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今回紹介いたしますのはこちら。

「はっぴぃヱンド。」第4巻 有田イマリ先生

スクウェア・エニックスさんのガンガンコミックスより刊行です。


さて、タイムリープかと思われていた体験が、実際は50年以上にわたって行われていた別の実験であったことがわかった前巻。
少しずつ調べを続けていく中で、さやかは生徒たちを操っているチップの資料を探し当てることに成功し、茜は自分の動向を監視する人物を探り当てます。
ですがそれはいまだ見えない敵を敵を追い詰めたと言うよりも、むしろ……



旧保健室の、今まで入ったことのなかった「先」に進んださやか。
そこに待っていたのは、予想を上回る以上極まりないものでした。
壁に埋め込まれるような状態で死んでいる茜のクローン。
そして……四つん這いで這い寄って来る、目玉をくりぬかれたような状態の茜のクローン……!!
迫り来る茜のクローンを前に、恐怖にかられたさやかは身動きができなくなってしまいました。
殺される。
殺される、茜に。
完全にその想いに体が支配され、何もできずにただただ這いずり、自分の体に圧し掛かって来る茜の姿を見つめることしかできないさやか。
茜はさやかの肩に手をかけ、顔をゆっくりと近づけて……
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逃げて。
そう言って力尽き、倒れるのでした。
今の世界の主役である茜ではない茜が、自分を殺すどころか、逃げてと囁いてきた。
その事実が、さやかに完全ではないながらも冷静さを取り戻させました。
目玉をくりぬかれていると言うおぞましい責め苦を受け、息絶えたこの茜。
その亡骸からは、血液などの体液とは違う、得体のしれない液体で濡れています。
そして、壁にめり込んでしまっている茜の体の周りの壁は、奇妙に変色しています。
これらの現象は、さやかたちに何かを教えようとする何者かのメッセージなのでしょうか。
それとも、別の何かを意味している……?
別の何か……別の、実験を……?

「監視者」を名乗る人物と接触した茜ですが、残念ながらその出会いによって大きく事態が進展することはありませんでした。
何故なら監視者は、この事態を引き起こしたものではないからです。
本当の首謀者は別にいて、監視者はあくまで茜を中心に「かけを見守るだけの存在」だとか。
その為だけの彼は、必要以上にこの実験に関する情報も必要以上には持っていない……
そして彼は茜にこう言い残して去って行きました。
「日誌は毎日必ず書くこと」。
皆を助けるために誰かを疑う悲しい矛盾の答えが出るまで、ずっと君を見守っているよ。

再び茜の戦いは幕を開けました。
さやかとともにいづみも協力してくれるようになり、作業は捗る、かと言えば必ずしもそうではありません。
遅々として進まない調査。
他のクラスメイトにも聞いてみようかなどとさやかといづみが離している間、茜はずっと考え込んでいます。
監視者を覗いたよく知っている人物8人。
この中の人物を疑わなければならない。
さやかやいづみをはじめとした、特別親しくしてくれたり、こうして調査を協力してくれた人を首謀者と見立てるのはさすがに難しい。
とすると残りの四人の中と言う事になるが……
そんなことを考えている茜の様子を心配したさやかは、茜に首謀者のことを考えているのか、と尋ねます。
つい煮え切らない態度をとってしまう茜、そこでさやかは、茜が自分達すらも疑わなければならない疑問を抱いている、と言う事にも感づきました。
そこでさやかは、先日の旧保健室で茜のクローンにあった話をして、こうささやくのです。
その茜は死の間際でも逃げろと言ってくれた、今も昔も私が茜に助けられているのは確かなんだ。
茜が誰をどう疑っても、私たちは茜の味方なんだよ?
ずっと、ずーっと。
だから安心して?
その言葉を聞いて、心から安堵……できたら、どんなに幸せだったでしょうか。
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……違うんだ、違うんだよさやかちゃん。
茜はその心に不安を残したまま……日誌に、いろんな話をしてとても楽しかった、と記すのでした。

その後も茜とさやかたち二人の心の間に温度差があるまま調査は進みます。
さやかたちは、メカの得意な仁絵に協力を仰ぎ、チップに干渉する電波を妨害するジャミング装置を作ってもらう約束を取り付けるなど、かなり大きな収穫を得ていました。
一方の茜はと言いますと、何かの資料を見つけ出し、それを読み漁る日々を過ごしていたようです。
時は瞬く間に過ぎていき……運命の日の前日、7月10日を迎えました。
その日、茜はクラスのみんながいる教室で壇上に立ち、全てを明かしたのです!!
50年も前から皆のことを知っている。
今ここにいるみんなで、飽きも冬も春も一緒に居たい。
信じてもらえるかな。
自分たちが6月4日から7月11日の間をずっと、タイムリープしてるって言ったら、信じてくれる?
クラスメイト達は……ぽかんとしているばかり。
何を突然言っているんだ、と言う表情ですが……この反応はともかく、時間跳躍のことを告げてもチップが作用して友人たちが押しかかってこない、と言う事だけでも収穫は十分!!
ジャミング装置は効果アリ、友人が襲い掛かってくると言う関門をまず突破することができたと言えるでしょう!!
ですがそこで、監視者が茜に言うのです。
まだ、あるよね?
言う事、まだあるよね?

茜は、監視者の告げてきた言葉を聞き、今までの行動や手掛かりを顧みて……こう結論付けていました。
今まで自分たちにわざわざヒントめいた物をわざわざ知らせてきたのは……自分の歪んだ姿を一番近くで見るためだ、と。
そう結論付ける原因の一つに、旧保健室で見つけた資料がありました。
それは、ある人物の50年分の「日誌」。
茜は、尋ねます。
……さやかちゃん……
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首謀者じゃ、ない、よね……?
そう尋ねられたさやかは……その瞳に、大粒の涙を浮かべ……
そして……!!!



と言うわけで、次の段階へと進みつつある本作。
様々な情報を得た結果、茜がたどり着いた今回の結論は……さやかが首謀者であると言う結論です。
それが本当の答えだとしたら、一番大切な友人が一番醜悪な犯人だった、と言うあまりにも残酷すぎる現実と直面することとなります。
この残酷な予想が本当の真実なのでしょうか……?
茜の問いかけが行われた直後に、とんでもない光景が目の前に広がることとなるのです!!

そして物語はまたも新展開へと突入します。
この延々と繰り返される、50年の一か月はどれだけの犠牲を払えば終わりを迎えるのでしょうか。
どうやらこの永遠に終わらないかとも思われたタイムリープを終わらせるための戦いは、最終局面へ向かいつつあるようです。
果たして茜はどんな道を歩み、ゴールへと向かうのでしょうか。
そしてその道のりにはどれだけの困難が待っているのでしょうか。
辛く苦しく、残酷極まりないその道行きはまだまだ続くのです……!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!