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今回紹介いたしますのはこちら。

「あげくの果てのカノン」第5巻 米代恭先生 

小学館さんのビッグコミックスより刊行です。



さて、初穂のとった行動をきっかけとして、かのんにもとんでもないことが起きてしまった前巻。
そんな中でかのんは境と思わぬ場所で再開するのですが、その時の境はすでに「変わってしまった」あと。
思わずそんな境に思いのたけをぶつけてしまったかのんは、境に冷たくあしらわれ……簡単に言えば、振られてしまったのでした。



巨大ゼリーがその動きをピタリと止め、平和が戻ったかに見えた永田町。
その中で、境はある真実に到達しようとしていました。
ゼリーとは何なのか、自分の所属しているSLCの目的は何なのか。
そして、自分達の本当の役割は……?
その真相を探るため、境は一人巨大ゼリーの元へと走っていきます。
ところがその道中、まさかの人物と鉢合わせしてしまいました。
……それは……初穂です。
全く予想できない出会いに思わず顔を見合わせてしまう二人。
その出会いを引き金としたわけではないでしょう。
でしょう、が……その瞬間だったのです。
気ままでピクリとも動かなかった巨大ゼリーが
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大爆発したのは!!
爆発したゼリーは、黒い塵のようなものをまき散らします。
それを見て初穂は……こう言いました。
永田町は消滅する、と。
何を言っているのか理解全く理解できない境。
自分と一緒に暮らしていたときとはがらりと印象の変わった初穂の姿に関しても様々な疑問が湧いて出てくるのですが、初穂は構わず説明をつづめるのです。
これからゼリー暴発の第二波が来る。
SLCは世界にゼリーの独自開発を謳ってきた、人体改造、不死、あらゆる可能性を模索し、議論を重ねながら。
けどね、そのうち研究の歯止めが効かなくなってきて、ゼリーを持て余し始めたの。
だから私たちはまとめて葬り去られる。
もう見放されてるのよ、ずっと……間違い続けてきたから。

爆発の直後、かのんは近くの地下シェルターに逃げ込んでいました。
そこでヒロと会うことができ、とりあえず両親が健在であることを確認。
安堵……する間もなく、シェルターの中の巨大モニターが臨時ニュースを伝え始めました。
永田町旧国会を震源地に震度5を観測、巨大ゼリーは黒い塵状のものを噴出しています。
近隣の住民は直ちに地下に避難してください。

不安なニュースが報道される中、境と初穂は巨大ゼリーの元へと急いでいました。
初穂によれば今までもゼリーの暴発は予見されていまして、定期的な周期の心臓破壊でバランスを保っていたんだそうです。
が、初穂の起こした問題によってその心臓破壊の周期が守られなくなり、とうとう暴発してしまったということのよう。
上層部はこの暴発で、いよいよこの街ごと廃棄することを決めてしまったということでしょう。
初穂はこうなることがわかっていたはず。
ではなぜ、あんな事件を起こしたのでしょうか。
境が彼女を問い詰めますと……
初穂は、こう叫んだのです。

あなたがいない世界なんて無くなればいいと思ったのよ!と……
バカだな、と思わずつぶやく境。
初穂はバカとは何だ、元はと言えば自分が悪いのに、何しょうがない奴だナみたいな雰囲気出してんのよ、とぷりぷりと怒り始めます。
ごめんごめんと謝る間に何とかその怒りは収まりまして、境は改めて今どうすればいいのかと初穂に質問。
初穂が何の手もなくここに飛び込んでくる人間ではない、ということが境にはよくわかっているのです。
初穂が言うには、あと23分、この塵を吐き出し終えるまでの間にゼリーの心臓をすべて壊すしかない、とのこと。
これで本当に止まるかはわかりませんが、これ以外に打てる手はないようです。
境は初穂にガスマスクを装備させ、自分が肺をやられる前に片づけてくる、と言い残し……その心臓への道へ向かうのです。
行って来る。
……そう言って、境はいつも初穂を待たせ続けてきました。
帰ってこなかったくせに。
そう呟いて、初穂は……!!

一方、シェルターでうずくまっていたかのんの方はと言いますと。
映し出されていた臨時ニュースに映し出された、思いもよらないものに驚愕していました。
それは、二人並んで巨大ゼリーの元へと向かっている境と初穂!!
ニュースでは音声まで流れていまして、二人の会話まで聞こえてきます。
道筋を指示する初穂、それを時に無視して戦いを続ける境。
しかりつける初穂ですが、境は言うのです。
そっちが正しいってわかってても、できないんだよ!!
……それは、この戦いのことなのか、それとも自分の今までの生き方についての言葉だったのでしょうか。
初穂が私はあなたの役に立ちたくて、と漏らしますと、境も初穂を大切にしたかった、と答えます。
だったら、不倫しないでよ!!
そう叫ぶ初穂の言葉はもっともです。
戦いを続けながら、ごめんと謝る境に、口でだけ謝るなと更に怒る初穂……
戦いとともに、痴話げんかは続きます。
私じゃダメだった?
あの子が好みだった?
あの子の方が優しかった?
私は、あなたに見合ってなかった?
そんな初穂の問いかけに、すべて否定で答える境。
違う。
そうじゃない。
そんなことない。
そんなわけない!
本当に好きだった、変わりたくなかった。
約束、守れなくてごめん……!
そんな二人の姿を見ていたかのんの心の中に沸き上がる感情。
それは……
健やかなるときも、病める時も、支え合い、理解して、尊重し合い、愛し合おうとした。
この人たちは美しい……
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私にはできなかった。
相手を信じることも、人の気持ちを想像することも、ルールを守る事すら。
私は、あなた達が羨ましい。
……気が付けば、かのんは大きな声を上げていました。
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せんぱぁーい!がんばってぇー!!
何よりも愛していた人と、何よりも邪魔であったはずの人がともにいる姿に心を動かされたかのん。
その心のうちはどんなものなのでしょう。
そし手届くはずのない応援の声は、境の戦い所入りに導くのでしょうか。
モニター越しで行われる戦いは、どんな決着を迎えるのでしょう……!!


というわけで、完結となる本作。
かのんと境の禁じられた恋は、本当の夫婦の美しさを見せつけられることで決着を見た、と言っていいようです。
ですが、ここで完全に割り切れる様ならかのんの恋心はここまでこじれてはいなかったでしょう。
この後、本作はそのフィナーレに向けてゆっくりと、そして怒涛の勢いで進んでいきます。
戦いの後、SLCはどうなったのか。
初穂はどうしたのか。
かのんへの叶わぬ思いを抱き続けていたヒロは。
そして、恋破れたかのんは……?
恋は終わりを迎え、また新たな物語が始まる。
本作ならではと言ってもいいその結末はまさに必見です!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!