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今回紹介いたしますのはこちら。

「絶望の楽園」第1巻 原作・tos先生 漫画・オギノユーヘイ先生 

講談社さんのマガジンKCより刊行です。


オギノ先生は09年にマガジンの漫画賞を受賞後、何度かの受賞とアシスタント生活を経て14年に「アクノヒガン」の作画担当としてデビューされました。
その後「賭博の巨人」の作画としての連載をはさみ、18年より本作の連載を開始されました。

tos先生は少なくともこの名義での単行本は本作が初となるようです。


芦谷透は、友人とうちの学校の先生とセクシー女優が似てる、などと言うバカ話をしながら、高校生活を過ごしています。
そんな彼の様子を見て、教師たちは気丈な子だ、と感心していました。
芦谷は普段通り過ごしているようにも見えますが……実は、つい先日母親を亡くしたばかりなのですから。

そんな彼が下校する時、通学用の自転車置き場へと向かいますと……芦谷の自転車の荷台に腰かけ、手を振っている少女がいるではありませんか。
スルーしようとする芦谷なのですが、彼女はそれを許しません。
スーパーのタイムセールの目玉、おひとりさま一つ限りのトイレットペーパーを買うために人手がいるでしょう、と断りがたい提案をして引き留めるのでした。

そのままなし崩し的に一緒に買い物に行き、おまけに夕ご飯にカレーまで作ってくれる彼女。
そのカレーは……正直美味しくありませんでした。
とろみが足りないからと直でぶち込んだ片栗粉がスライムのようになり、絶妙な不快感を醸し出しており……
ごめんね、麦茶持ってくるねと冷蔵庫に走ろうとする彼女なのですが、そんな彼女を芦谷は呼び止め、こう言うのです。
それはいいんだけど、
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お前誰だよ、と。
彼女の名は八代京子。
となりのクラスの生徒ですから、名前くらいは知っています。
ですがあくまでもそれだけ、今までまともにしゃべったこともない人物。
芦谷の母親の葬式にやって来ていたのが初めて彼女をまともに認識した時で、それ以来なぜか京子は芦谷に親しげに接し始めていたのです。
彼女は何者なのか。
それを問いただすと、京子はやっぱり私のこと覚えてないんだね、とつぶやき……
ごめん、明日からは他人に戻るから、と荷物をまとめ始めるのです。
冷蔵庫に明日のお弁当用のおかずは行ってるから、卵は抜いておいたよ、アレルギーだったよね?
異常に芦谷のことを良く知っている彼女……
謎は深まるばかりですが、その事には一切答えずこう言い残して去って行くのです。
透君は頑張り過ぎちゃう人だから、無理しないでね、と。

あまりに燃えたい走れない人物ではあったものの、なんだかんだ楽しかった、と思い起こしながらも、彼女のいない生活に戻る芦谷。
ですが芦谷は、彼女の言う通り、その生活を頑張り過ぎてしまいます。
母の死後、独りになってしまったために様々な手続きも自分で行わなければならず、貯金だけに頼るわけにはいかないとアルバイトも増やしました。
そして学年1位の成績はキープし続ける……
そんな生活を続けて、無事でいられるはずがありません。
やがて家に帰る途中の坂道で意識を失ってしまうのです。

目を覚ました芦谷は、自分の家で、京子に介抱されていました。
透君はわざと忙しくしてるでしょう、伊江でじっとしてるとお義母さんのことを思い出すから。
そう言いながら優しくなで続ける京子。
やがて……芦谷は耐えきれなくなり、涙を流しながら怒鳴り散らしてしまうのです。
母さんは交通事故で死んだ、あの日の朝俺がくだらないことで腹を立てて傷つける言葉を言わなければ不注意も起きず、死ななかったかもしれないんだ!
立ち直れるわけないだろ、いい息子だったわけがないだろ!
だったらこんなに公開してねえよ……
ひとしきり叫んで少し落ち着いた芦谷に、京子は語りかけます。
二人のことをずっと前から知ってるから、芦谷さんが亡くなったのは透君のせいじゃないよ。
私のことは思いだせなくてもいい、だから代わりに約束して。
もう一人で背負いこまないで、透君が笑えるようになるまで、私がそばにいるから。

夏休みに入り、時間は瞬く間に流れていきます。
京子との日々は楽しく、芦谷の心の傷も癒されて言ったようです。
そしてその時はやってきました。
夏祭りに友達のグループで言った時、京子は足を怪我した、と嘘をついて芦谷に自分の家まで送ってもらいます。
男に一人で家まで送ってもらい、家には誰もいないから、と囁いてくる女。
嫌でも意識してしまう芦谷なのですが、家につくと、二人きりになりたかった、と言われてしまえばもう終わりです。
彼女に迫ると、彼女もそれを受け入れ……
口づけをし、服を脱がせて……と初めての経験に慣れない手つきで一段一段進んでいく芦谷なのですが、そこでいきなり京子がこんなことを言うのです。
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へったくそ、と。
そして今度は、彼女がリードを始めます。
なんでしょう、彼女、ものすごくなれた感じ。
そして最後には彼女が上になり、笑ってこう言うのです。
でも良かった、透君が私のこと覚えてなくて。
私たち、あまりいい出会いじゃなかったから。
……その時、芦谷の脳裏に一気に昔の思い出がよみがえりました。
母が、玄関先にやって来ていた人物に怒鳴りつけていた記憶。
あの人とはもう別れたんです、そちらのルールは知りません!
私は、透を渡しません!!
そう凄い剣幕で言う母親に、これ以上今はなしても無駄だと悟ったらしいその人物二人は帰っていきました。
強情な人ですね、また伺います。
そう言って出て行った、黒服の男と……黒髪の少女。
帰った後には、「日商雨の会」と書かれたパンフレットが落ちていて……!!
あの時の少女が、まさか……京子!?
それに気が付いたその時、その部屋に数名の男が入り込んできました。
男と京子は知り合いのようで、勝手に芦谷と関係を持とうとしたことを軽く注意して……
芦谷に薬をかがせ、拉致したのです!!

誰にも見られてないか?
大丈夫。
早く透君を連れて帰ってあげよう。
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私たちの家に。
……人一人を連れ去っていると言うのに、当たり前のような会話をする京子と男たち。
こうして、芦谷の運命は一気に変わることとなるのです。
絶望に染め上げられた、恐怖の運命へと……



というわけで、幕を開ける本作。
宗教団体につかまってしまった芦谷が、この後思いがけない環境へと閉じ込められ、そこから脱出しようと奮闘する物語が始まることとなります・
カルト宗教の恐ろしさ、異常さを描いていき、その味方すらいるのかもわからない絶望から希望を見出そうと足掻くドラマが展開する。
そんなオカルトとは違う恐怖を描く……と思われていた本作なのですが、途中からオカルト要素も見え始めてきまして。
ただのカルト教団ではない「日照雨の会」。
その得体のしれなさもどんどんと深まっていくのです!

深まる謎とスリルだけでなく、もう一つのウリになるのはやはりエロスなシーンでしょうか。
原作者のtos先生は「ヒロイン」と言い切る強固なのですが、その性格はもうとてもヒロインとは言い難い奔放な性格!
それ故に、多数を相手に行為に及んでみたり、こんなことをしてなお芦谷に迫ってみたりと、もうやりたい放題なのです!
ヒロインとしては今のところどうかと思う彼女ですが、サービス要員として、そしてもしかしたら後々その背景が明かされて改心してみたりするかもしれないと言う淡い期待も抱きつつ、その動向を見守りたいところです!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!