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今回紹介いたしますのはこちら。

「団地ともお」第32巻 小田扉先生 

小学館さんのビッグコミックスより刊行です。


さて、団地を学校を、異世界すらも縦横無尽に駆け回るともおの毎日を描き続けて行く本作。
そんな日常の中様々な能力に目覚めては次の会では何事もなかったかのように忘れているともおですが、今回もまた新たな能力に目覚めてしまうようで……!?



団地住まいのプロ野球選手、阿羅間選手にいつも通りきさくに話しかけるともお。
シーズンを終えたプロ野球、選手によっては非常にデリケートに接しなければいけない感じの時期なのですが、その点阿羅間選手に心配はありません。
割といつも契約を切られるかどうか怪しい成績でフラフラしている阿羅間選手ですが、来年の契約もすでに決まっているのです。
とはいえ今年の阿羅間選手、藻リーグの防御率ワースト5に入っているちょっと厳しい成績。
一体なぜ契約を切られないのか?球団の弱みでも握っているのか?
そんな失礼千万な質問を投げかけるともおですが、阿羅間選手も慣れたもの。
全く動じることなく、その理由を教えてあげるのです。
それは、ここぞと言うときに抑えているから。
何でも阿羅間選手、一年に何度か隣にもう一人の自分が現れて、自分がこれからすべき投球を見せてくれる、と言うのです。
球種、コース、そして空振りするバッターの姿が、連続写真のように……
まるで未来が見えるかのようなその光景は、限界まで研ぎ澄まされた集中力が生んでくれるものなんだとか。
そう言う状態のことを「ゾーン」と言うとのことでして。
ともおはさっそく、そのゾーンに目覚めるための訓練を始めるのでした。

まずは母さんにどうしたら集中力を高められるかアドバイスを求めてみますと、蝋燭の火でも見てな、とどこかで聞いたような適当な答えが変えってきました。
素直なともおはさっそく実践するものの、やはり効果は出ません。
野球では空振り三振、サッカーではあさっての方向へシュート……
阿羅間選手にゾーンに入らない、ともんくをいいにいきますと、入ろうとしては入れるもんじゃない、無意識の状態で起こるもんだから、とまっとうな返答が。
普通の人ならばここでそう言うものか、とゾーンの習得を諦めて普通の練習をするのでしょうが、やっぱりともおは一味違うわけです。
無意識って何なんだろう。
そこに目をつけて、またも母さんに尋ねてみたのでした。

母さんの今回の答えはこんな感じ。
あんた得意だろ、いつもぼーっとしてるから。
……無意識=ぼーっとして何も考えていない状態、と結び付けたともお、さっそくぼーっとする練習を開始。
するとどうでしょう、バッターボックスに立った時、突然ドクンドクンと言う鼓動のような音が鳴り響き、背景が白黒反転したような色合いになったではありませんか!!
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おまけに自分の横にもう一人の自分が現れ、ピッチャーの投げたボールを華麗なスイングで打ち返し、ホームランになるところまでコマ送りで映し出されたのです!!
これぞ、まさに……ゾーン!!
この通りのスイングをすれば、この通りにホームランになる!!
驚きとともに絶対の自信を持ってスイングをするともお、その結果は……空振り三振でした。
引き続きサッカーをしている最中でもゾーンを発動したものの、華麗なシュートどころか蹴り上げた足がボールに当たらずすっ転んでしまう始末なのです。
ゾーンを発動しているのは間違いありません。
ですがそのゾーンで見えた通りの動きをする身体能力が、決定的に欠けている……!!
まっとうな人ならば、ここで体を鍛えてそのゾーンを活かす方向へ向かうでしょう。
ともおもそんな考えを持たなかったわけではないのですが、なにぶん彼はともおです。
そんなに待てない、とこのゾーンを運動以外で生かす手段はないかと考えたのでした!!

そんな時に目にしたのが、あっちむいてホイに興じる子供たち。
早速彼らに対して勝負を挑みますと……
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まさかのゾーン発動!!
相手のじゃんけんに勝ち、その後あっちむいてホイにまでかつビジョンがはっきりと見えたではありませんか!!
それ以来、ともおはいろいろな相手にあっちむいてホイを挑んでは、一発で仕留めて行くと言う偉業を成し遂げていきます。
しかもなぜかその時、周囲は空前のあっちむいてホイブーム!!
俺の時代が来た、とほくそ笑むともおだったのですが、そんな時根津がやってきて、隣町の奴がお前と勝負したいと言ってきた、と告げてきます。
勿論断る理由などないともお、勝負を受けたのですが、道すがらその挑戦者の話を聞いて行くと……なんだか話が違ってきます。
その隣町の挑戦者も、ともおと同じように一発で勝負を決めてくる。
そして、最近急にあっちむいてホイがはやりだしたのも、そいつの学校が発端らしい。
……ともおの中に、むくむくと疑問が膨らみ始めます。
あっちむいてホイで無敵になれると気づいてから、どうやって流行らせるか考えていたら、いつの間にか流行になっていた。
それがたまたまじゃなかったら?
俺と同じ考えの奴が流行らせたとしたら……!?
その疑念は、すぐに確信へと変わることとなります。
挑戦者と対峙したその瞬間、ともおは……そして、挑戦者は感じたのです。
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こいつも、ゾーンが使えるのか!?
まさかのゾーン使い同士の戦い……
果たしてその決着やいかに!!!!



と言うわけで、今回はまさかのゾーンに入ってしまうともお。
今までも様々な体験をしてきましたが、まさかアスリートレベルの能力を、それも自在に操るまでになってしまいました。
しかもまさかの同じ能力者同士の戦いが勃発するとは……!!
と言ってもそこはともおですから、それなりのオチが待っております。
収拾のつかない超絶能力バトル、その脱力の結末をその目でご確認ください!!

それ以外のお話もいつも通りバラエティ豊かに取り揃えております。
ともおの父さんがまさかの一か月間本社の方に勤務して一緒に暮らすお話に、ヒーローになったものの大きな苦悩を抱えるともおの戦いを描くお話の二つが前後編で描かれます。
ある意味でドラマチックなその二編のお話を軸に(?)一話完結型のお話も通常通り営業中。
何かにつけて馬鹿にされていると立腹するともお、必要以上にみんなをフォローしようとするクラスメイトに立腹するともお、みんなの冬休みの扱いの悪さに立腹するともお……
いろいろなものに腹を立てたかと思えば、知的探求心に目覚めてみたり、吉本とともにキャッチコピーめいた物を考えてみたりと、新たな一面も垣間見せてくれます。
連載15年を超えてなお進化し続け、その進化をすぐに水泡に帰し続けるともおの生き様、今巻でも健在です!!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!