hs0
今回紹介いたしますのはこちら。

「火ノ丸相撲」第21巻 川田先生 

集英社さんのジャンプコミックスより刊行です。


さて、打倒刃皇に向けて燃え上がる鬼丸達。
刃皇引退までのタイムリミットが迫る中、鬼丸は礼奈との関係をより強固なものにして心の充実、そして技と体の充実を図るために合同合宿に挑むのでした。



合宿は五日目に差し掛かっていました。
それぞれの稽古もどんどんと熱が入っているなか、鬼丸の柴木山部屋の力士たちも負けじと自分の体をいじめ抜いています。
そんな中、幕下の白狼は兄弟子の薫丸が頑張り過ぎているのではないか、と気を揉んでいました。
薫丸は次の場所で十両に初昇進する27歳。
27歳と言えば力士としてはそろそろ若手とは言えなくなる年齢ですが、薫丸は中学卒業後すぐに部屋に入門した中卒たたき上げ、キャリアで言えば12年目と言うベテランと言ってもいい経験の持ち主。
12年間こつこつと力をつけてきて、ようやく関取……力士として一人前の地位に来られたのですから、その喜びはひとしおでしょう。
稽古にも自然と力が入るでしょうし、さらに地元のファンやタニマチ、報道陣へ関取昇進のあいさつや取材もあるわけで、忙しさは今までに経験したことないものととなっているはずです。
そのうえでこの合宿での猛稽古、白狼ならずとも心配になってしまうのも無理はありません。
ですが薫丸、応援してくれたみんなに恥ずかしい相撲は見せられない、と平気な顔をして答えるのです。
白狼も幕下の身、薫丸の嬉しさはよくわかります。
薫丸の表情からも疲れはうかがえませんし、そうか、とほほ笑むのですが……
そこに、厄介な人物が現れました。
聞いてた話と違うんだけど。
天下五剣どころか関取すらいない。
幕下以下の雑魚ばっかじゃん。
そう言って現れたのは、
hs1
天下三名槍の一、蜻蛉切瑠衣。
20歳にして三役経験もある若手の有望株の一人です。
いきなり現れてはそんな無礼な言葉を吐く蜻蛉切。
白狼は感じ悪いなと苛立つのですが、そんな白狼の苛立ちを代弁するかのように出てきたのが……辻、鬼切でした。
一応関取いるんすけど、今日は残念ながら俺一人かな。
天下五剣なら今日は裏の山で体力トレーニングやってますよ、俺でよければ一番だけなら付き合いますけど。
そう口を出すのですが……蜻蛉切はなおも不遜な言葉を続けます。
誰あんた、何枚目?
強けりゃ覚えてると思うんだけど。
申し合いって同じく位の実力の奴とやらないと意味ないんだよね、来て損したな。
まあいいや、そもそも考え方が合わないし。
横綱が辞めてくれるってのになんでなんでわざわざ引き留めようってんだ。
蜻蛉切は刃皇の「自分が強すぎて相手になる奴がいないからやめる」と言う、現役力士たちからすれば屈辱極まりない言葉もなんとも思っていないようで。
辞めたければ辞めればいい、上の席が開くならラッキーだ、とまで言う始末……
ともかくせっかく来たんだから軽く汗を流すか、と土俵に上がろうとする蜻蛉切。
手近な人物と適当に三番稽古をしようとすぐ近くにいた力士の背中をたたき、幕下?何枚目?気持ちよく投げられてくれよ、とまた失礼な声をかけるのです。
……その力士は、薫丸でした。
チャンスと考えたのでしょう、薫丸は次の場所で十両に上がる、物足りないとは思いますが稽古つけてやってください、と頭を下げて土俵に上がるのですが……
その顔を見た蜻蛉切の目は、今まで以上に冷たいものに!!
なに目をキラキラさせてんの、おじさん。
そう言って……!!!

