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今回紹介いたしますのはこちら。

「天国大魔境」第1巻 石黒正数先生 

講談社さんのアフタヌーンKCより刊行です。


さて、「それでも町は廻っている」の石黒先生の最新作となる本作。
今までの作品は基本的に一話完結型の作品が多く、ストーリーモノも全1巻でまとめるなど、短めの物語をメインに描かれておられた石黒先生なのですが、今巻は完全なる長編ストーリーとなる様子!
気になるその内容はと言いますと……?



トマト畑の手入れをするもの、小川の周りを駆けまわるもの、椅子に腰かけて絵を描くもの。
何かの施設の庭先で、子供たちは思い思いの時間を過ごしています。
そんな中で、二階のベランダに立ってぼーっと天井を見上げている少女がいました。
彼女はミミヒメ。
そんなミミヒメに、何をぼーっとしてるのか、授業が始まるよと時雄と言う少年が声をかけてきました。
ミミヒメはそんなトキオにこう返します。
今日はテストがあるよ、と。
テストなら事前にいつやるよと通知があるはず。
なので普通の授業をやるはず……だったのですが、その授業で行われたのはまさかのテスト!!
したり顔のミミヒメ以外はみなぶつくさ言いながら問題に取り組みます。
それぞれ問題が表示されたタブレットとにらみ合う生徒たち。
問題はごく一般的な、因数分解なんかの数学のもの。
すらすらとまではいかないまでも、トキオはそれなりに問題を解いていくのですが……
そこに突然、今までなかったはずの問11が現れたのです。
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「外の外に行きたいですか?」。
イエスノー形式で表示されたその問題。
意図するところがわからず、思わず先生に意味がわからないんですけど、と尋ねるのですが……どうにも話がかみ合いません。
もう一度タブレットに視線を移すと、その問題は影も形もなくなっています。
あたりを見れば、みんなのテストにはそもそもそんな問題が出てすらいないような反応。
釈然としないながらも、トキオは黙って座るしかなかったのでした。

テストが終わると、一同は再び各々思い思いのことをし始めます。
何か作りかけの装置を作るもの、とんでもない身体能力を見せつけてボール遊びをするもの……
トキオはと言いますと、ミミヒメと一緒に施設の庭の隅、壁際までやって来ていました。
外がどうとか言ってたよね、トキオは外がどうなってると思う?
ミミヒメの質問を聞き、どうと言われてもとあたりをきょろきょろするトキオ。
どうやら質問の内容がしっかりとわかっていないようです。
ミミヒメが言っているのは、この今建っている庭ではありません。
庭ごとこの施設を覆っている天井や壁の、その外。
外の、外。
ミミヒメが聞いていたのは、その事なのです。
トキオはそもそも、この施設がこの世界の全てだと思っていたようで。
外に何かあるのか、何もないんじゃないのか?
そう戸惑うトキオに、ミミヒメは言いました。
あると思うよ、ずっとそんな気がしてたんだけどね、最近イメージがはっきりしてきたの。
僕が外に伊達いなと思ってると、外から二人の人が僕を助けに来てくれるの。
その一人の顔が、トキオそっくりなんだ。

夜。
「外の世界」がどうしても気になってしまうトキオは、むくりと起きだして部屋から出ていきました。
向かう先は……庭です。
施設を覆う天井と壁。
それを眺めていると、夜の散歩でしょうか、付き添いを連れた園長先生が現れました。
そこでトキオは思い切って尋ねてみることにします。
ここより外って、あるんですか?
その考えをしたのがミミヒメだと言うことを確認した園長先生は、止めようとする付き添いを抑え、正直に教えてくれました。
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ここより外はあります。
ただし、あさましい怪物が蠢く汚れた世界。
地獄です。

ベッドに入ったトキオはあれこれと考えを巡らせます。
外は地獄という園長の言葉。
ミミヒメの言う、自分を助けに来てくれる自分の顔をした者。
外の外に行きたいですか、と言う問い。
考えれば考えるほどわけがわからなくなり、そして次第に恐怖も沸き上がってきて……


朽ちかけたビル、点灯しない信号機。
荒れ果てた街の中の、カラオケボックスだったらしい施設の一室に、その男はいました。
寝袋に入って、ぼんやりと天井を見上げる彼。
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彼の顔は、トキオと似ているように見えます。
つまり彼が、外の外からミミヒメを助けてくれる存在なのでしょうか。
そして……この荒れ果てた日本が、外の外、だと言うのでしょうか……?
物語は、既に始まっていたのです……!



と言うわけで、トキオと、トキオと同じ顔をした男、マルの二つの視点で進んでいく本作。
完全に隔離されている施設のなかで、外の世界を創造するトキオ。
崩壊した日本で、あるものを探し求めているマル。
その二人はそれぞれの範囲でそれぞれの旅を行っていきます。
マルはミミヒメの言った、トキオと同じ顔をした誰かなのか?
トキオが外に出ることはあるのか?
ふたりが出会ったとき、何かが起きるのか……?
様々な謎と興味がわいてくる本作、この後も思いもよらない展開が連続!!
閉鎖された施設と荒れ果てた日本、二つの視点で描かれる物語がどのようにこれからリンクしていくのかも注目ですよ!!

そして石黒先生の「それ町」、時系列シャッフルで描かれていたわけで。
この二つの視点が同時に行われていると考えるのも性急かもしれません!!
深まる謎、予想外の驚き、時折混じるコミカルな一面、人間関係。
石黒先生が好きらしいSF要素なども盛り込まれ、様々な面で楽しみな作品なのです!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!