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今回紹介いたしますのはこちら。

「ボクらは魔法少年」第1巻 福島鉄平先生 

集英社さんのヤングジャンプコミックスより刊行です。


さて、福島先生久しぶりの本格連載作品となる本作。
「サムライうさぎ」以降の福島先生と言いますと、みなさん「アマリリス」をはじめとする可愛らしい少年を主役にしたお話の印象が強いのではないかと思います。
本作は福島先生のその部分に特化した(?)内容となっておりまして……



小田桐カイト、11歳。
彼はいわゆるガキ大将でして、自分たちに対して理不尽な行いをするのならば、たとえ年上の6年生だろうと立ち向かっていく、元気な少年です。
といってもそれは完全な正義感からくるものと言うわけでもなく、悪の6年生をなぎ倒すかっこいい自分に浸りたいから、というちょっぴりよこしまな心も含まれているようで……
とはいえ、彼が頼れるかっこいいリーダーであると言う事は間違いありません。
今日も一日、友達に囲まれて楽しく、かっこいい一日を過ごすのでした。

カイトが家に帰ろうと道を歩いていますと、何やらこちらをずっと見つめている少年がいました。
その少年、3日前に隣のクラスにやって来た転入生。
小柄で色白、女の子のような顔立ちのその少年……突然、オダギリくん、とカイトに名は仕掛けてきたではありませんか。
彼、海原マコトは「カイトにしか頼めない事」があるんだとのこと。
頼られて悪い気はしないカイト、マコトに導かれるまま土手の高架下に降りていきますと、大量に不法投棄されているゴミの山の前にたどり着きました。
そしてマコトがそのゴミの前に手をかざしますと……
なんとそのゴミの山、何かに弾き飛ばされたかのようにふっとんでいくではありませんか!!
一体目の前で何が起きたのでしょう。
驚くばかりで一行に理解できないカイトに、マコトはこれは「魔法」だといとも簡単に言ってのけるではありませんか。
ボクは魔法の国から力を託されて、町の平和を守る仕事をしているんだ。
でもボク一人だけじゃ力不足でね、「仲間」にふさわしい人を探してたんだ。
オダギリくん、町の平和を守る正義の味方になってみない?

カイトにとってその誘いは、とんでもなく魅力的なものでした。
憧れの、かっこいいヒーローに本当になれる!!
そう考えたか言うとは一も二もなくその誘いを受けますと、マコトは一つのブレスレットを手渡してきました。
そしてブレスレットを身に着け、早速変身しようと赤井スイッチを押すと……カイトはたちどころに
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ふりふりのスカートを身に着けた、可愛らしいにもほどがある服装へと変身したのでした!!
「魔法少年ときめき♡ピンク」。
それがカイトの変身時の名前だそうです。
魔法世界からの使者、古の戦士、「魔法少年」。
それが今のカイト。
マコトもまた同じような姿に変身しまして、これで街の平和を守るんだそうです。
カッコいいヒーローに憧れているカイト、とてもこんな格好で戦うなんてできるはずもありません。
意地でもやめてやると涙ながらに歯ぎしりするのですが……
マコトによれば、魔法少年を辞めるには一定の功績を上げないとならないとのこと。
いやいやながら次の日曜日、カイトはマコトの呼び出しに応じて街に行くのでした。

待ち合わせ場所にやって来ますと、マコトはすでに変身して準備万端。
マコトはこの格好がお気に入りのようで、可愛い自分に浸っているようなのですが……
カイトはとにかく恥を忍びながら、おばあちゃんの荷物を運んであげるなどの善行を積み続けます。
お菓子を食べながらその様子を眺めているだけのマコト、夕方になる頃ようやくカイトを解放してくれました。
変身を解いて、最悪の一日だったと悪態をつくカイト。
そんなカイトに、マコトはドーム状の入れ物にたくさん星のようなものがつまったものを差し出してきました。
それは「光の結晶」と呼ばれるもので、協会とが助けた人の感謝の気持ちなのだとか。
これが魔法世界の力の源で、その力で作物を育てたり病気を治したり、夜に明かりを灯したりと様々なことに使われているのだそうです。
いいことをして感謝されてえたもので、別の世界を潤す。
これでも最悪の一日だったか、とマコトに問われると……
カイトはとてもそうだとは言えないのでした。

