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今回紹介いたしますのはこちら。

「ピーチ・ミルク・クラウン」第1巻 手原和憲先生 

小学館さんのビッグコミックスより刊行です。


手原先生は08年に小学館さんの漫画賞で入選を果たし、09年にその入選作「ミル」を下敷きとして連載をスタートさせた漫画家さんです。
「ミル」、そしてその次に連載をした「夕空のクライフイズム」と、ジャンルの違う作品で評価を獲得されています。

そんな手原先生の最新作となる本作は、「クライフイズム」に続く高校生の部活動が舞台となる作品です。
ですが今回のメインはその部の活動だけではなく、主人公たちの恋模様が最大の軸となっているようで……?



うちのクラスに今日転校生が来るらしい、新しい出会いにときめきたい。
そんなことを友人と話しながら、与一は今日も陸上部の朝練に精を出しておりました。
この陸上部、かつては強豪で立派な練習場が作られるほどの厚遇を受けていたのですが、名監督の引退をきっかけに衰退。
今や部の存続すらも危うい状況に陥ってしまっていました。
与一は部活動に対してはくそが付くほどまじめな性格をしているようで、そんな状況でもなお部長としてインターハイの出場を目指し、部員に発破をかけながら練習に打ち込むのです。
そんな真面目ぶりをからかわれたりもしながらメニューをこなしておりましたが、間もなく片づけをしなければならない時間になってしまいました。
じゃあ今日はここで切り上げて、噂の転校性を見に行こうぜと友人たちは言うのですが、与一はこの5分、10分が差を生むんだと主張。
一人練習場に残って練習を続けるのでした。

結果として、練習しすぎて与一は朝礼に遅刻してしまいます。
これもいつも通りのことで、与一は怒られるのも嫌だけど、とぼやきながら教室に向かうのですが……教室の前に誰かが立っています。
噂の転校生でしょうか……?
その転校生らしき少女、びっくりするほどの美少女でした!!
クールそうな印象を受ける彼女にはじめてお目にかかる姿が遅刻しているこの姿。
冷たいまなざしで見られたらへこむぞ、と思いながら、そっと後ろのドアから入ろうとするのですが……突然その美少女が話しかけてきました。
遅刻?と。
思わぬ言葉に、しどろもどろになりながら答える与一。
あ、そう、俺陸上部で、練習やり過ぎて、いつものことなんだ、ハハハ……
自分のことながらな魚椅子がただ、最悪の印象を与えたな、と内心失敗を食いまくる与一ですが……
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その時、彼女はかすかに笑ったように見えて……?

転校生の彼女の名は、丹下桃。
ときめく展開を期待したいところですが、与一は彼女の全身から立ち上る高嶺の花オーラを勝手に感じ取り、自分とは縁のない存在だとすでに諦めモードです。
放課後にはそんなことも気にしないとばかりに、部室で部活前の腹ごしらえをしていたのですが……何と言うことでしょう、そこに桃が顔を出し、マネージャーをやりたいんだけど、と言いだしたではありませんか!!
驚くばかりのこの展開ですが、その時与一の友人の一人はさらに驚いたようで、大きな声を上げてしまうのです。
なんと彼女……走り高跳びの中学チャンピオンだと言うのです!!
噂では陸上の名門高校に入ったと言われていたのですが……なぜこの弱小陸上部しかない、古豪と言うのもおこがましい普通の高校に……?
詳しい事情を聞きたいものの、込み入った話をいきなり聞けるほどコミュ力のある与一ではなく。
とりあえず桃はマネージャーとして陸上部に入ることになったのでした。

与一は部長として、桃に部のことを教えます。
バランス感覚に優れる沼、やる気があるのかないのか分からないもののやる時はやるエースの安田、そして女子走り幅跳びの照子。
そんな中で、真面目さを買われて部長となった与一ですが……彼は自他ともに認める不器用な男です。
ですがその持ち前の真面目さで、不器用ながらも少しでも記録を伸ばそうと、誰よりも早くから、誰よりも遅くまで練習を積んでいるのです。
マジメをこじらせていると安田達からは揶揄されていますが……
そんな与一は苦手とするコーナーの練習中、考え事をしていて転倒してしまいます。
すると途端に桃は飛んできて、大丈夫か、いつもと違う感覚はないか、最初はわからなくてもずつは大きなけがと言うこともある、とものすごく心配して声をかけてくるのです!
あまりの気の使われぶりに気恥しくなってしまった与一は、思わずもういいから、と腿を突っぱねるようなことを行ってしまいました。
……ですが桃が立ち去った後、気が付くのです。
今までさんざんかっこ悪い姿を見せてきても、自分が決めてやったことの結果だからと割り切っていたはず。
だと言うのに、かっこ悪い姿を見せて恥ずかしいと思う、なんて。
……与一の中に、何かの変化が現れているようです……

