はホストファミリーのやさしさやら、自分の至らなさやらかみ合わなさやらに、一人ため息をついてしまうのでした。

その後も奏はいろいろと壁にぶち当たっていきます。
アンドレアにいろいろ質問したくても、やはり言葉の壁は厚く、今一つコミュニケーションが取れません。
留学先の学校に向かう間も、たまたま同じ日本人留学生に会って、日本語で話せる喜びに浸ってちょっとその子と会話している間に
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アンドレアは一人先に学校に向かって行ってしまいますし……
予想以上に大きい言葉の壁、そして謎多きアンドレアとの関係。
果たして奏の留学はどうなってしまうのでしょうか!?



というわけで、フランス編が始まる今巻。
この短期留学は奏が大きく飛躍するきっかけになることは間違いないでしょうが、その前には今までなかった関門もそびえたっています。
その最大の難関が、言語の壁!
レッスンはもちろん現地語で行われますので、大まかなことはわかっても細かいニュアンスはどうしてもわからないもの。
そこが奏の障害にならなければいいのですが……

そしてもう一つの問題が、アンドレアの存在です。
今までどんな相手でもすぐに仲良くなってきた奏でですが、今回ばかりは言語の壁や彼女自身の問題もあって、すぐにと言うのは難しそう。
アンドレアの抱える問題とは何なのか?
彼女はこの留学先で何を得るのか?
そして奏は彼女と仲良くできるのか?
アンドレアのドラマも必見です!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!