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今回紹介いたしますのはこちら。

「かぐや様は告らせたい ~天才たちの恋愛頭脳戦~」第9巻 赤坂アカ先生 

集英社さんのヤングジャンプコミックスより刊行です。


さて、白銀とかぐやを中心に、生徒会メンバーのあれやこれやを面白おかしく、時にドラマチックに描いていく本作。
白銀とかぐやのもはや天才とは程遠いような気のするアレな恋愛風景とともに、生徒会各キャラの活躍も見逃せないものとなっています。
そんな本作、今巻ではある人物の過去の事件とその傷跡が描かれるようで……!?



いつも楽しそうにしている集団、応援団。
石上はそんないわゆる「リア充集団」である応援団を腹立たしく思っていたのですが……ある時、その考え方を変えてみることにしました。
何の行動も起こさないまま呪詛を重ねるのではなく、自分から動いてみよう。
応援団に入れば、自分もリア充の仲間入りができるかもしれない!
そんな決意とともに、石上は体育祭の応援団に立候補するのです。

……正直言って、応援団に入ればリア充になれる、というの完全に勘違いでした。
応援団だからリア充なのではなく、リア充だから応援団に入る。
そんなよく考えればわかりそうなことを想い知らされ、石上はその決断を後悔するのです。
が、そこはさすがのリア充、応援団を仕切るリーダー格の上級生たちのおかげで石上もしっかり応援団の一員として活動を続けることができました。
なんだかんだと今までの体育祭の中で一番楽しい体育祭になり、応援団に入ってよかったと思えた石上。
なのですが、彼にはどうしてもついて回ってきてしまうある過去があったのです。
それは石上が、学校の、とりわけ女子たちのほとんど体活のごとく嫌われてしまっている理由となっている過去。
その過去が、突然石上の前にたたきつけられるのです。
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楽しそうにやってるんだ、石上くん。
そう声をかけてきた少女……大友京子。
彼女こそが、石上が消し去りたいと願い、そして決して消し去ることはできないとわかっている、過去の象徴なのです……

目の前にやって来た絶望。
それを目の当たりにし、硬直してしまった石上ですが、そこに応援団の仲間たちがやってきました。
応援団はネタで男女の服装を好感した状態で体育祭に参加しています。
石上もそんな恰好で体育祭に参加していたわけですが、スカート姿だと言うことを忘れた団長がへまをして足首を挫く怪我をしてしまったのです。
残る競技は、部活対抗リレー。
応援団はそのトリを務める立場でして、団長も当然そこに出る予定でした。
ですがこれでは参加不可能。
そこで体が空いている石上に白羽の矢が立ったというわけです。
聞いたぞ、中等部の話。
団長からそう言われ、びくりとおびえる石上。
ですがその後に続く言葉は、石上の予想していたものではなく、ぶじゃ一番足が速かったらしいはないか、と石上を見込むような言葉だったのです。
応援団のみんなは、石上のことを何とも思っていないのは確かです。
が、リレーのアンカーとして競技場に立つと、聞こえてくるのは生徒会の面々を含む仲間たちの応援の言葉よりも大きな、大多数の学生たちの石上バッシングです。
そうだった、僕が余計なことをするたびいつも失敗をしてきた。
石上の目線は、自然と……大友京子に注がれるのです。

中等部の時の事。
その時からクラスで孤立気味の石上でしたが、そんな彼にも分け隔てなく、にこやかに声をかけてくれたのが郷子でした。
別に石上はそれだけで彼女に惹かれてしまうほど安い男ではなく、「良い人なんだろうな」と言う感想を抱くぐらいでした。
ですが、やはりなんだかんだいっても孤立している自分に話しかけてくれる、というだけでうれしくなってしまうもの。
いつもにこやかに笑っている京子をみて、いつまでもその笑顔を曇らせないでほしい、などと考えるのでした。

