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今回紹介いたしますのはこちら。

「ナリカワリ」第1巻 原作・長田トヒキ先生 漫画・オオイシヒロト先生 

講談社さんのKCDXより刊行です。


長田先生はどうやら二人組の漫画家さんのようで、17年にお二人の名義でマガジンのネームでの漫画賞で奨励賞を受賞、そして同じく17年に現在の名義で通常の漫画賞の佳作を受賞されました。

そんな長田先生が、「奴隷区」「美しい犬」のオオイシ先生とタッグを組んで描かれる本作は、特殊なアイテムを手に入れたことで奇妙な勝負を挑むことになる、所謂デスゲームもの。
ですが本作のおける戦いは、普通のですゲームものとは一味違っていまして……?


下田はいじめられています。
トイレで数名のいじめっ子に囲まれ、金銭を脅し取られていました。
ですが度重なる搾取のせいで、もう下田に出せるお金はほとんどないようです。
物足りない金額にいら立つ、いじめの先頭に立つ女生徒、奈美。
下田のおびえながらねめつける様に見つめる視線がさらに彼女を苛立たせたようで、彼女は下田にとんでもないことを要求しだします。
ペットボトルのキャップを放り、これで自分たちを笑わせろ、と言いだし……
そして、お盆で股間を隠す芸人の真似を、そのキャップでやらせたのです!!
泣いていやがる下田を、大笑いして画像まで取って喜ぶ奈美達。
するとそこに……翔というイケメンが現れ、一同にやめろと言うのです!
驚く奈美達ですが……翔は、下田にこう言いました。
下田君、いじめられない方法を一つ教えてあげるよ。
いじめられないやつになる事。
ま、無理だろうけど。
そう冷たく言い放ち、下田に小便をかけるのです!!
……じっとその様子をうかがっていた人物がいました。
今まで勇気が出ずにずっとその光景を見ているしかなかった彼、安藤は、意を決してそのトイレの中へと足を踏み入れます!!
が、翔に睨み付けられ、悪いけど今取り込み中だから、別のトイレに行ってもらっていいかな?と言われると……その勇気はすぐにしぼんで消えてしまいました。
あ、はい、すみません。
そう言って、逃げ出してしまうのです。

逃げ出してしまった安藤の気分は沈んでいくばかり。
家に帰れば、弟がリビングで恋人と行為を楽しんでいました。
安藤は何も言わず……自分の部屋へ。
その際物音が立ちまして、弟とその彼女は安藤の存在に気が付くのですが……弟は全く気にしていません。
弟はこう言うのです。
大丈夫、あの人この家では存在しないことになってるから。

理想の自分になれる人となれない人。
どこで差がつくのだろう。
行動、信念、そして……運。
どう生きれば自分を好きになれる……?
そんなことを考えながら、安藤は自分の部屋へとやってきました。
陰鬱な考えを振り払い、勉強をしなければと机に向かうのですが……そこには、見慣れない奇妙な箱が置いてありました。
そこには、安藤万里雄様、と自分のあてなが書きてあります。
何か頼んだっけ、とつぶやきながらその箱を開けますと、そこにはブレスレットのようなものと、一通のメッセージカードが入っていました。
魂と引き換えに理想の貴方へ。
なんだか引っかかるうたい文句ですが、今の気持ちにマッチするその言葉、やはり気になってしまいます。
そこで何となく左腕にそのブレスレットをはめてみると……
空中に何かうすぼんやりとしモヤのようなものが現れ、そこに文字が表示されたのです!
ナビの名前を決めてください。
そんな表示に戸惑いを覚えながらも、こう言うオモチャなのかと自分を納得させ……アルベールだ、声をかけます。
どうやら入力は完了した様子。
モヤはブレスレットの中に吸い込まれていき、そしてそこから声が聞こえます。
おいっすだぞ、万里雄!
おいらはアルベール、ナビゲーターなんだぞ。
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憑依ステッカーのだぞ。
……憑依ステッカー。
聞きなれないそのアイテム、対象に貼り付けて願うだけで、その対象に成り代われるのだ、と言います。
視線の先には、弟の秀雄がいます。
父親から期待され、成績は優秀、可愛らしい彼女もいる……そんな秀雄に成り代われる?
安藤は、そんなのあり得るわけないだろ、と苦々しく思うのでした。

翌日。
下田は、学校を休みました。
先生からは怪我をして、という発表がありましたが、クラスではもう噂が広まっていました。
自殺未遂をした、という……
下田と安藤は、そこそこ仲の良い友人でした。
体育ではいつも二人組になり、母子家庭で貧乏だから将来は普通にお金持ちになりたいかな、などと笑いあった、下田。
その彼を助けられず、自殺未遂をするまで追い詰めてしまった。
安藤は震えながらうつむくことしかできなかったのです。

お気に入りだった「オモチャ」に飽きはじめてきたいいタイミングで壊れてくれた。
彼らはそう言って、次なるターゲットである安藤をトイレに連れ込みます。
下田を助けようとしちゃだめだ、下田は俺らのストレスのはけ口、君はそれを見て見ぬ振りするやつ。人には身の程ってものがあるだろうが!
そう言って、翔は安藤を殴りつけ、洗面台に顔面を叩きつけます。
痛みに苦しみながら、安藤は思います。
わかってた、わかってたよそんなこと。
かつて下田のいじめを最初に止めようとしたときも失敗しました。
先生に行ってみても、翔の父親が代議士だと言うこともあるのでしょう、とりあってもらえず失敗。
父の跡を継いで医者を目指そうとしても、父は医者は弟が鳴るからお前は経済の大学に行けと命じてきて、進路にも失敗。
何をやっても、身の程を思い知らされる結果ばかりが待っていました。
だけど!それでも!!
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なりたい自分を目指して何が悪い!?
いつしか口に出てしまっていた思い。
そんな思いとともに、ブレスレットから何かが飛び出してきました。
それは……アルベールが言っていた、憑依ステッカー……?
貼って願うだけで、ナリカワれる。
もう安藤は、それに縋るしかありませんでした。
思い切り翔へ突進!!
翔はあっさりとその突進をかわし、安藤は無様に地べたへ転倒。
奈美は、今の何、怖すぎて混乱しちゃった?と笑うのですが……
安藤の突進は、しっかりと成果を上げていました。
翔の腕に貼りつけられた、ステッカー。
そして……本当に、安藤は
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翔の体を乗っ取ってしまっていたのです!!



というわけで、憑依ステッカーと言う奇妙極まりないアイテムを手に入れることとなった安藤。
いじめっ子のリーダーであった翔に成り代わったことで、いじめを止めることができそうです。
が、気になることはいくつもあります。
一体なぜこのステッカーは安藤の元に送られてきたのか。
「魂と引き換えに」という一文の意味することは。
そもそもこのステッカーは何なのか……?
この後安藤は、このステッカーに秘められた様々な事実を知ることになります。
ステッカーの枚数、その枚数を増やす術、ステッカーがなくなったときに起きること。
そして安藤は、このステッカーを廻る「戦い」が始まっていることを知り、いやおうなしに巻き込まれていってしまうのです……!!

人に乗り移って世直し的なことをする漫画、かと思わせてこの後ですゲーム的なお話になっていく本作。
人に乗り移ると言う力でどうやってデスゲームをするのかというところも興味深いところでしょうが、人に乗り移れるなら何をするか?という下衆な欲望を見せつけるような描写ももちろん見どころの一つ!
特に巻末に収録されているスペシャルエピソードではもう凄いことに……!!
話が進むにつれてそう言った描写も増えてきそうですし、そちらの方も注目していきたいところです!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!