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今回紹介いたしますのはこちら。

「あそこではたらくムスブさん」第1巻 モリタイシ先生 

小学館さんのゲッサン少年サンデーコミックススペシャルより刊行です。


さて、現在も「ラジエーションハウス」を連載されているモリ先生。
そちらは画像診断を取り扱った医療漫画なのですが、こちらはもう少しライトな感じの作品となっているようで……?



湘南ゴム工業と言う、ゴム製品を扱った工場に勤務している砂上吾郎は、この度配置替えとなりました。
営業企画室所属の砂上は、今までのヘルスケア事業部から総合開発部へ。
その総合開発部には三人の職員が務めているらしいのですが、挨拶に着たその部屋には一人しか姿が見えません。
その一人、主任の富山によりますと、一人は会社に出てきておらず、もう一人はあっちの部屋にこもっている、とのこと。
富山が指さすあっちの部屋と言うのは、医療開発実験室と書かれた部屋でした。
その部屋に何やら意味ありげな視線を送る砂上。
するとその直後、実験室の扉が開き、中から女性の職員が現れたのです。
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富山はさっそく砂上を彼女に紹介。
砂上はすかさず自分で声を上げ、砂上です、よろしくお願いします、と挨拶をしますと、彼女はぺこりと頭を下げました。
彼女はここの研究者、結(ムスブ)。
実は砂上、結ぶのことは前から知っていました。
それは一年七か月前のこと。
社内でたまたま見かけた彼女に砂上は一目惚れしたのです。
が、それからそれなりの時間がたってなお、知り得た情報は「総合開発部の結さん」であるということくらい。
そんなあこがれ続けた結と、ついに接点を持つことができる!
砂上の胸は自然と高鳴るのでした……が。
結は小さな声で、よろしくお願いします、とだけ呟くように言うと、すこしだけ砂上の顔を見つめ、すぐ踵を返して実験室の中へ戻っていってしまうのでした。

砂上にとってこの初対面はショックそのもの。
憧れの君に興味を示してもらえなかっただけならばまだしも、まるで嫌われているかのようなリアクションを取られてしまったのですから。
それでも砂上は何とか前向きに考えようと努めます。
彼女と初めて挨拶を交わすことができて、今日はいい日だ。
儚げで透明感のある、それでいて神の強さも感じられるような素敵な声だった……
そんなことを考えながらとぼとぼと廊下を歩いていた砂上なのですが、突然そこで背後から声がかけられました。
その声の主は……結です!
ちょっと待ってください、と小走りで駆け寄ってきた彼女は、これ、と何かを手渡してきました。
試作品なんですけど、よかったら使ってみてください。
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にこりと笑う彼女の笑顔はとても魅力的で……
砂上は辛うじてはいと答えるのが精いっぱい!
そんな彼の気持ちも知らず、結は感想をまた聞かせてくださいと言い残し、ぺこりと頭を下げてその場から立ち去ってしまうのでした。
残されたのは掌の上にのせられた「試作品」。
何の試作品かと言いますと……
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ゴム、でございます。
湘南ゴム工業株式会社は、主にゴム製品を製造している会社です。
そして結は、この会社で、コンドームの研究開発をしているのでした!!



と言うわけで、まさかのゴム研究をしている美人研究者と、その営業をすることになる男の毎日を描いていく本作。
物静かな印象のある結ですが、その心の中には熱い開発者魂が燃えております。
彼女のゴムに関する情熱は人一倍!
研究熱心な彼女ですが、研究しているものがモノだけにどうしても傍から見るとコメントに困る感じの光景が拡がってしまうのが本作の一つのミソでしょうか。
そんな彼女に思慕の情を抱く砂上も対応に四苦八苦することになりまして……
ちょっぴり変わったラブコメディとなっているのです!!

扱っているものが扱っているものだけに一件本作はエロスが売りのラブコメに見えてしまうかもしれませんが、どっこい本作にエロスなサービスシーンはほぼありません!
本作の軸であるちょっと変わったラブコメに一味加えられている味付けは、エロスと言うよりもむしろ相模ゴム工業株式会社さんの協力によって描かれる、ゴム製作に関してのよもやま話!
あの薄いものにこんな様々な工程や技術、議論が交わされているとは……もうその部分だけでも読み応えありと言わざるを得ません!!
と言いましても勿論ちょっとした変化球で楽しませてくれるラブコメに、見た目も性格も可愛らしい結をはじめとした魅力的なキャラクターと言ったメインもおろそかにはなっておりませんのでご安心を!
いろいろな面でしっかり楽しめる一作に仕上がっているのです!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!