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今回紹介いたしますのはこちら。

「銀河の死なない子供たちへ」下巻 施川ユウキ先生 

KADOKAWAさんの電撃コミックスNEXTより刊行です。


さて、年を取らず、死ぬこともない子供、マッキとπの毎日を描いていく本作。
そんな日々に突然現れた、人間の赤ん坊、ミラ。
マッキとπはミラを育てることにするのですが、それはつまり今まで二人が体験することのなかった、家族との別れが待っていることを意味していて……



赤ん坊だったミラは年月を重ねるごとに成長していきました。
時がたつにつれて、3人の絆は強まっていくのですが……
同時に、ミラの心の中のある思いも強まっていくのです。
同じ季節の中で、私だけが変わっていく。
私だけがいずれこの世界から消え去る。
だから、あらゆる瞬間が私には愛おしいのだ。

そんな思いを秘め、ミラはマッキとπにこう持ち掛けました。
二人のお母さんに会ってみたい、と。
以前、ミラは二人のお母さんと会ってはいます。
ですがその時の遭遇は、あまりにも衝撃的で、満足な会話もない物でして。
そのためか、あるいは彼女がミラに敵意のようなものを抱いているのを感じ取ったのか……彼女と出会ったことは、πとマッキにも話していないのです。
そんなミラ、今になって彼女と会う決意をしたのはなぜなのでしょうか。
無邪気なπはそんなことを考えもせず、すぐにお母さんを呼んでくると言うπ。
とはいえ、永遠を生きる彼らですから、すぐと言っても半月ほどはかかるのですが。

再会した二人は、示し合わせたかのように、「はじめまして」とあいさつ。
そして山羊のミルク入りのお茶でティータイムを楽しみ、そして本題に入ります。
私に会いたがってるって聞いたけど、と口火を切ったのはお母さんの方でした。
ミラが何を聞くのか、と思えば、ミラが言ったのはまさかの、πとマッキと一緒に行きて暮らしてるんだから挨拶しておかないと思った、と言うではありませんか。
思いもよらない言葉に、律儀な子ね、と大笑いするお母さん。
そしてお母さんはおもむろにミラの髪をなで、ちゃんと手入れしたほうが良い、と囁くのでした。

散髪をしながら、いよいよ本当の本題に入るミラ。
あなたはいったい何者なんですか?
そう尋ねると、お母さんも自分が何なのかはしっかり定義できないようでして。
魔女とも、女神とも、ヴァンパイアとも精霊とも呼ばれていた、と答えます。
するとミラ、今度はこんなことを聞きだしたのです。
人間を滅ぼしたのはあなたなの?と。
……お母さんは散髪をしながら、その問いに答えました。
確かにそう言われても仕方ないくらい私は冷淡な性格をしている。
でも、そんな力那肺から、自分はただ生きてるだけ。
人間は勝手に滅んだの。
勝手に争って滅ぼし合って、星を汚しまくったあげく、すべて捨てて勝手に宇宙へ飛び去った。
それも遠い昔。
人間は賢いけど時々愚かで、あの時代は特にひどかった……

散髪が終わった後、ミラは一人飼っている山羊のアトリの毛の手入れをしていました。
そこにお母さんがやって来たのですが……彼女、先ほどとはがらりと違う、恐ろしい雰囲気を纏っていました。
そして彼女は、その手に何らかの「力」を集中させ、ミラを狙ってきたのです!!
とっさにその攻撃を避けながら、懐に忍ばせていたスリングでお母さんの顔を撃ちました!!
顔面に石をくらったお母さん、その衝撃でのけぞり、狙いを誤ってしまったようです。
瞬間、
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アトリが跡形もなく、飛び散ってしまったではありませんか!!
そしてお母さんは、有無を言わさずミラの首をつかみ、締め上げます。
なぜこんなことをするのか。
人間を憎んでいるのか。
……そうではありません。
お母さんが憎んでいるのは、ほかならぬミラなのです。
ミラのおかげで、πやマッキは幸せな時間を積み上げている。
でもミラはいずれ、永遠に二人を置き去りにして、ありったけの幸運を持ち逃げする。
これが正しい命の在り方だと見せつけるように。
与て奪うのは、何も与えないよりずっと残酷。
何もかも手遅れね。
……そう言って、お母さんはミラの首から手を放します。
πとマッキが何よりも愛しているミラをその手にかけることはさすがにできないようです。
ミラは息も絶え絶えになりながら、お母さんに言うのです。
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πとマッキは、あなたが思ってるより、ずっと強い!!!
まっすぐ自分を見据えてくる彼女の瞳を見て、フッと口元を緩め……
散髪楽しかった、二人ともあれ以上は伸びないから、髪も身長も。
そう言い残して、お母さんは去って行くのでした。

また時は経ち、冬になりました。
雪だるまを作り、そこにそりで滑ってぶつかっていく、と言う遊びをしていた三人でしたが……
その時、突然
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ミラが鼻血を流して倒れてしまい……!!
こうして、その時はいきなり現実味を帯びてきたのです。
与え、そして永遠に奪い去る、その時は……


と言うわけで、完結を迎える本作。
上巻の内から示唆されていたミラとの別れを中心にして物語は進んでいきます。
永遠に生きる子供と、限りある命を持つ人間。
その別れに至るまでの、それぞれの心の動きを彩り豊かに、力強い命の鼓動を感じさせるストーリーは、きっと読者の胸を熱くさせるはず。
πとマッキとミラ、そしてお母さん。
4人の想いが錯綜し、生と死と向き合うことを生々しくも美しく描いた本作、必見と言うほかありませんよ!!

そしてなんとこの単行本には、本当の最終回と言っていいマッキ編が50P描き下ろし!!
謎の多かったお母さんと、πとマッキの正体は本編でも明かされていくのですが、このマッキ編で更なる真実が明かされていきます。
そしてそれを知った後、πとマッキはどうするのか?
その驚きと愛に溢れたもう一つのフィナーレ、こちらも是非ともその目でご確認していただきたいものです!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!