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今回紹介いたしますのはこちら。

「夜明け後の静」第2巻 石川秀幸先生 

集英社さんのヤングジャンプコミックスより刊行です。


さて、文明開化が着々と進んでいく明治時代で、それでも武家の踏めとしてのプライドと品格を保とうとする静。
医者になると言う夢を抱きながら通う学校生活で、武家の姫と言う家柄ゆえの一般常識のなさからいろいろと恥ずかしい目に遭いながらも、それでもひたむきに頑張るのですが……?



武家が解体される以前、静の屋敷で使用人をしていた茅。
すでにその主従関係は解消され、学校の同級生と言う立場になっているものの、それでも静は自分の主である、と甲斐甲斐しく静の世話を焼いております。
その日は茅、以前異人のレストランで食べたハムボーグ(ハンバーグ)ステーキがとてもおいしかったから、見よう見まねで作ってみた、と静に料理をふるまっていました。
最初に言っておきますと、茅の料理の腕は決して経たではありません。
だと言うのに……そのハムボーグは、決しておいしいとは言えないものだったのです。
それはなぜかと言いますと、この時代の牛は現在の牛のように品種改良が進んでおらず、味自体が粗野で匂いの強いものだったため。
この頃流行っていた牛鍋も、匂い消しのために味噌や山椒の味が強く聞かされていたと言います。
さらに茅のか細い腕では、牛肉のこね合わせの力が足りず、恐ろしく固いまま仕上がってしまっていて……
そんなハムボーグでしたが、味の感想を訪ねられた静は一言、美味い、と答えます。
これもまた、彼女が叩き込まれてきた武家のたしなみ。
農工商の技術を持たない武家は平時においては役に立たない、ならばこそ人格者であれ、その人格をもって農工商の見本となれ。
そんな教えを全うしようとしていたわけです。
要するに気を使ったわけですが、ここで茅が味見をしてしまったため、うまいと言う言葉が嘘である事がばれてしまいました。
不味い、と口を押さえる茅ですが、静はなんとかフォローしようと、不味くない、うまい、すごくうまいぞ、と連呼。
ですがこれがおいしくないことは茅も今嫌と言うほど思い知ったわけで……
静のその気遣いの言葉を、からかっているのだと勘違い。
からかうなんてひどい、と涙を浮かべてしまいました。
からかってなんていない、と言っても聞かない茅に、とうとう静も声を荒げてしまいます。
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このわからずや、出て行け、顔も見たくないわ!!
そう叫んでしまいまして……
茅はその言葉に大きなショックを受け、部屋から駆けだしていってしまうのでした。

ダンスの授業が行われる前のこと。
洋装で行われるその授業ですが、静は着替えに苦戦していました。
その苦戦の最大の要因は、カフスボタン。
なかなかどうして留めるのにコツがいるカフスボタン、話によれば旧大名家の姫が一人で突けるのに5時間かかったこともあるとか。
いつもは茅が留めてくれていたこのボタンですが……あれ以来、茅は静の顔色をうかがうばかりで、近寄ることすらできないでいる正体。
茅に頼れない今、静は膠を使ってボタンを無理やり留めると言う荒業を使って何とか乗り切るのですが……そこは流石の(?)静、
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ドレスの後ろがまるで閉じられておらず、おしりまで丸出しの状態になっていたのです!
一人でドレスを着るなんて無理だと友人のさち子に今のザマを教えられ、みんなの前で大恥をかくのだけは避けられましたが……
その間、茅はずっと浮かない顔をしていまして。
そんないつもと違う茅と静の様子を見て、ダンスを教えようとしていたキャロライン先生は何かを感じ取ったようなのでした。

