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今回紹介いたしますのはこちら。

「刃牙道」第22巻 板垣恵介先生 

秋田書店さんの少年チャンピオン・コミックスより刊行です。


さて、とうとうバキと武蔵の最終決戦が幕を開けた本作。
武蔵をこの世から葬り去ると豪語するバキですが、やはり武蔵も並の相手ではありません。
剣を持っていない状態でも、武蔵とバキの戦いは拮抗していて……!?



バキは思いもよらない行動に出ました。
なんと、あの宮本武蔵に刀を一本渡したのです!
それがどういうことなのか、わからないバキではないはず。
武蔵にとってもこの行動は理解ができないようで、バキに何の真似だと尋ねてくるのです。
対するバキはと言いますと……右手には抜身の刀を携え、左手は刀を持っているかのようにして……宮本武蔵のあの立ち姿を模したかのようにして立っています。
そして、バキ自身もこう言ってのけるではないですか。
アンタの真似だ、と!!

ここに来て武蔵の真似をするというバキ。
真似てどうする、と尋ねる武蔵に、バキは……武蔵の領域だから、ととんでもないことを言いだしました。
既にバキは、剣を持っていない武蔵にあの「見えない斬撃」で幾度も斬られています。
だと言うのに……そのままバキは、あまりにも強気な発言を続けました。
本身も抜かぬまま屠っちゃ気の毒すぎる、と。
屠る……有り体に言えば、殺す。
思わず息を飲む観客たちですが、武蔵はとんとんと自らの額を指で叩きながら、こっちのほうは確かか、誰が誰をだ?と問いかけくるのです。
勿論バキは、ここで武蔵とおさらばするつもりで来た、と答えるわけですが、武蔵はにやりと笑ってそれを否定します。
それは叶うが、残るのはボンじゃない。
残ってこの国を斬り登る。
斬って斬って斬り登り、頂上からこの国を見下ろす。
そう、天上を指さすのです!
バキは口にこそ出しませんが、武蔵のその言葉が嘘であると確信しています。
既にこの日本は、斬って登れるところではなくなっている。
その事に、武蔵自身もとっくに気付いているはずだ。
武蔵は、現代に居ちゃダメだ。
そう言ってバキは……あの武蔵のような、人差し指だけで握るような持ち方で刀を持ち直します。
そして、大きく振りかぶったかと思うと……
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至近距離だと言うのに、全力で武蔵にその刀を投げつけたのです!!
常人ならば成すすべなくその刀をくらってしまうところでしょう。
ですが相手は宮本武蔵。
武蔵は一瞬もひるむことなく、当たり前のように右手でその刀をつかみ取ったのです!!
刃の部分を握っているにもかかわらず、血の一滴も滴っていないことからも、武蔵の凄まじい握力が図れるというものですが……
バキはその時すでに、全力で武蔵に向けて駆けだしていました。
武蔵さん、信じていたよ、あんたならきっと止める!
結果……
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両手ともふさがってくれる!!
すでに渡されていた刀を左手に持ち、投げられた刀を右手で取った武蔵。
そう、この瞬間は、精神的にも肉体的にも武蔵は無防備!!
バキは見事に武蔵の顔面に蹴りを叩き込んだのでした!!

武蔵の意識は完全に飛んでしまい、大の字に倒れます。
五体の身でぶつかり合う現代の格闘は、武蔵の時代の斬り合いとは違い、直接命の取り合いとなることはない。
その勝負の「厳しさ」においては、比べるべくもなく武蔵の時代のほうが勝っているでしょう。
ですが現代格闘のほうが劣っているかと言えばそうではありません。
打撃技における10秒間のノックアウト、関節技によるタップアウト、チョークによるパスアウト……どれもが、勝利者はそのまま命を奪うことだってできる、生殺与奪を握った状態になっているのです。
命のやり取りではない、が……何なら殺せる。
バキはその事実を証明するかのように、武蔵の刀を、武蔵の胸に……つきたてたのです!!
チクっと、ほんの少しだけ。
その痛みで意識を取り戻し、飛び起きる武蔵。
そして、そんな武蔵に向けてバキは言うのです。
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武蔵さん、終わりにしましょう。
……バキと武蔵、その戦いはとうとう最終局面へと突入します。
既に一度勝利を手にしたともいえるバキが、わざわざ武蔵を一度起こして宣言する決着の時。
それは……!!



というわけで、刃牙道完結となる今巻。
無頼そのものである武蔵は、このシリーズで様々な格闘家たちと戦い、その力を示してきました。
烈海王を殺め、花山を瀕死の状態にまで追い詰め、かと思えばなめてかかったところはあるとはいえ本部に敗北を喫する。
強いことは間違いないものの、もろさも併せ持つ武蔵。
それはすべて彼の生き方ゆえのアンバランスさで、まさしく武蔵なればこそと言えるでしょう。
そんな武蔵を、完全に葬ると言ってのけるバキですが、果たしてもろさのある武蔵ながら、自身の命がかかった戦いにおいてはおそらく最大の力を発揮するはず。
まっとうに屠ろうとしてもそうはいかない。
そこでバキが導き出した決着法は……それはもうとんでもないものです!!
事実上紹介した一撃で勝敗はついていたという考え方はできるものの、この武蔵戦の決着は正直言わせていただきまして「え?」となること必至!!
予想を覆して読者をビビらせてくれることは間違いないのですが……なんていいますか、文句を言うカタをいても仕方ない決着ともいわざるを得ません……!!
どちらにしても度肝を抜かれることだけは間違いないその結末、板垣先生でなければ描けない、描かない結末です。
その結末を見るだけでも一見の価値はある……のかもしれませんよ!!!

今巻で刃牙道が完結したからと言って、バキシリーズ完結と言うわけではございません。
今巻のラスト3話、シメで次なるシリーズを示唆するお話が展開します!
その次のシリーズは、どうやら日本最古の公式試合の勝者となる、あの伝説上の人物とゆかりのある相手のようで……!?
その相手の得意とする競技は、純粋な格闘技としてはあまり強い印象がないかもしれませんが、なにせその最古の公式試合での決まり手は「踏み殺し」ですから……
現代のその競技のイメージでとらえていると痛い目を見るかもしれません!!
とりあえず今は、新シリーズに期待したいところです!!!
……個人的にはそのメインになりそうな相手がかませになって、もっとすごいのが出てくる、という展開だけは勘弁してほしいところですが……!!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!