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今回紹介いたしますのはこちら。

「マザーグール」第3巻 菅原キク先生 

徳間書店さんの龍コミックスより刊行です。


さて、孤島で得体のしれない怪物に襲われることとなってしまった少女達。
誰よりも頼りにしているトリノの要る場所に向かい、山越えを目指した朔也たち一行ですが、そこで怪物の巣に鉢合わせしてしまいます。
ですがそこには陽性しかいないことに気が付き、意を決して蹴散らして進むことにしたのですが……そこには一匹、成体もいたのです。
成体は突如姿を現し、なつのを捕えて……!!


トリノ達もまた、島を脱出するため、そしてひなを探し出すために行動していました。
エリカと純とともに目指すのは、奇しくも朔也たちと同じ。
トリノはまっすぐに山を登っていくのです。
エリカや純は、エルレアン女学院の中心人物である、笙子たちと一緒にいる方が安全だと思っていますし、楓子たちとのろしを上げる約束もしていますから、そろそろ引き返したほうが良いとトリノを止めようとしていました。
ですが、トリノの優先順位は依然ひなを探すことが第一。
ふたりについてきてと頼んでないから、とどんどん先に行ってしまうのです。
しかしそこはいかにも意地悪お嬢様然とした見た目をしているものの、根はいい子なエリカ。
トリノを放っておくことはできず、一緒についていくのです。

それにしてもこの山道、あまりにも異様です。
鬱蒼とした木々が立ち込めているのはいいのですが、そのあいだあいだに様々な人工物が顔を見せるのです。
家のようなもの、遺跡か何か、大砲、飛行機の残骸……?
いうなれば、戦争遺跡と言ったところでしょうか。
それにしては戦闘の後もなさそうですし、あまりにも雑然としすぎているような気も……
と、その時です。
急にトリノが藪をかき分け、駆けだしたのは!!
ジュンが慌てて声をかけると、トリノはこう言います。
人がいる、多分、
サバイバルの知識が深いトリノは、この場でもあたりに気を配ることを忘れていませんでした。
人間が通ったときにできるような、道。
それも一回や二回通ったくらいではできない、日常的に使っている道を発見したのです!
と言う事は……ひなが連れ去られたときにできた道、ではないと言う事。
それでも何かの手がかりになることは間違いありません。
トリノがその道をたどって走っていくと、やがて開けた場所へ出ることができました。
ですがそこは……
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異様としか言いようのない場所だったのです。
木の枝などからいくつもぶら下げられた赤ちゃんの人形。
打ち捨てられたかのように無造作に並べられた仏像や彫像。
いくつもの頭蓋骨が転がる牧草地で草を食む山羊たち……
不快な匂いもあたりに充満し、エリカは思わず吐き気をもよおしてしまいました。
ジュンはすぐさまトリノの腕をつかみ、強く言い放ちます。
ダメ!!ここ絶対ヤバいよ!引き返そ!と。
確かにここの異常さは、トリノでも怖気づかざるを得ない圧力を持っています。
ですが……それでもトリノは先に進むのです。
この先に、ひながいるかもしれないから……!!

その奇怪な場所に建っていた建物の中は、予想外に普通の内装でした。
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竹で編まれた壁に、床。
部屋中に本がうずたかく積み上げられ、そこかしこに上へと続く梯子がかけられています。
そしてその壁からはハンモックの妖オなものがいくつかぶら下げられていて……
人の気配はあまり感じられませんが、ここに住んでいるものは怪物や何かではなく、知性のある人間であることは間違いなさそう。
トリノは注意深く周囲を見回すのですが、エリカと純は久しぶりに人間が会えるかもしれないと言う状況に気が緩んだのでしょう、誰かいませんかと大声を張り上げました。
その時、一陣の風が通り抜けます。
その風で、隣の部屋に続くカーテンがはためき、その部屋の一部が覗きました。
部屋の中に何かを見つけたらしいトリノは、すぐさまその部屋へ。
そこには大きい切り株をテーブルに見立ててカトラリーが並べられていたり、使ったあとのある竃のようなものが。
ここは食堂か何かか、とエリカや純はつぶやくのですが、トリノが真っ先に調べ始めたのはその片隅にある大きめのツボでした。
そのツボの中には……骨が大量に詰め込まれています。
異臭の原因はこれなのか……と思ったものの、これはどうやら新しいもののようで、腐ってはいません。
もしかしたら、と探ってみたものの……人間のものではありませんし、しっかり解体してある事からも、エルレアンの生徒たちが捨てたものでもなさそう。
つまりこれは、今現在ここに住んでいるものの食事の後、と言う事です。
問題は、その住んでいるものが助けを求められる相手なのか、でしょう。
トリノは落ち着いて状況を整理してみました。
時代も国もばらばらな、形を保ったままの大量の漂着物。
生きて島へたどり着いた自分たち、その一方で全く存在が知られていない怪物の存在。
トリノは思わずつぶやいてしまうのです。
ドラゴントライアングル、と。

