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今回紹介いたしますのはこちら。

「阿修羅ちゃんと修羅場った」第2巻 秀河憲伸先生 

講談社さんのマガジンエッジコミックスより刊行です。


さて、卓上神様の阿修羅ちゃんと一緒に生活することになったジロー。
修羅場を解決することが役目だと言う彼女ですが、実際のところ世間知らずなところはあるものの、素直でカワイイ普通の(阿修羅らしく腕は多いですが!)女の子。
ジローの姉も交え、その日常はホンワカのんびりしたものなのでした。



阿修羅ちゃん、そろそろ行くよ、と声をかけるジロー。
すると、元気良い返事とともに、二階からトタトタと降りてくる阿修羅ちゃん。
そんな阿修羅ちゃんですが、今日はちょっぴり装いが違います。
どーお?似合う?
そう言って現れた阿修羅ちゃんは、いつものチャイナ服とはがらりと印象の違う、普通の服装をしていました。

どうやら二人はこのままお出かけする様子。
電車に乗って向かう先は、ホームセンターです。
阿修羅ちゃんが生身で一緒に暮らすようになってそこそこの時間が経ちましたが、今まで阿修羅ちゃんのための生活用品の購入はしていなかったのです。
ちょっと遅くなったけどいろいろ買おうと思って、と携帯電話にピックアップしたものなどを見せますと、阿修羅ちゃんはそっかー、とそれをのぞき込んでくるのですが……
すぐにその視線は、ジローの顔の方に移っていきます。
にこにこしながら自分の顔を謎着込んでくる阿修羅ちゃん。
なんでも、よく考えたら二人きりでお出かけをするのが初めてだ、とのこと。
今日はジローを一人占めできるから嬉しい!とにっこり笑う阿修羅ちゃんを見て、ジローは思わず赤面し、そっけない態度をとってしまいました。
いつもは世間知らずなせいもあって幼く見えてしまうこともある阿修羅ちゃんですが、こうして改めて見てみると……やはり普通の女の子。
そんな普通の、いや、可愛らしい女の子と二人きりだと意識してしまうと、ジローは俄然緊張し始めてしまうのです。
何を話せばいいのかなどと思い悩んでいたジローですが、途中の駅に到着した時、思いもよらない人物と出くわします。
クラスメイトの浅田君と角田さんです。
二人はジローたちを見るなり、なんだよふたりでデートか、などとさっそくからかってくるふたりなのですが、内心ジローは安心していたりします。
気まずい、と感じていたこの場にやって来て呉れた共通の知り合い……これで気が楽になる、と考えたわけです。
阿修羅ちゃんはそんなジローの袖を引っ張り、見て、いい景色だな、とどうでもいい話題を振ります。
ジローはその言葉の意図するところがわからず、うんと頷き、浅田君と他愛のない会話を始めてしまいまして……
せっかくジローを一人占めできると思ったのに、ジローはあまりかまってくれない。
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そんな残念さがありありとにじみ出る表情を浮かべ、阿修羅ちゃんはしゅんとなってしまいました。
阿修羅ちゃんの乙女心の機微をすかさず察知した角田さん、二人がこれからホームセンターに行くと聞くと、まだ話したそうな浅田君を押しのけ、邪魔して悪かったわね、私らは気にせずふたりで楽しんできなよ、とその場から立ち去ろとするのですが……
まったく空気の読めていないジローは邪魔なんかじゃないよと言いだしますし、浅田君も自分と二人きりのほうがいいのか、と余計なことを言いだしやがります。
阿修羅ちゃんもみんな一緒のほうが良いよね、とジローが阿修羅ちゃんを振り向きますと、阿修羅ちゃんは
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わかりやすくむくれながら、目線も合わせず黙ったままで……
そこまで来ても阿修羅ちゃんのその顔の意味がわからないジロー……
そこで、電車は二人の目的地であるホームセンターの最寄り駅に到着。
慌てて阿修羅ちゃんの手を引き、二人にまた学校でと簡単な挨拶をして電車を飛び降ります。
浅田君と角田さんの乗った電車を見送った後、ジローは阿修羅ちゃんを振り向いて二人を誘いそびれちゃった、残念だったね、と声をかけるのですが……
なんと阿修羅ちゃん、ジローのバカ、と大泣きするではありませんか!
今日はアタシとお買い物する日なのに、アタシとしか会話しちゃダメ!
そんなことを言いながら、六本の腕でジローをぽかぽかと殴る阿修羅ちゃん。
二人の様子を見て、通りすがりのおばあちゃんは修羅場だと評するのですが……修羅場を解決するためにやって来たはずの阿修羅ちゃんが自ら修羅場を作っているとは、何たることでございましょうか。
そんな現状に気が付かないジロー、阿修羅ちゃんに問いかけました。
みんな一緒の方が楽しいじゃないか、なんで怒るの?と。
……それを聞いた阿修羅ちゃん、ピタリと止まってしまいました。
ジローの言うことは完全にその通り、否定することなんてできないのですから。
ぽかぽかも止まったことですし、とりあえず行こうか、と歩きだすジロー。
そんなジローの後を追いながら、阿修羅ちゃんは考えるのです。
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確かにみんな一緒の方が楽しい。
なのになんで嫌なんだろう。変なの。
……阿修羅ちゃんの胸には、今まで感じたことのない感情が渦巻いていて……?



というわけで、阿修羅ちゃんと修羅場になった今巻。
この阿修羅ちゃんの中に現れ始めた感情をきっかけとして、物語はゆっくりとクライマックスへと向かっていきます。
最初は自覚すらしていなかったほどほのかだったその想いは、だんだんお話が続くにつれて大きくなっていきまして。
今までは阿修羅ちゃんを中心にした本沸かした日常だった本作に、いきなり甘酸っぱい感じの味付けが施されていくわけです!!
そんなジローと阿修羅ちゃん、もう二人は言うまでもなくお互いを想いあっているような気もしますが、やはりこのままなあなあというわけにもいかないでしょう!!
二人の感情に一つの決着をつける時が、本作の決着となる……はずだったのですが……
最後の最後でまさかの急展開に!!
阿修羅ちゃんといつもでも一緒に暮らしていけると思っていたジロー達ですが、思いもよらない展開となってしまうのです!!
阿修羅ちゃんの身に起こるとんでもない出来事から怒涛位の勢いで物語はフィナーレへ……
感動必至のラストは必見ですよ1!

そんな本作、今巻で残念ながら完結となります。
最後の最後まで、とってもいい子な阿修羅ちゃんは読者の心をほんわかさせてくれること間違いなし。
ちょっぴり世間知らずですが、可愛くて優しい阿修羅ちゃんのそのご尊顔を皆様の目に是非とも焼き付けていただきたいものです……!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!