鬼丸達は、60キロの俵を抱えて山登りと言う足腰をいじめ抜く鍛錬をしています。
流石の天下五剣も子の訓練は簡単なものではなく、汗をしたたらせながら必死に山を登っていきました。
そんななかで鬼丸は山稽古なんて昔を思い出すな、とノスタルジー気分に浸りながら足を運んでいたのですが……
そこに、慌てた若手力士たちがやってきて、とんでもない一方を伝えてきたのです!!
蜻蛉切関が、
hs2
薫丸さんを……!!
薫丸は蜻蛉切とのけいこで膝を負傷してしまいました。
ハッキリしたことは言えないものの、この痛がり方や状況からして、来場所の新十両の場所どころか、しばらく土俵に立つことはできなさそう。
これから相撲人生の第2章が始まろうと言う場面での致命的な故障……
あまりにも惨すぎる「事故」だったはずなのですが、蜻蛉切はまったく顔色を変えず、こう言ったのです。
あーあ、大丈夫?
まぁ相撲にけがは付き物だから。
運がなかったねおじさん。
……たまらず、白狼が怒鳴り込みました!!
てめぇ、わざと丸さんを!
格下と舐めた相手が思いの他しぶといのが気に食わなかったんだろう、勝負が決まった後にダメ押ししやがった!!
稽古に熱が入れば、勝負がついたことに気が付かずに気が付かずにダメ押しとなってしまうこともなくはありません。
故意のダメ押しだとは言い切れない、と城岡身を止めようとするものもいるのですが……城岡身は、蜻蛉切の冷徹極まりない目が何よりの証拠だと言います。
12年頑張ってやっと十両に上がれたのに、それをお前は、と怒りを抑えきれない城岡身ですが、蜻蛉切はむしろそこで吹き出すのです。
たかだか十両に上がってくらいでなにをいっているのか、というか12年もかけてやっと十両何て、才能もないのにしがみついて見苦しい。
今回は不慮の事故だったけど、君だって疎ましく思ってたんじゃないの?
君番付は?幕下?
良かったね、上の席が一つ空いたよ。
……もう我慢できません。
白狼はたまらず蜻蛉切に跳びかかるのですが……稽古だからだれも止めるな、と蜻蛉切は城岡身を痛めつけるのです……

蜻蛉切は、心技体の「技」「体」に関しては誰も文句をつけられないほどの実力を持っています。
ですが、「心」に関しては最悪。
悪い意味で相撲の世界に染まり、番付が全てと確信、下の者はゴミを扱うかのように扱うのです。
蜻蛉切を黙らせるには、実力にものを言わすしかありません。
ですが、辻や白狼の力ではそれは叶わず……
このままでは、犠牲者は薫丸だけでは終わらなくなってしまうかもしれません。
事実、蜻蛉切は白狼や、暴虐の振る舞いを止めようとしたであろう鬼切をねじ伏せ、さらに止めを刺そうとしていて……!!
凡人は黙って土俵から去れ。
そう言って腕を振り下ろした、その時、現れたのです。
hs3
暴虐の振る舞いを止める、小関……太郎太刀信也が!!!



と言うわけで、蜻蛉切が現れて突然不穏な雰囲気が漂い始めた今巻。
薫丸は下積み時代の長い苦労人です。
自らの才能、「体」の無さに悩まされ、長い間苦労を重ねてきた鬼丸も、薫丸に自らを重ねてしまうところもあるでしょう。
そんな鬼丸が、もし蜻蛉切が故意に薫丸を傷つけた、と知ったら?
さらにこの後、鬼切や城岡身間でその手にかけたら!?
カッとなりやすいところのある鬼丸ですから、ただ事では済まないでしょう……!!
この太郎太刀の登場が、最悪の事態を回避してくれるのか、それとも……
とはいえどちらにしろ、鬼丸と蜻蛉切、まさしく正反対と言えるふたりがぶつかり合わない方が不自然と言うもの。
本場所まではまだ少しばかりの時間があり、その間には巡業も予定されています。
その時間の中で、二人が黙っていられるとは思えず……とんでもない出来事が巻き起こってしまうのはもはや必然でしょう!




今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!