そんなある日、京子に彼氏ができました。
決して石上が忘れることのない、その彼氏の名前は、荻野コウ。
コウは全国常連演劇部の部長。
いつも人々の中心にいる、人気者です。
そんな石上が憎々しく思う人物で、さらに最も嫌う対象であるカップル。
本当ならばものすごい勢いで呪う石上なのですが、今回ばかりは二人の幸せを願うのでした。
ですがそんなある日、石上はとんでもないものを目撃してしまいます。
いつものように人目につかない場所で一人ゲームにいそしんでいたところ……同じく人目のつかない場所を探していたコウが、すぐ近くで女と電話を始めたのです。
わかってるって、部屋取っといたから、大丈夫だって。
……どう考えても、京子ではない女との、逢引きの約束です。
思わず石上は姿を現し、彼女か、とあえて尋ねました。
するとコウは、白々しく、聞かれてた、恥ずかしいな、そう、彼女とね、と答えたのです。
それは、嘘をつきなれているヤツの、嘘。
「良い人」が傷つくのが許せなかった石上は……本気を出しました。
コウの嘘を暴くため、様々な証拠を集め……そして、京子から、あるいは浮気から手を引くよう、コウに詰め寄ったのです!
ですが……コウは予想以上にクズでした。
付き合いもあるし、そうもいかない。
もっといい和解案があるんだけど、どう?
お前京子のこと好きなんだろ?
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そう言って……石上に、京子を差し出そうとしたのです!!!
目の当たりにした、はじめての、はっきりとわかる「悪人」。
気が付けば石上は、コウを思い切り殴りつけていました!!
すぐにその騒ぎは聞きつけられ、京子を含めた大勢の人物が、石上が功を殴りつけているシーンを目撃します。
その状態になると、コウは逆にこんなことを囁くのです。
ここで手を引くなら、京子には何もしないでやる。
お前がなんか漏らせば、京子はかわいそうなことになる。
……こいつは何を言っているんだ?
石上の中には、そんな感情が渦巻いていたことでしょう。
思わずかっとなり、ふざけるな、お前は金輪際大友に近づけさせねえからな!と胸倉をつかみ上げながら叫ぶ石上!!
するとコウは、こんなことを言い始めたのです。
君がやってることはストーカーだよ、君が郷子を好きなのはよくわかった、けどいくら殴られても僕は彼女と別れたりしない!
暴力じゃ愛は勝ち取れないんだ、石上くん!!
……そう、これが残酷な現実です。
真実はどうであろうとも、ほとんどの人間は、細かい事情がわからない状態では「自分が好きな人」の方の言葉を信じてしまうもの。
……一気に石上は、
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京子に付きまとうストーカーで、その彼氏に逆恨みで殴り掛かったと言う立場に祭り上げられてしまったのです!!
石上が何を言っても、誰も彼の言葉を信じてはくれません。
生徒たちも、教師たちも、助けられようとしていたはずの京子も、そして……両親すらも。
……こうして、石上は……学校に行くことができなくなってしまうのです……



というわけで、まさかの(?)石上主役となった体育祭編を完全収録した今巻。
石上はなぜ過去引きこもっていたのか?
そしてなぜそんな人物が生徒会に引きたてられたのか?
今まで明かされてこなかった謎が明らかになり、石上はよき友人たちに支えられながらその先に待っていた今に立ち向かうのです!!
楽しく感じられていた体育祭にやって来た、逃れられない過去、そして現在。
そんな起伏あるドラマの末に待っているクライマックス……!
登場人物紹介にもございますが、まさしく石上「裏主人公」!
基本的にはくだらない日常のドタバタを面白おかしく描くさまを楽しむ本作ですが、こう言ったしっかりしたお話をたまにねじ込んでくるから侮れません……!!!
今回のお話も、感動必至のクライマックスからフィナーレの流れ、必見としかいいようがありませんよ!!

今巻は基本的にそんな体育祭編がメインとなっていますが、その前後や合間に通常運転のお話も用意されておりますのでご安心を。
前巻で起きたあんなこと以来、ちょっとぎくしゃくしてしまっているかぐやと白銀の間に起きたひとイベントや、珍しく白銀の妹である圭が主役となるお話、白銀のお父さんが望まぬ(?)大活躍をするお話などなど、見どころ目白押し!
多分好評な千花が白銀の致命的にアレなものを四苦八苦してまともにしようとする指導シリーズもございます!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!