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今回紹介いたしますのはこちら。
「THE超人様」第1巻 石原まこちん先生 

集英社さんのジャンプコミックスより刊行です。


石原先生は95年にヤングマガジンの新人賞の佳作を受賞し、デビューした漫画家さんです。
その後紆余曲折あって00年、石原先生の代表作となる「THE3名様」を連載開始。
実写化などもされるヒット作となりました。
先生の詳しい来歴は、本作に向けての情熱とともに本作の巻頭に掲載されている第0話に先生ご自身の筆で描いておられますので、そちらもご参照くださいませ!!

そんな石原先生の最新作となる本作は、そのタイトル通り、キン肉マンの超人を主人公にして、「THE3名様」をやる、というコンセプトの作品です。
となるとその超人のチョイスが気になるところですが……?


深夜のファミレスで、3人の超人がだらだらしていました。
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カナディアンマン。
スペシャルマン。
そして……プリプリマン。
三人は特に何をするでもなく、ドリンクバーのジュースをすすってみたり、ティーパックを茶ぷちゃぷと弄ってみたり、ただ時間を潰しているようです。
とその時、カナディアンマンがおもむろに声を上げました。
しかしヒデーもんだよな、俺が昔ロビンマスクと戦ったって話、バイト先の若けー奴らに話しても信じねーのよ。
世代的にボコられてるイメージしかねーみてーで。
……確かに正直言って、カナディアンマンはビッグボンバーズでのあの有様や、これから先の話ではありますが2世のタッグ編でのあれを見ては読者の皆さんもあまりいい印象を抱けはしないでしょう……
ですが、第20回超人オリンピックで、ロビンマスクと(それなりの)激戦を繰り広げたのもまた事実。
は超人が当たり前のように巨大化できた時代とはいえ、巨大化してスタジアムを丸ごと持ち上げたり、ロビンマスクを締めあげたりと、見せ場もあったわけです。
と言っても攻勢に出たのは一瞬で、あっさりそのあとはロビンマスクの強さを見せつけるための咬ませ犬状態になったわけですが……
なんだか気まずい空気になったテーブルですが、そこに一人の救世主が現れました。
……店員さんです。
店員さんは、カナディアンマンが注文したホットケーキを持って来てくれたのです。
シロップとともにホットケーキを提供し、去って行こうとする店員さん。
そんな店員さんを呼び止め、カナディアンマンはこんなことを尋ねるのです。
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このメイプルシロップは、もちろんカナダ産だよね、と。
そうだと店員さんが答えますと、カナディアンマンはしたり顔でやっぱりカナダのメイプルシロップは世界シェア8割だからね、とご満悦の表情を浮かべました。
……スペシャルマンとプリプリマンは、ひそひそと確認し合いました。
この前も同じこと聞いてたよね、と……
そんな二人の話が聞こえたのでしょうか。
カナディアンマンは、超人がお国自慢ばっかしだしたらおしまいだと思ってんだろ、と自らその部分へ切り込んでいきます。
話を振られたプリプリマンですが……そんなことないと否定するでもなく、そうだよなとからかうでもなく、うつむき加減のままこんなことを言い出すのです。
なんつーか、贅沢な悩みだなぁと思ってさ、と。
一体どういうことなのでしょうか?
言葉の真意がつかめないカナディアンマン、あ?と尋ねますと、プリプリマンはポツリポツリと語り始めます。
だってお前、俺一応7人の悪魔超人なんだぜ。
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ソレなのによ、登場したのはたった1コマ。
キンケシにもならず、最近まで名前もなかったんだぞ。
……しばらく、他のテーブルで使っている食器の音だけが響きます。
あまりにも不憫すぎる扱いに、言葉を失ったのでしょうか……
ところがそこで、カナディアンマンがまたも声を上げるのです。
いやスペシャルマン、だまされんな!
こいつそれをネタにTVで取り上げられたり、特別読み切りで主人公級に扱われたりしてんだぞ!
そう、実はプリプリマン、Vジャンプ連載版のキン肉マン2世ではまともな(?)悪役として登場してしっかり戦ってみたり、2世のアニメにも出てみたり、行ってしまえばっキン肉マン本編のOPにまで出ている、超マイナーなふりをして意外に扱いの良い超人だったりするのです!!
……スペシャルマンは、思わずつぶやきます。
てコトは……ボクより有名な人?と……



というわけで、ビッグボンバーズ+プリプリマンでお送りする本作。
その内容まさにキン肉マン版「THE3名様」で、さえない三人の超人のどうでもいいお話が繰り広げられていきます!
あくまでパラレルワールドであろう本作ではありますが、ネタ云々の要素とは別の部分で面白いのが本編としっかりリンクしているところ!!
キン肉マン本編でカナディアンマンが奮闘したのは記憶に新しいところですが、その戦いがこの世界でもきっちりあった、と言いますか、本作と同時進行で行われるのです!
ということはカナディアンマンは……!?と心配になってしまう方もおられるでしょうが、そこはご安心ください。
緩い雰囲気の本作に、血生臭さは似合いません!!
ちゃんとそのあたりもネタにして、いつもの調子でのんびり進んでいきますのでご安心くださいませ!!

石原先生のキン肉マン愛もあり、様々な超人のゲスト参戦やキン肉マンならではの小ネタが豊富で、キン肉マンファンならば楽しめること受け合いな本作ですが、どうしてもその作風やキャラ上、三人を小馬鹿にしたようなお話が多くなっております。
3人のガチファン(いるのでしょうか)の方はそのあたりにお気をつけください!!
そのあたりと、独特のノリが大丈夫ならば間違いなく楽しめる本作、表紙や本体の装丁的まで含め、必携のファンアイテムになっているのです!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!