調理室では、涙を瞳に湛えながら、茅がハムボーグづくりを練習していました。
そこにやって来たキャロライン先生、事情は聞いてきたようで、喧嘩したんですって?と茅を慰めようと声をかけてきました。
が、茅が泣いているのは静に心ない言葉をかけられたからではないのです。
自分が静の役に立てない事が悔しいし、静に顔も見たくないと言われたことが悲しくて……
そんな胸の内を明かす茅ですが、なんだかんだ静の方も茅を気にしている様子。
調理室の前に立ち、そっと茅の様子をうかがっていて……
どうも二人が今まで通り信頼し合う中に戻りたいと言う思いを抱いているのは確実のようです。
ですがそれにはきっかけが必要そう。
そしてそのきっかけは……おそらく、今度こそ上手にハムボーグを作ることしかないでしょう。
キャロライン先生は、早速茅にアドバイスをし始めるのです!!

それでもなかなか上手に作れないハムボーグ。
今でこそ誰が作ってもそれなりには美味しくなるハンバーグですが、なにせこの頃は肉質が悪く、つなぎもない時代。
繊細な調理法を施す以外、美味しく作る方法はありませんでした。
柔らかくするためには力強くこねるしかありませんが、かといって力を込め過ぎると高まった体温が肉に伝わって脂質が溶け出してぱさぱさになってしまいます。
へらを使ってこねればいい、とキャロライン先生は言うのですが、それでは真心がこもらない、静に失礼だと茅は頑として受け入れません。
ではどうすればいいかと言いますと、強すぎず弱過ぎず、素早く肉をこねるしかないでしょう。
ですが肉は限られていますから、成功するまで繰り返すのは無理と言うもの。
そこで、おぼろ豆腐のような柔らかいものを握りつぶさないようにこねて練習するのがいいのではないか、とキャロライン先生は提案してきました。
しかしそんな練習に使うほど大きなおぼろ豆腐のような柔らかいものなど都合よくあるはずもない……と思いながら何となく外を見たキャロライン先生、その視界には不自然に調理室の外に立ってちらちらこちらをみる静の姿が飛び込んできます。
キャロライン先生は半ば強引に調理室に静を連れ込みます。
ちょうど腹が減っておる、ハムボーグのような肉料理が食べたい、と白々しくすっとぼける静に……茅とキャロライン先生はとんでもないものを貸してくれとお願いするのです。
練習のため、胸を貸してくれ、と。
流石の静もちょっと待てとつっこむのですが、そこでキャロライン先生の辣腕が振るわれました。
外国語を一つ教えてあげる。
「noblesse oblige」。
高貴なるものには義務がある、貴族や騎士と言った高貴なものには、人々を導く義務が。
そして静はうまいこと丸め込まれ……もとい、その情熱に胸を撃たれ、
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茅に胸を揉みしだかれてしまうのでした!!
正直を言えば恥ずかしいやらですぐにでも逃げ出したいところでしょう。
ですが静も、茅に酷いことを言ってしまった、と反省しておりまして、この恥を甘んじて受け入れました。
そんな静の思いを知ると、茅の練習の手にはより力がこもっていって……!!

いろいろと大変なことになってしまった二人の仲違いですが、最後はみんなでおいしくハムボーグをいただいて元通りになるのでしたとさ……



と言うわけで、静と茅がちょっとしたすれ違いから仲を悪くしてしまった二人のエピソードを収録した今巻。
とはいえ本作に出てくるキャラクターたちは、癖のあるものはいてもみんな一様にいい人たちばかり。
いつものようにちょっとしたエロスなハプニングが巻き起こったりもしながら、こうして収まるべきところに収まってくれる安心感があるのです!!

この他にも静は様々なものを体験しては、ハプニングに見舞われると言うお話が様々巻き起こります。
今巻では身体測定をしてみたり、銭湯に行ってみたり、チョコレートを食べてみたりと様々なチャレンジを敢行!!
いつものようなアレなトラブルがあったり、とんでもない勘違いをしてしまったりと、大変な目に会ってしまうのですが……それでも静は武家の娘としてのプライドを保ちつつ、そして楽しい日常を過ごしていくのです!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!