事件はその後起きました。
中学生らしい男の子が、複数の不良にいじめられているのを助けようとしたカイト。
ですがなぜかマコトはそれはやめておけと制止しようとするのです。
君には無理だから。
真のそんな言葉に納得ができず、突っ込んでいくカイト。
ですがマコトの言う通り、結果は惨敗。
ぼこぼこにされてしまい、結局マコトのビーム的な魔法で助けられることになるのでした。

後日話を聞いてみますと、カイトは魔法少年の力の源である「オトメチック」が足りていないんだそうです。
魔法少年の自分に自信が持てなければ、町のチンピラにも勝てない程度の力しか発揮できない、とのこと。
まあカイトはすぐ辞めるつもりなんですから、真のと殻を手に入れたいとか考えなくてもいいでしょう。
あの手の奴は自分が何とかするから、とマコトは言うのですが……カイトは納得できません。
喧嘩にやられっぱなし何て黙っていられない。
あんなキラキラフリフリのダサい恰好でも、正義の味方なんだろ?
「来てくれてよかった」って思ってくれなきゃ意味ねーよ。

カイトはその夜、自分もあのビーム的な魔法が使えないかと河原で特訓を行います。
とはいえ、それっぽい技名を叫びながらステッキを振るだけなのですが……
埃や自信を持つ、と言われても一向にピンと来ないカイトは、それでも何とかすべく素振りを続けるのです。
とその時、突然マコトがビームで懲らしめたあの不良たちが現れ、カイトに襲い掛かってくるではありませんか!!
マコトにやられた復讐と言ったところでしょう。
この間の礼だ、とカイトをいたぶる不良達。
ひとしきり痛めつけたところで、今度は水をたっぷり飲ませてやる、とカイトを川に連れて行く不調達。
川辺まで連れて行かれてしまったカイト、観念して歯を食いしばるのですが……その時、水面に映し出された自分の顔が目に入りました。
その顔は……
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なんだか、とってもかわいいじゃありませんか!!
今まで自分が見てきた、かっこいい自分。
そのどんな自分よりも、今の自分がかわいいと思えてしまったその時……!!
カイトは今まで以上のとんでもないパワーを発揮して不良達を振り払い、
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ビームで一掃してしまうのでした!!
「オトメチック」を手にしたカイト。
念願のヒーローたる力を手に入れ……そして、自分の中に眠っていた感情を目覚めさせ始めた彼が、マコトに魔法少年をもうちょっと手伝ってやってもいい、と持ち掛けたのは、当然のこと……だったのかも知れません!!



と言うわけで、カイトとマコトの戦いを描いていく本作。
と言いましても本作、魔法少年に変身しても、怪人やら怪物やらの明確な「敵」と戦うことは(今のところ)ありません。
困っているおばあちゃんを助けたり、いじめっ子を懲らしめたり、ひったくりを捕まえたりと、本当に常識的な人助けをするのが魔法少年の仕事。
そうして光の結晶を集めていくわけですが……
本作の肝は、やはり徐々に自分の可愛さに目覚めていくカイトの葛藤でしょう!!
自分がかわいいと思えば思うほど、強くなっていく力。
当然その方向で行ったほうが良いのは間違いないのですが、流石にそれを素直に認めると……という、モヤモヤが描かれていくのです!!
しかもそのモヤモヤが、魔法少年の力にも影響したりしまして、ドタバタもやもやが一層加速していくのです!!

物語はそんなカイトの葛藤と人助けだけに終わりません。
魔法少年の仲間であるマコトとのアレコレ、そして当然二人以外にも存在する魔法少年の登場。
そんな様々な出来事や心の動きを、福島先生のこだわりがつまった筆致で描く本作……いろいろな意味で必見と言えましょう!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!