翌朝。
なんと5時前に家を出て、早朝練習をしようと意気込む与一。
ですが思わぬ通り雨に出くわし、近くのお寺で雨宿りすることにしました。
そこでなんと桃に遭遇。
傘持ってないの?入っていく?
そう尋ねてくる桃ですが、つい傘から手を離してしまい、強風でかさがもっていかれてしまいました。
慌てて傘を追いかける桃でしたが、結局傘はそのまま失踪。
桃は与一以上にびしょぬれになってしまうのです。
なんだかクールな印象とはかけ離れた姿を見せる桃ですが、どうやら自分がちょっとズレているのを自覚しており、そんな姿を見せたら惹かれてしまうんじゃないか、と猫をかぶっていたんだそうです。
クールキャラも疲れてたから、残念な子だけどよろしくね、桃ちゃんって呼んで、とにこやかに語りかけてくる桃。
改めて打ち解けたところで……雨宿りの間にすることと言えば、やはり陸上の話題でしょう。
桃は何でも怪我をして陸上をやめたとのことですが、今は怪我も完治しても何でもできる、とのこと。
ではなぜ陸上に復帰しないのでしょうか……?
さすがにそこまでは聞けない与一ですが、桃はそんな与一に毎日こんな時間から練習してるなんてすごいね、と感嘆するのです。
与一はと言いますと……すごくなんてない、こつこつ頑張っても結果にはつながってないし、それどころか遅刻したり転んだりする、かっこ悪いったらないよ。
そううつむき加減でつぶやく与一……
菜乃ですが、その時、桃は声を張り上げたのです。
そんなこと言わないで!!と……

その日はそのまま走り去ってしまった桃。
しばらく二人の間には言葉も満足にかわさない気まずい空気が漂っていたのですが、翌朝、またあの寺の前に桃が立っていました。
そして彼女は、昨日はごめんなさいと謝った上で言うのです。
毎朝頑張っている与一くんは、自分が想像するよりずっとすごいって伝えたかった。
中学の頃は練習をやればやるほど記録が伸びてとにかく楽しかったの。
でも、怪我した後は一度もそう思えなかった。
もう、どうしても昔のように跳べなかったから。
……私はあきらめた。
だから与一くんは偉いよ。
私には、できなかったことをやってる人……
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「あきらめない人」が一番かっこいいの。
少しの沈黙の後、ありがとう、と答えることしかできない与一。
桃は、これからも朝練付き合うよ、マネージャーだもん、明日もここで待ってていい?そう、与一に微笑みかけてきます。
そんな彼女の顔を見て、与一は思うのです。
真面目をこじらせるのも悪くないのかもしれない。
遅刻して、会うことができたから……
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君に今、恋している。



というわけで、幕を開ける与一と桃の物語。
そしてこの後、与一と桃だけでなく、照子や安田、沼、そしてもう一人の人物を交えてストーリーが始まるのです。
懸命に陸上に打ち込む与一と、そんな与一をからかいながらもついていく部員たち。
そこに現れた、中学生チャンピオンだった桃。
この桃の存在が、部の雰囲気を大きく変えていくことになるのです。
インターハイを目指すと言う部自体の目的も、そしてそれぞれの人間関係も……!!

いわゆる天然でかわいらしい桃や、真面目に部活に打ち込む姿に好感が持てる与一をはじめとして、キャラクターも魅力的な人物ぞろい!
物語は6人のキャラクターを中心に動いていくようですが、その誰もが魅力的であるがゆえに、この後の展開がどうなるのか、いやどうなって欲しいのかがどうしても考えてしまうところ!
桃の怪我やその後、与一のこれから、他のメンバーのことも含めて、今後の展開が気になってしまうこと請け合いですよ!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!