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今回紹介いたしますのはこちら。
「アスペル・カノジョ」第1巻 原作・萩本創八先生 漫画・盛田蓮次先生 

講談社さんのヤンマがKCより刊行です。


萩本先生はウェブ上でゲームなどを発表する傍ら、本作をネームで連載。
その後18年よりそのネームを元にした本作を森田先生作画でウェブマンガ雑誌にて連載を開始しました。

森田先生は11年にジャンプNEXTでデビューした漫画家さんで、その後原作付きの読み切り発表などを経て本作の作画担当として連載デビュー、そして初単行本刊行となったようです。

そんなお二人の描く本作は、そのタイトル通り特徴のある女性と、そんな彼女と過ごすことになった男性の生活を描いていく作品です。
気になるその内容はと言いますと……



人との付き合いも苦手、親との交流も苦痛。
そんな横井は、高校卒業後すぐ家を出て一人暮らしを始めました。
暮らしているのは家賃3万円の風呂なしの安アパート。
ここで横井は、新聞配達のアルバイトと同人活動で生計を立てています。
主な収入源は、エロスは同人誌なのですが……それとは別に、完全に趣味と言っていいオリジナルの同人誌も描いていまして。
こちらはほとんど売れず、ダウンロード数が一けたなのが当たり前尾と言う状況です。
が、それも納得したうえで横井はオリジナル作品を描き続けます。
対した画力もなく、キワモノと言えるストーリー展開。
売れないのも当然ながら、それでもこっちのほうが自分にとって必要な物なんだと言う充実感が得られまして、収入の足しにはならないオリジナル作品に時間を割いているのです。

気分転換にベランダに出て、ちょっと変な形の雲でも撮影しようかとしていた時のこと。
呼び鈴の鳴る音がしまして、受信料の請求かな、テレビなんて置いてないのにな、となどと考えながら玄関を開けますと……そこには、見慣れない女性が立っていました。
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そしてその女性はじっと横井を見つめ続けながら、こう尋ねてきたのです。
下水星人さんですか?
「内外開拓」大好きです。
……下水星人と言うのは、横井の同人活動をしている時のペンネーム。
そして内外開拓と言うのは横井の売れないオリジナル同人誌なのですが……
そのデジタル版しか打っていないはずの同人誌を、冊子で持っているその女性。
自分で印刷して製本した、という彼女……その言葉通り、どうやら熱心なファンのようです。
が、どうやってこの住所を知ったのでしょうか?
昔の同人活動でもありませんし、住所なんて公開しているわけがありません。
彼女が言うには、横井のブログに掲載されている文章や写真からこの住所を割り出したのだとか……
下水星人なのか、人違いなら時間の無駄なので早く答えてくれ。
ずっとよ鯉を見つめながらそう尋ねてくる女性。
ストーカーまがいの行動をする彼女にそら恐ろしいものを感じる横井ですが、ほとんどいないオリジナル同人誌のファンだと言うことは正直嬉しいところ。
少し悩んで……横井は自分がその下水星人だと答えるのです。

彼女は内外開拓が大好きで、100回読んだとのこと。
どんな人間が描いているのか気になって、とうとう来てしまった、と言って……
じっと横井を見つめたまま、動かなくなってしまいます。
いたたまれなくなった横井は彼女がどこから来たのか尋ねると、なんと鳥取だと言います!!
夜行バスで12時間かかったそうですが、さらに驚くことにその行動はすべて横井に会うためだ区にしたのだと言うではありませんか!
驚く横井ですが……そんな会話をした後に話が途切れ、その後もずっと彼女は何も言わず、横井を見つめ続けてくるのです。
……どうしていいのか分からず、横井はとりあえずよかったら上がりますかと持ち掛けますと、彼女は一も二もなく、ハイ、上がります、と中に入ってきました。
「いいんですか?」みたいのはないんだ、とちょっと思いつつ、自分の部屋に女性が入るという未知の体験にまたちょっと戸惑う横井。
彼女は中に入ると来ていたコートを脱ぐのですが、その際
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手首に幾筋もの傷があるのに気がついてしまいました。
……とりあえずその事には触れず、机をはさんで座る二人。
彼女は、斎藤恵と名乗りました。
そして彼女、横井がエロス系同人誌も書いていることを知ったうえで、そちらは「面白くなかったからもう読んでいない」と言ってのけました。
軽蔑とか苦手だとかではなく、面白くない、という判断基準なのか、と内心でつぶやく横井。
またそこで会話が途切れますが、恵は私のことは気にせず仕事をしてください、と言いだしました。
いや、同人誌は小遣い程度で生活費はバイトで賄っている、と答える横井なのですが、その後恵から出てきたのは、下水星人さんっていじめられてたんですか?という言葉でした。
彼女はない外界テクで描かれていたいじめられっ子がリアルに描かれていて、自分もクラスで無視されていたから今日噛んできた、ハッピーエンドにされるとありえないことだからムカついてしまう、いじめられてそのまま不幸になっていくリアルな話を読むと、これなら他の人にも現実が伝わるなと癒される、と一気呵成に話し始めます。
横井は少し考えて、いじめられてはいなかったものの孤立していた、と返答しますと、恵は今まで以上に力を込めて、わかります!そうですよね!と声を張り上げました。
と、
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今度はいきなり近くにコンビニとかありますか、お腹すいてるの忘れてた、と話を変えてきました。
カップラーメンならあるよ、と彼女にラーメンを振る舞い、一緒にカップラーメンを食べることになるのですが……
その間も、彼女はじっと横井を見つめ続けるのです。
……突然横井のものとにやって来た恵。
この時、横井は考えもしなかったことでしょう。
これから恵との奇妙な共同生活が始まるなどとは……



というわけで、恵と横井の生活を描いていく本作。
話の流れを読むことができず、思ったことはすぐ口に出してしまい、言われたことをそのまま受け取ってしまう恵。
その反面、とんでもないくらいの集中力を持っている彼女と、この後なし崩しに一緒に暮らすことになってしまう横井は、数々の苦労をする……かと言えば、そう言うわけでもありません。
嫌いなものに対しての嫌悪を隠さずにすぐ面に出してしまったり、何かがあればすぐに手首に傷をつけてしまう恵は確かに相当危うい存在ではあるのですが、横井にとって大切な存在でもあるのです。
彼女は横井の作品の熱心なファンで、あまり認められていない本来の自分を認めてくれる彼女は横井にとっても貴重です。
そして自分を大切に思ってくれ、頼ってくれる。
そんな存在に会うことも、横井にとっては初めてなのかもしれません。
傍から見れば横井が恵の面倒を見ているようにも見えますが、その実二人はお互いを必要としあっている。
そんな二人がこの後、どのように接していくのか……?
二人の間にこの後どんな出来事が起こり、それをどう乗り越えて行くのか?
お互いが一層大切な存在になっていくのか、それとも?
二人の今後が気になりますね!

難しい題材を描いている本作ですが、こう言った人のリアルを知る、と言うだけでも価値があると言えるのではないでしょうか。(オレごときが言うのも何ですけど!)
いろいろと考えさせられる作品ではあるものの、難しいことを考えずに二人の関係を追っていくと言う楽しみ方も決して間違いではないはず……!
そのタイトルから感じる印象も皆様それぞれでしょうが、読み応えのある一冊である事は間違いありませんよ!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!