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今回紹介いたしますのはこちら。

「超能力少女も手に負えない!」第2巻 中村力斗先生 

講談社さんのマガジンKCより刊行です。


さて、突如として超能力に目覚めてしまった少女、実子。
彼女はひょんなことから人助けに血道を上げる少年、坪倉君とお知り合いに。
そして自らの身を厭わず人助けをしまくろうとする坪倉君を案じ、超能力に目覚めたのは坪倉君と言う設定にして陰ながらサポートすることになってしまったのでした。



実子の妹、倫子。
彼女は自分に超能力が目覚めたら世界征服してやろうとするほどの危険人物ですが……ラッキーなことに超能力には目覚めず、ちょっとばかり傲岸不遜な小学生として生を満喫しておりました。
が、そんな彼女がここで大きなミスをしてしまいます。
歩きながらおやつのお寿司を食べていたところ、手が滑って醤油入りの小皿ごと落下。
そしてその下にあった、実子が先週買ったばかりのお気に入りの服をダメにしてしまったこと。
……だけではなく、
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それをピタゴラスイッチのせいにしようとしている現場を見られてしまったこと、です。
実子はそれを見て一言。
何これ、とだけ言いました。
この期に及んで往生際の悪い倫子はその問いかけにこう答えました。
服。
…………長い沈黙が、その場を支配しました。
流石に耐えきれなくなった倫子ですが、そこでもまだ彼女は往生際が悪い言い逃れを続けるのです。
倫子勝ちた時にはもうそうなってた、何も知らない、お父さんかもしれない、寿司好きだし。
そこで冷たい表情をキープしたままの実子はこう問いかけます。
あんたも好きでしょ、寿司。
倫子は苦し紛れに、寿司が嫌いな奴なんてこの国にいるかよ……とつぶやいた後、ハッとしてこう叫ぶのです。
てめえ、念話で倫子の頭の中覗きやがったな!
いくら姉妹って言ってもプライバシーってもんがあんだろうが、この人間の屑が!
流石超能力者様、人間辞めた奴はやることが違うなぁ!
そんな倫子のハイテンションぶち切れに対しても、使ってないよ念話なんて、と冷静に帰す実子。
まだ自分の所業が完全にばれてはいないと知った倫子、今度はさすがおねぇ、おねぇほど優しくて誠実で立派なお姉ちゃんはいないもん、よっ未来のお釈迦さま!とものすごい勢いで手の平を返すのです!
そんなすがすがしいまでのクズっぷりを見てなお、実子の氷の表情は変わらず。
言いたいことはそれだけ?と迫られるのですが、その迫力を前にしてもまだまだ倫子はすっとぼけます。
いくら私でも知らないことは知りませんゆえ、悪しからず。
……それを聞いた実子は、何も言わずその場を立ち去っていきました。
倫子は難を逃れられた、と胸をなでおろしたのですが……

それ以来、実子は倫子を無視し始めることになります。
醤油を取ってと言っても無言でおかれ、話題の映画のDVDを見ようと誘っても無視。
朝イチでクラッカーや垂れ幕つきのお出迎えをしてもスルー、ツッコミ待ちのお菓子でつるトラップも一瞥すらなし。
強硬手段とばかりにお風呂に乱入して胸を揉みもみすると、流石に超能力でぶっ飛ばされましたがそれだけ。
流石の倫子も焦ったのでしょう、そこで最後の手段に打ってでました。
何故かサンタさんの格好をして、ジングルベルを歌い狂いながら実子の部屋へ乱入!
そしてなけなしのお年玉から5000円を取り出し、断腸の思いでサンタさんからのプレゼントだ、これで新しい服を買うと良い、と部屋に置いて立ち去ろうとするのです。
するとそこで、今までガン無視だった実子がようやく反応を見せたのです。
と言ってもそれは、倫子の求めていたものとは違ったのですが。
いらないから、置いてかないでそんなの。
振り向きもせず言い放たれたその言葉。
……とうとう、倫子は泣き始めてしまいました。
もうわかんないよ、どうしたら許してくれるの?
ちゃんと口きいてよ、いっしょにテレビ見ようよ!
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ごめんねおねえ、もう許してよ!!
……直後、そっと倫子の頭に実子の手が差し伸べられました。
最初から、そうやって素直に謝ればいいんだよ。
私が怒ってたのはあんたが嘘なんかついて謝ろうとしなかったこと。
服を汚したことは怒ってない、わざとじゃないことくらいわかってるし。
そう言い終わった後、実子は倫子をそっと抱き寄せて、私もいつまでも維持貼っててごめんね、と優しく声をかけたのでした。
……許してもらえない哀しみの涙から、許してくれたと言う安堵の涙。
その二種類の涙をひとしきり流した後、倫子はようやく落ち着いた後……ムカついてきた、と言いだしやがりました。
なんだよ謝ればミッションクリアって、じゃあ今までの努力は何だったんだよ、それ鳴らそうとヒントぐらいよこせや、といつもの調子に戻っていく倫子。
あげくの果てに騒ぎを聞きつけてきたお母さんを見るや、抱き着いて「おねぇにいじめられたよぉ」と泣き始め……!!
こう言うとき、親と言うのは舌の子のことを全面的にかばうもの。
実子はこってり絞られてしまい、結局最後は倫子が笑うこととなるのでした……

そんなこんなでぐったり疲れた状態で床に就く実子。
学校では人助けの妖怪に振り回され、家では悪魔のような妹に虐げられ、極めつけは超能力少女。
私の人生一体どうなってるの、ロリコンの神様……出てきて、ちゃんと説明して……
そんなことをつぶやきながら眠りにつきますと、なんと夢にマジで神様が出てきちゃいます。
しかも神様、超能力を返してほしいと言うではありませんか。
一も二もなく、喜んでと返す実子の反応に戸惑う神様ですが、返してくれるなら助かる、とお喜びになられます。
実は本当は別の人間に与えるはずだったのに、間違えて実子に与えてしまったとのことで……
うっかり屋さんな神様にいろいろ不安を覚えながらも、実子は夢から覚めるのです。

鳴り響く目覚まし時計を、念動力で引き寄せて止めようとする実子。
ですが、一向に目覚まし時計はうごきません。
これはもしかして……あの夢は本当にあったことで……
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美子から、超能力が……消えた……!?



と言うわけで、まさかの超能力消失と言う形でクライマックスを迎える本作。
この後物語は一気に最終回へ!!
超能力が消えた今、坪倉君をサポートする者はいません。
果たしてそうなった坪倉君の暴走は抑えられるのでしょうか!?
そしてサポートで生まれた縁も消えてしまうのでしょうか……!?
感動……するかもしれない、本作らしいラストが待っております!!

と、そこに至るまでには通常営業のお話も用意されておりますのでご安心ください。
実子の新能力、テレポートが暴走し、水着姿で学校の屋上に転移してしまう完全にセルフで追い詰められてしまうお話、座禅を組むことでなぜか坪倉君が悟りを開いていつも以上にとんでもないことをしようとしてしまうお話、虫嫌いの先生と虫好きの生徒の二派による、学校の立木を伐採するかどうかで争うことになるお話などなど、ばっちり笑わせてくれるお話が満載!!
連載が終わってしまうのが残念ではございますが、最後の最後まで中村先生らしいキレッキレのギャグがこれでもかと詰め込まれておりますので、存分にお楽しみください!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!