それは、かの有名なバミューダトライアングルのような、「魔の海域」と言われる箇所です。
その海域に入り込んだ飛行機や船はなぜか原因不明の失踪を遂げる……
日本海域に存在する魔の海域、それがドラゴントライアングルなのです。
ひょっとするとこの島は、その海域の中にある島なのかもしれない。
そもそも魔の海域と呼ばれる場所が、本当に脱出不能の不可解な場所である、とは証明されていません。
ですがもしそれが本当だとすれば……トリノ達は、ここから生きて出ることはできない、と言う事……?
実際、これだけ多くの漂着物を集め、それなりに立派な家を建てて生活するなど、この島に長いこと住んでいなければできないことでしょう。
それが暗に、その可能性を肯定しているともいえるのではないでしょうか……

そんな仮説を聞いて、純はたまりかねて駆けだしてしまいました。
こんな絶望の報せを知ることになってしまうなんて、トリノなんかと合流するんじゃなかった。
いつも一緒の東子と、エリカと三人だったらどんなつらいことでも乗り越えられたのに。
何故東子じゃなくて、トリノなのか……
そう言ってうずくまり、泣いてしまう純。
その純の背後に、エリカは予想もしないものを見つけるのです。
……東子です。
奥の部屋に続くカーテンの隙間から、確かに東子の顔が覗いたのです!!
ここに住んでいる人が、東子を見つけて助けてくれたんだ!!
東子は怪物に襲われ、どう考えても生きているとは思えない状態にされてしまったはず。
ですがエリカと純は、親友の姿を見つけたことでそんなことすら思い出せずにいたようです。
カーテンを手で払い、飛び込んだその部屋に……東子はいました。
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体中の9つの穴をふさがれた……インブンチェとなって。



と言うわけで、ついにトリノ達メインの話も始まる本作。
「旧約」時代の主人公たちのパートも本格始動し、本作の主役である朔也達と合流する時も近づいてきたようです。
が、それと同時に本作の恐怖も加速していきます!!
「旧約」から数えて二人目のインブンチェとなってしまった東子。
その恐ろしさ、おぞましさもさることながら、それがここにあると言う事は、ここに住む人間もこのインブンチェの作成に一枚かんでいる、と言う事になるでしょう。
つまりトリノ達がたどり着き、朔也たちが目指していたこの場所は、最も危険な場所の一つ……!!
果たしてトリノ達はこの場所から無事帰ることができるのでしょうか。
そして、脱出やひなの捜索につながる何かを手にすることができるのでしょうか?
あまりにも困難な道のりはまだまだ続くのです……!

そして第2巻のラストで大変なことになってしまった、朔也やなつのの物語も見逃してはいけません。
ちなみを助けるため、怪物に捕えられてしまったなつの。
冷静に考えれば、彼女を見捨てて逃げるのが一番、他のメンバーにとって安全な道でしょう。
ですがここまで苦楽を共にしてきた4人が、なつのを見捨てて逃げることなどできるはずもなく。
捕えられたなつの、そして残された朔也達3人。
彼女たちもまた、死と隣り合わせの戦いを強いられることとなるのです!!

そんな恐怖の続く本作、少女達も逃げ惑うだけではなく、徐々にその島の謎に迫りつつあるようです。
怪物の襲い来る恐怖、不可解な島の住民、島からの脱出法と、様々な要素が少しずつ明かされていきます。
そんなお話も間違いなく見どころですが、やはりしっかり描き込まれたビジュアル面も見逃してはいけません!!
今回紹介させていただいた部分でも垣間見られると思われますが、今までの密林だけでなく、不気味な集落や家の中、そしておぞましいもの、グロテスクなものも情熱をひしひしと感じられる筆致で描かれておられます!!
恐怖を彩る美しい筆致、是非ともこちらもご注目ください!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!